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フェアゲーム
猫都市時刻というペンネームを用いて推理小説を書いている僕は、2025年6月某日からWebサイト『探偵役と謎』に公開されたMysteryExhibition1の短編部門における作品のひとつ『砂上の楼閣に素引きの精鋭部隊を配置している』に関心を抱いた。 作中にて提示された3つの単語から、今年4月に新潟県のとある公園前にて発生した男性の事故死が指定されているらしいことは確かめられた。しかし、フーダニットおよびハウダニットについては作品やネットニュースだけの情報では推理できそうにない。 それでも興味は冷めず作品で示された謎を解きたい僕は、新潟県在住である創作仲間ふたりに連絡を取った。 あいにく菱川あいずとは連絡が取れなかったものの、犬飼仮縫いには調査協力を取りつけられた。 戯れの安楽椅子探偵気分とともに僕は事件調査に乗り出した。 -
消えたステッキ
ある夜。古川から融資を受けている黒瀬は、衝動的に古川を撲殺してしまった。 犯行直後、不幸にも、凶器である古川のステッキを取り落とした。何かが水へ落ちる音を頼りにして、黒瀬は部屋の下にある人工池を目指して部屋を飛び出した。 しかし、古川のステッキは池には浮いていなかった。 夜の暗闇の中での捜索は困難だと判断して翌朝に賭けることにした。そのとき、人工池のほとりに男物の靴下が片方だけ落ちているのを発見する。黒瀬は、ステッキが消えてなくなった謎の手がかりになる可能性を信じて念のため落ちていた靴下を回収して自室へ戻った。 翌朝、黒瀬は必ず凶器のステッキを見つけようと改めて決意する。偵察がてらホテル内の施設を徘徊していると、売店にて靴下を購入した男性を見かける。 黒瀬は、裸足で革靴を履いていた彼に目をつけて尾行する。 -
勇者ミトと三つの宝玉
天真爛漫で心優しい少女ミトは、ある日、盗賊団にさらわれて取り返しのつかない大怪我を負わされた。 救出されて目覚めたとき、ミトの身体は完治していただけでなく活力に満ちていた。 神官によると、身体に宿っている勇者の力がミトを生かしているのだという。勇者として魔物を統べる魔王を倒す使命を託されたミトは、願いを叶える三つの宝玉を授かり魔王城を目指す旅に出た。 四天王たちをなるべく傷つけずに退けて魔王のもとに辿りついたミトは、攻撃されながらも宝玉による結界の中で懸命に和平を説いた。 ミトの説得に心揺らいだ魔王と四天王たちは自室で思いを巡らせた後話し合い、一旦ミトを受け入れると決めて彼女のもとへ戻る。しかしそのときには、ミトは結界という密室の中で、四肢を切断されて死んでいた。 魔王たちは勇者ミトの遺体を前にして真相を考察した。 -
揺れるシャンデリアの謎
江波戸しずくは、連日、自宅のシャンデリアで首を吊る瞬間の母の姿を夢で見ていた。繰り返される悪夢に悩みつつ、しずくは変わらず部活の朝練へ向かうため家を出てバス停へ向かう。 その途中、酷い眩暈と吐き気に襲われたしずくは瞳を閉じて体調不良が落ち着くのを待った。再び瞼を上げると、目の前には言葉を解す白猫トトがいた。トトの強引な案内に誘われたしずくはやがて意識を失い、気づいたときには不気味な空間にたどり着いた。 目の前には、悪夢と同じ光景が落としこまれている作りかけのジグソーパズルが存在している。 しずくは不気味な空間から脱出するため、トトに促されつつ、ジグソーパズルの完成を試みる。 パズルのピースをひとつずつ嵌めていくごとに少しずつ迫ってくるのは、母との記憶だった。過去の日々に苛まれながらも、しずくはパズルの完成を目指す。 -
朝をさがして
屋良家の人間は必ず「朝」が含まれる名前を持つ――。 7人家族の次女である十月十日は、件の命名法則を満たすために付けられた自身の奇抜な名前を快く思っておらず、命名者である父を疎んでいた。また、当該法則を満たしていながらも、比較的問題のない名前に落ち着いている兄姉や弟妹にコンプレックスを抱いていた。 そんな折、屋良家に8人目の家族が誕生する。 末妹の名前は「ふたえ」。十月十日はその名前にショックを受けた。音の響きが平凡であることもそうだが、それ以上に名前に「朝」の字が見つからないことに納得いかないのだ。 これまでの命名法則に従えば、末妹の名前にもなんらかのかたちで「朝」が含まれているはずなのだが、命名の由来を父に直接聞くのはためらわれた。 そこで十月十日は弟妹の協力を得て、「ふたえ」という名前に隠された「朝」をさがし求める。 -
二次創作
2025年4月上旬。〝探偵役と謎〟宛てにMysteryExhibition1における二次創作の扱いについて問い合わせメールが届いた。当該サイトを運営する三葭はメールを返信した。 その後、問い合わせをした人物から『二次創作』と音声データが提出された。 三葭が『二次創作』の作品ファイルを確認すると、たった数行だけが記されており、謎の提示のみなされていた。 小説とは思えず頭を悩ませた結果、三葭は送られてきた作品は題名をもとに考察して「実際の事件が一次創作、それをもとにした二次創作ではないか」と結論する。実際、作品ファイルの内容から当該事件の特定に成功した。 三葭は当該事件の記事を書いた記者を通じて、第一発見者たちの連絡先を入手する。 事件を解くことに使命感を抱いている三葭は覚悟を決めて、関係者へ連絡を入れた。 -
E-active edit
推理小説を執筆のため、AI編集者E-active editを活用してみることにした。 チャット形式でやり取りを行うものらしく、こちらの命令した内容に答えてくれるらしい。 小説の設定を打ち込み、殺人事件がどのように解決するのか考えさせていく。 事件の概要。現場の状況。容疑者。手がかり。解決させたい問題。 ひとまず、これだけ情報を与えれば十分だと思い、さっそく答えさせてみる。しかし、返された答えは、せっかくの設定をぜんぜん使われず代わりに打ち込んでいない情報が勝手に作られ使われた内容だった。 望んだ答えが返されなかったのは命令がうまく通らなかったためだと解釈し、指示を重ねる。 なかなか思いどおりの答えを返してくれないE-active editを相手に辛抱強く学習させながらどうにか小説の解決案を答えさせようと奮闘する。 -
黒雀姫
大学時代、麻雀に夢中だった私は雀荘でKと親しくなる。 ある日、Kに誘われたバーで失恋を打ち明けられた。手酷く振られて涙するKの隣で、私は以前Kから直接紹介された『黒雀姫』を思い浮かべる。やがてKから紡がれる未練の言葉は怨嗟に移り変わり、私はその場を辞した。 後日、不安を抱きながらKの誘いに乗って彼の自宅で雀荘の仲間たちとともに過ごした。 さらに数日後、私は大学終わりに待ち受けていた刑事たちから若い女性が殺された事件について元恋人であるKが容疑者として浮上したことを聞かされる。奇しくも犯行時刻にKのアリバイを証言する立場となったが、私は彼が零した怨嗟を思い出して動揺とともに思考する。 ひとりでは抱えていられず、私は事件当日をともに過ごした仲間のひとりへ、自身の推測をぶつけたーー本当にKに犯行は不可能だったのか。 -
アンソロジー第5弾_りんご・アリバイ・宿題
アンソロジー第5弾 りんご、アリバイ、宿題を用いたミステリ -
『誘拐されたので解決RTAします!』_創作レポート
「アンドロメダ座だぞ」と早口で言えるようになりたいです。ほんとーに活舌がお亡くなりでいらっしゃいますもので。いや、言える方がすごいのであって言えないから悪いってわけでは無いと信じておりますけれども。それはさておき。2024年5月19日に...