はじめに
皆さま、英語はお好きでしょうか?
このたび俎上に上げますのは〝Who done it?〟〝Why done it?〟〝How done it?〟こちらの3つ――そう、英語です。
提唱者は未詳ですが、推理小説の初期発展地は専ら欧米ですから、おそらく当時の小説家・評論家によるものではないでしょうか。
さて。わたしたちは何を問われているのか。
英語の意味を確認しつつ、要するに〝~~ done it?〟とは何か、まとめました!
〝~~ done it?〟とは何ぞや?
疑問詞が使用されているので何かを問われている――では、実際に〝何を問われているのか〟。
ご存じのように、疑問詞5W1Hとは、 WHY WHO WHAT WHERE WHEN HOW この6つから構成されています。
また、done itはdo it~しなさいの過去形。
疑問詞+done itをしてみると、以下の6つのようになります。
WHY done it? → なぜやったか?
WHO done it? → 誰がやったか?
WHAT done it? → 何でやったか?
WHERE done it? → どこでやったか?
WHEN done it? → いつやったか?
HOW done it? → どのようにやったか?
さて。
6種類とも組み合わせてみたはいいものの、聞いたことがあるのは WHY done it? WHO done it? HOW done it? の3種類。
WHAT done it? WHERE done it? WHEN done it? について、わたしは初見です。
それでは、なぜ議題には WHAT done it? WHERE done it? WHEN done it? の3つは滅多に上がらないのか・上げられないのか。
HOW done it? が理由ではないかと仮説を立てます。
どのようにやったか? ……つまり、犯行方法について考えるとき。
偶然かトリックを用いて成立した謎について、〝どのように〟と問われたときに求められている答えは、方法や様子についてだと言い換えることができます。
すると、
WHAT done it? → 凶器
WHERE done it? → 犯行場所
WHEN done it? → 犯行時刻
すべての疑問が包含された末に、はじめて 〝どのようにやったか〟=HOW done it? の解答が成立するのだと考えます。
簡単に申し上げますと、ミステリ・推理ジャンルでは WHAT WHERE WHEN を、単独で考えることは無いでしょう……!
要するに〝~~ done it?〟って何ですのん?
それでは、ようやく本題について……の前に。
前提として、本サイトでは広義のミステリ・推理ジャンルの定義は 提示された謎に対して、合理的かつフェアな解答を行う を採用しています。
では、さっそく。
前項の WHAT WHERE WHEN を考慮してまとめると、以下のようになります。
WHY done it? → 動機
WHO done it? → 犯人
HOW done it? → 犯行方法(何で・いつ・どこで)
この3点は、作品中で提示された謎を解明するにあたり重要な要素となります。
ミステリ・推理ジャンル作品において、わからないことは分けて考えることを〝困難の分割〟と言います。
どのように分けるのか。
社会や生活で発生する問題と何も変わりません。問題を要素ごとにわけて、根本の解決を目指せばいいのです。
つまり、WHY WHO HOW と。一度わからないことを要素ごとに分けて、作品から与えられる情報を整理しながら推理を構築するとやりやすいでしょう。
(慣れてくれば、深く意識せずともできるようになっていくと思います。)
また、ひとつの作品内で提示される謎は単独であるとは限りません。圧倒的に複合された謎のほうが多く存在しています。
それぞれの謎がどれだけ緻密に絡み合っているか、探偵役はどのような思考・推理によって解明するのか――作品に意外性だけを求めるのではなく、著者がどのような意図をもって論理の美しさや発想の転換を顕現せしめるか――〝謎〟に注目するだけで、改めて見えてくるものがあるでしょう。
おわり
さて。
〝~~ done it?〟とは何か、ご理解いただけましたか?
探偵役ごとに謎を解明するときの方法は異なります。
新しい推理ジャンル作品の楽しみ方として「この探偵役なら、どのように推理を構築するだろうか」と考えながら読み進めることを、この場で提案します。
WHY done it? WHO done it? HOW done it?
あなたの好きな探偵役が重視するのは、どのような謎でしょうか? どのように推理を進めていくのでしょうか?