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シンカー、テラー、パンナコッタ、スパイス
耳鳴りとともに目覚めた私は、記憶を失っていた。同じく記憶が曖昧な犬ルクスと話しながら、仲間のシンカー、テラー、パンナコッタ、スパイスの存在を思い出す。 外部から隔絶されているらしい永遠城の中を探索した。 流行する特殊設定ミステリのスレッドが挿入される。 城内探索の最中、軽食を取りながら私が誰なのか考察する。その後、惨殺死体を目の当たりにする。現場を調べたルクスが城主への手掛かりを入手した。 ある小説のあらすじが挿入される。 無反応を通す少女、下半身が無い少女を発見した私は発狂して意識を失った。 誰かの混迷が挿入される。 再び耳鳴りとともに目覚めた私は、ルクスに事件解決だと宣言された。すべてを思い出した私はルクスとともに永遠城から送還された。 入院中の男は見舞い客からおすすめ推理小説たちを受けとり、雑談した。 -
幻の地下アイドル
地下アイドルユニット・ニッポン紅蓮隊の尖閣さくら子が自身のファンを殺害した容疑で連行された。 件のユニットメンバーのひとり旭小菊、ユニットの熱烈なファンである矢見は、さくら子の冤罪を晴らすため尽力することにした。 さくら子の面会にて、ふたりは彼女本人が凶器の片割れであるロープを現場近くで拾ってカバンに入れてしまっていたことを伝えられた。 今後のアイドル活動に不安を覚えるさくら子を励まして面会を終えて、すでに可能なかぎり周辺情報を収集していた矢見が主導して小菊とともに冤罪証明のため行動を進めていくことになる。 その過程で浮かび上がった謎の女性を追っていると、小菊は女性当人からの連絡を受け取った。 小菊は意を決して指定された霊園へひとり赴いた。首を吊った女性を発見した。助けようと奮闘していると何者かに突き飛ばされた。 -
狙われた囮
ブレイク中の若手お笑い芸人パンナコッタ中林が深夜の新潟県万代バスセンター付近で刺されて即死した通称『パンナコッタ殺人事件』は世間を賑わせていた。複数の目撃者がいながらも犯人逮捕には至っていない。事件から数日後、素人探偵・安堂理真と探偵助手・江嶋由宇は新潟県警に招かれ、事件の解決を依頼される。 県警側いわくパンナコッタ中林は協力者だった。事実、彼が囮役として献身したことで一カ月前にはお笑い界の要人である車谷亮輔が麻薬の密売人として逮捕された。 機会提供型か犯意誘発型か曖昧な囮捜査だったとはいえ、楽屋でパンナコッタ中林が囮として車谷に接触してから最終的には本人の発言に加えて乾燥大麻1袋の押収を成功させた。 理真は県警側からの説明を聞いたうえで矛盾を指摘し、囮捜査の真実を詳らかにした。 まもなく、理真は真相に肉薄する推理にたどりついた。 -
漫才「名探偵」
売れない漫才コンビ”パンナコッタ”による、漫才の台本。 進められていくのはメタ・ミステリをテーマとした内容である。 客にも話を振りつつ、名探偵を夢見るボケ担当へ適宜ツッコミ担当が補足や指摘する。 メタ視点から『名探偵コナン』、『相棒』、『金田一少年の事件簿』、金田一耕助など有名なミステリ作品について、やりたい放題に掛け合いを続ける。 他方、ツッコミから不可能犯罪の欠落ゆえに名探偵の不在を説かれたボケは、自ら不可能犯罪を企てて絶海の孤島で実行すれば良いなどと主張したうえ相方のツッコミにそもそも殺人事件の動機から構築していくことを提案する。 さっそくふたりで殺人事件を発生させて推理シーンをシミュレーションしつつ、さらにミステリ作品のパロディも積み重ねていく。 最後、”伏線回収”をしてネタを締めた。 -
そんなのパンナコッタだって迷惑こうむる
光彦は、従姪である美里が作ったお手製のパンナコッタを食べ進めていたが、そこに違和感を覚えていた。 パンナコッタは美味である反面、舌に違和感があったのだ。 美里の母と光彦はいとこ同士。母親の死をきっかけに光彦は美里を引き取った。中学生の美里は気立てが良く自立した少女だった。 光彦は、美里のパンナコッタを口にしながら、美里の母親のことを懐古する。同時に、およそ一カ月前に自宅で服毒して亡くなった兄のことを思い起こした。 警察は他殺と自殺、両方の路線で捜査を進めていた。遺品整理時、光彦は兄の自宅のごみ箱から洗浄済みのプラスチック容器を発見した。当時は何の容器はわからなかったが、パンナコッタを口に運びながらデザートのプラスチック容器に不穏を拭い切れずにいた。ついに、光彦は目の前の少女にいくつか疑問を呈した。すると、息苦しい静謐の中、美里からも質問が重ねられ、事件の真相が浮かび上がってくる。 -
MysteryExhibition1:短編部門_結果発表
MysteryExhibition1:短編部門の結果発表 -
MysteryExhibition1
MysteryExhibition1 ミステリとして優れた作品とは何か、一緒に考えたい! 応募期間2025年4月8日~2025年11月30日 -
赤い意図
ある朝、糸魚川茜は浮気を理由に口論となり夫を突き飛ばして意図せず死なせてしまう。 犯行後、友人との外出を経てから手早く証拠隠滅を完了させると、大胆不敵にも第一発見者として警察へ通報した。 菱川あいずは、親しくしていた謎解きクリエイター糸魚川拓の死を悼む。事件解決に貢献した過去の縁を活かして糸魚川の死に関して警察に探りを入れた。警察にダイイングメッセージの存在を示唆すると自らは現場である糸魚川宅へ乗りこむ。道中、菱川は、MysteryExhibition1短編部門の作品のひとつ『お掃除ロボット専属トリマーの朝は早い』に関心を抱く。3つの単語と2つの謎が提示されただけであるその文面からは友人が亡くなった事件が連想されるだけでなく、警察が公表していない情報が含まれていた。 首尾よく糸魚川の妻と面会を経た菱川は、再び警察に協力を取りつけて真相解明に取り掛かる。 -
大正浪漫系女子探偵と七支刀の殺人
天秤座高校に通う大正浪漫系女子探偵の風鈴坂紬は、難事件と聞いて自転車に曲乗りして現場へ向かった。 風鈴坂紬は現場に到着すると執事の協力を得て事件調査を進めていく。 経営者や画家などのあらゆる顔を持つ著名な立花豪氏がスキャンダル報道を苦にして自ら命を絶ってから一か月後、豪氏の弟である壮司氏が七支刀で胸を貫かれて殺害された事件である。 兄の死から間もなく傍若無人な態度を取り始めた壮司氏に対して、周囲は大きな不信感を抱いていたという。途中、三毛蘭二郎と名乗るおかしな青年の乱入もあったが、壮司氏殺害現場には倉庫から豪氏の所持品が持ち出されていることを確認したり書斎のシュレッダーから細かく裁断された豪氏のものと思われる遺書を復元させたりした。 奇妙な見立て殺人の真相にたどりついた風鈴坂紬は、関係者を集めて「さて」と言う。 -
コンパクトカー
白川奈緒美は、子宝には恵まれなかったが、夫の辰彦とともに穏やかな日々を過ごしていた。 ある昼下がり。 最近の病気を疑うほど物忘れの激しい自らの記憶違いに辟易しつつも、辰彦の誘いに乗り、自宅にてふたりで思い出深い映画を鑑賞する。 映画に見入っている最中、外から防犯ブザーの音が聞こえてきた。 突然のことに夫妻は顔を見合わせる。 一度は近所の学校に通う子どもの悪ふざけだろうと辰彦に制止されたものの、一向に鳴りやまないブザーに不安をあおられて、奈緒美は家を飛び出した。 防犯ブザーの響きに誘われるように近所の武雅野家のリビングに足を踏み入れると、武雅野家の一人娘である美園が首を絞められて殺害されていた。 警察からの聴取を経た帰路、コンパクトカーの座席に身を預けながら、奈緒美は美園殺害は辰彦の犯行ではないかと疑念を抱く。