選考会内容を可能なかぎり正確に文字起こししたものです(*相槌や復唱etc.は省略している箇所があります)
便宜上、選考会ではPDFを用いましたが内容は掲載されたものと同一です(*z-0のような表記はPDFの内容に則っています)
- ミステリマップはいずれも未完です
- ネタバレ注意報
- 江戸川乱歩『黒蜥蜴』
- 東野圭吾『天使の耳』/捨てないで
- 米澤穂信『折れた竜骨』
- ネタバレ警報
- 法月綸太郎『緑の部屋』
- 東野圭吾『名探偵の掟』
テレレレッレッレッレッレッレッレッベェン
データ破損によって一部再集録しています
どこからどこまでが再集録なのか、わかりますか? ぜひ推理してみてください!
ウィウィーンウィウィーンウィウィーン
今回の運営’sヒントはーぁ……選考委員たちの様子!
予定よりだいぶ公開が遅くなったのはデータ破損とは関係なく、ケルベロスになりたい運営の気まぐれ&自分の体力を大きく見誤ったからです☆
はじめに

MysteryExhibition1:短編部門の選考会を始めます!
よろしくお願いいたします!
選考委員は、事前にお伝えしているとおり、運営のわたしと



庵字です



菱川あいずです



この3人でやってまいります
お願いします



あらすじ? ちがう、目次、そう順番としましては、最初にこのMysteryExhibitionについて軽く話して、提出された11作品それぞれに触れて、大賞作品について考えていきまして、おしまいです
ということで、まずは「はじめに」ということで
はい、最初は自己紹介から軽く……改めまして、お名前とミステリに対する感覚をお話くださいって感じです



そうですね、はい



八つ橋の上で謎解きする妖精を発見したいです、運営です
よろしくお願いします



え、今、どういう意味ですか



なんか、キャッチコピー的なの入りましたか



うー、もう、ここに意味を求めないでください、無いです
えっと、次、どうしましょうか、ミステリマップ、先に、それとも3人とも



あ、はい、いいんじゃないですか、ミステリマップで



ですね



わかりました、でしたら、ふれて……いきます
すみません、はい
わたしは基本的に、この探偵役と謎が中心にあって、そこから興味とか読書の、関心が派生している感覚です
更新しきれてないところはありますが、まあ、探偵役と謎に載っている情報がおおよそわたしの認識と一致しています
なので、ミステリは「提示された謎に対して論理的かつフェアな解答をするものだ」と、認識しております
ですから、謎が提示されていることと、論理的かつフェア、つまり納得できるのかを楽しむうえで大切にしております
なので、どうしても意図せず……いや、意図はしているのか? 悪意とともに読んでいる部分がどうしてもあると思うので……ナンセンスな指摘にはならないよう気をつけていきたいと思います
ありがとうございます
はい! では、お次、あんじさんか菱川さんか……



じゃあ……わたしから



庵字さんお願いします



新生ミステリ研究会会長の庵字です
選考委員を務めさせていただいてます
私は、ミステリと言えばまあ、運営さんが語ってくれたことがほぼすべてじゃないかなと思っていますね
謎と解決、どちらも無ければならない――まあ、謎無くして解決は無いと思うんですけれども、私はそれに加えて論理的ってみよしさんはおっしゃいましたけれど、やっぱりフェアなところは気をつけてほしいなって、思って、読んだり書いたりは、してますね
やっぱり読者への挑戦だとか、そういうのがさかんなジャンルですので、探偵と読者がまったく同じ条件、まったく同じ手がかりを手にしたうえで、もしかしたら読者にも謎が解けるかもしれないそういうゲームの要素はあると思いますんで、とくに本格ミステリは
なので、そういうゲームの部分はこだわっていきたいところです
はい



はい、ありがとうございます。
ちなみに、今、ミステリマップ見れますか?



あ、そうですね、ミステリマップ!
わたし、かなり詳細なかっこいいものを作っていただいて
基本的にミステリというよりは、名探偵と言うキャラクター、要素を好きでミステリを読み始めたっていうところがありますので、好きな名探偵を中心としてミステリマップを考えてみました
その中でも、古典や新本格などのミステリの歴史の流れを意識したいと思いましたので、中央に名探偵の像を立ててマップを4分割してそれぞれミステリに関する時間の流れ・歴史を感じ取れるようにしておいて
なおかつ、私はもうミステリは趣味として読んだり書いたりしていますんで、もう現実世界とは切り離せないものなんで
左上の市街地エリアは現実世界と地続きのものを置いて、ミステリと我々の世界があって生きているんだということをここで表して、表せるようなものをここに描いてみましたということです
描いてみましたというか、描いてもらったということですね……はい、以上になります



ありがとうございます
拍手



では、菱川さん、お願いします



はい、ありがとうございます。まあ、あの、最後にね、あの、あの、金魚のふんなので、僕はね、皆さんの後に



いやいやいやいや笑



何おっしゃってるんですか笑



なんで会長が最後じゃなくて僕が最後なんだっていう、そういう笑
副会長です、副会長、新生ミステリ研究会の、副会長
菱川あいずです
で
えーっと、ミステリマップ! ミステリマップ、えー、みよしさんに、運営ことみよしさんにいただいて、本当にありがとうございます
なんか、こう、こんな素敵な絵を、作ってもらえるなんて思ってもみませんでしたので、ちょっと、あの、とても嬉しく思います
で、なかなか僕も、あのー、方向音痴何で、マップとか、あのー、あんま慣れてなかったので
なんか、ちょっと、あの、無機質な内容になってしまっているんですが
まあ、あの、基本的に僕、まあ、あの、ミステリ書いてる人間として、まあ、ミステリ、執筆のミステリの背景、あの、こういうの参考にしたな、影響受けたなって言うのを中心に、あのー、配置している形です
で
あのー、左下のほうは、これ、あの、これねー、泉ですね
で、ここの泉に入ってるやつらは、あの、まだ形にしてないけどいつか形にしたいなーと思っているものたち、と言う意味ですね



はい



はい、それでね
えーっと、僕の、なんだっけ、好きなミステリ、あれ、なんだっけ、ミステリとはこういうものだっていう



あ、はい
ミステリとして優れていると感じる条件です



感じる条件ですね、はい
それは、ね
僕も、そういう、あの論理とか、あの、もともとパズルミステリ、あの、そういう、あの、論理と論理が組み合わさったところ、論理を、こう、きれいに構築して、パズルを仕上げるというところが好きなので
やっぱり論理性を重視しているところなんですが、他方で、あのー、メッセージ性、もうちょっというと、あのー、組み上がったパズルって言うものがどういった絵を描くのか……っていうところは見たいなぁ、って思います
ミステリって、あの、ミステリでしか伝えられないメッセージ性、あの、社会的なメッセージであったり道徳的なメッセージであったり、逆に反道徳的なメッセージであったり
そういったものと、そういったものがどんだけインパクトがあるか
で、そのインパクトをどうやって伝えるのか、その手段として論理がどうきれいに使われているのかっていうところを僕は見たいなぁって思っています



はい



以上です



はい、ありがとうございます!
拍手



庵字さん



はい



そういえば、なんか、論理のアクロバットについてお話してくださった記憶があるんですけど
今、お話しできますか



ああ、話しました
話しましたね



よく覚えてるね、思い出しました



メモしててて、もので
できるならお願いします



ちょうど家にいるんでね、参考文献を読もうかと思ったんだけれど……どこにかいてあるかわからないので、やっぱりアドリブでしゃべります



あ、お願いしまーす



笑



私は、ですね、さきほど論理のフェアさって言うのを言ったんですけれど、ただ単に論理があってフェアなだけで良いのかと……いうのは、やっぱり、やっぱりそれだけでは面白くない、と
さきほど菱川さんがおっしゃったように小説である以上はそうであって欲しいって言う……やっぱり推理自体にも面白みがないといけない
これはですね、推理作家の都筑道夫、っていう推理作家が提唱したんですけど〝論理のアクロバット〟っていう言葉があるんですね
どういう言葉かっていうと、ただ単にAっていう証拠があってそれに該当するのがBだからBが犯人だよっていうんじゃなくて、それがね、なんていうのかな、一見繋がらなさそうなものが、よく考えたら繋がるみたいな、感じで
まさか、これが、この人、この証拠、この事象を表していただなんてっていうような……一見すると直接つながらない話題がアクロバットしている、前方宙返りをして、そこにあるというような
そういうね、証拠と、証拠品とその答えの間に1アクロバットつけてほしいというのは、私、すごく重要視していて、私が自分で書くのにもあって欲しいなって、いれたいなって思っていますので……そういう、ただ単に、論理的に、これこれこういう証拠からこれこれこういうふうに考えていけばこの人が犯人だよねって言うんじゃあなくて
ここに、あ、ここでそういうような論理があるのかって
そういう風に考えればこの証拠が、一見何も関係ないような証拠が真相に繋がるのかっていう、そういうアクロバティックな論理・推理って言うのが私、大好きなので
そういうところが、やっぱり興味を持っちゃうんで
そういうところに期待してしまいますし、自分でもしたいとは思ってはいます



はい



こんなとこでしたかね?



そんな感覚だったような



ねぇ
丁寧になってました、さらに
ありがとうございます



ありがとうございます
なんか、こんなかんじでパス出すので、シュート決めてください



わかりました



はい



おねがいします



かつてのね、本田圭佑みたいに、パスがすごすぎて、こちらがついていけないみたいなことになりかねないので



いえいえ、おふたりならどうにかなると信じています



キタオミのようには、ならないように



はい、あの、本当、気をつけます



いえ、あの、雑なパス出すこともあると思いますが
笑
提出された作品群
全体について



よし、では、ここで一旦、はじめにが完了したということで
提出された作品群について、確認してまいります。今回の短編部門では、フリガナを除いた文字数が8000文字未満であるミステリを条件としておりました
その結果、11作品が提出されました



多いですね、11作品も提出されると思っていなかったので



ほんとにそうです



5作、6作くらいで



いえ、本当に
片手に収まるくらいかなぁと思っていたので
本当に、作者の皆さま、ご応募ありがとうございました



ありがとうございます



ありがとうございました



あの、ちなみになんですけど



はい?



前回聞かなかったことなんですけど、8000文字までじゃなくて8000文字未満にしたのは何か意味があるんですか?



まったく無いです!
笑



8000文字は未満なので該当しないですよね
7999文字が上限になりますよね



あの、こんなに8000ギリギリがたくさん応募されるとは思っていなかったんですよ



なるほど



ああ、なるほど



感覚として、短編は8000文字あれば物語として成立するって言う感覚
まあ、あの感覚なんです、何も参考文献も根拠も、何も無いんですけど
その感覚をもとに8000文字かなぁっていう設定をした、だけ、です



その感覚は正しいですよ
むしろ、短編で8000文字ってちょっと多いなぁってくらいの感じなんですけど、MysteryExhibitionの要綱に論理的に謎を解くって言うのがあるので
それをやろうとすると、ちょっと8000文字だとギリかな、と



ああ、苦しんだ方が5名くらい……いますね
笑



でも、本当に、絶妙なレギュレーションで
今、庵字さんも言ったように、たぶん珍しいと思うんですよ
なかなか8000字以内でやれって、言われたの、おそらく参加者の方々、はじめてだと思うんで
そうした中で、このMysteryExhibitionでしか出てこないような作品、まあ、そのー、化学反応、起きたんじゃないかなって思いますね



謎を提示して、それが解決されるってだけなら8000字も
いま8000文字ギリギリのが何作かありますけど、これ、もう5000字くらいに下がって良いと思うんですね
でも、そこで、なんでこの謎がこういうふうに解けたのかっていう手がかりまで入れようとすると、ちょっとアップしちゃうかなって思ってしまいますね
この辺、だから、せめぎ合いになって8000文字ギリギリまで使うって言う、作品が増えたんじゃないかなって、思いますね



なるほどです
一応、個人的には、3つの部門の中では、えっと、短編部門、指定文使用部門、名探偵創造部門、この3つの中では最も制限が緩いと思っているんですが……そのあたり、いかがでしょうかね



そうですね
別に、特別なことをやれって言っているわけでは無いので
ようは8000字以内を満たしててミステリであれば、既存作でも送っても良いってことですもんね?



はい



だから、これは、ね
最初の応募要項としてはすごく良かったと思います



まあ、間口を広げるっていうところですよね



そうですね



まあ、気軽に参加できるというところですよね



はい。あの……苦しんだ方には申し訳なかったですね



うん
もう1文字でもオーバーするとアウトじゃないですか



そうなりますね笑



もう、怖いですよ
8000字程度じゃないから



ですよね



8000字程度だったら、幅が生まれちゃうかなって思って
生まれてよかった、のかな。今思うと



まあ、試験業界だと確か、あの誤差2割だとセーフで
誤差2割を超えると減点されちゃって――みたいなね



あー、中学受験のときやった記憶あります
8割は書くようにって、言われてました



8000字の2割だったら、はちにじゅうろく、あと1600文字書いて良いっていうことですか



そういうことですね



大分緩いですよね



かなり緩くなりますよね



たしかに、1000文字あればいろいろできますよね、だいぶ



だいぶできますね



……なんか、おふたりともしゃべってくださって助かります
笑



いえいえいえいえ



1回やってるから笑 なんか、あれみたいですよね



はい?



自分だけ記憶を持って過去に戻るみたいな



ははっ、ありますねー



めっちゃありますね



なんか、そういう感覚で
笑



えーっと、そうですね
各作品について話す前に、ですね。今回、選考委員の方にも作品提出するのOKです! って、事前にお伝えしていて
その、それ、えー、それによって選考委員の中で選考委員の作品を大賞に選出するのは平等性に欠けるのではないか? という議論が持ち上がりました
わたしとしては、選考内容を全部開示する、ホワイトボックスにすることで回避できると考えていたので気にしていなかった内容です
でも、あの、おふたりから言われてはじめて気にした内容でして
この件に関して、おふたりは最初、否定的な雰囲気、でしたよね……? 少なくとも、あの時点では



そう、うん、そうですよね



そうですね



でも、まあ、今回は結局、選考委員の授賞はアリということで進めていきますが
あの、軽ぅくどんな話したか覚えていらっしゃいますか



その前に笑
この画面に出ている「わー」って何ですか?
(*Zoomの共有画面、スライドのこと)



え? ああ、なんか、言うだろうなぁっとおもって
わー、と
ああ、「わー」って



わーっとしゃべれと



わーって、そういうこと



はい、そういうことです



カンペね! わーっとしゃべれと、カンペね



はい、お願いします



昔、あ、ぜんぜん関係ない話なんですけど



はい!



昔、アルビレックス新潟の監督に吉田達磨っていう人がいて



うん



監督さん



その人がハーフタイムに選手に指示を与えるときに「わーっと行け」っていう指示を出したんです
わーっとしゃべれと



おー、同じ指示っすね



笑



これ、たしか最初、菱川さんのほうからでしたっけねぇ?



えっと、あれ? あんじさんだったかと



え。いやいやいや、あんじさんでしょ?



あれ、そうでしたっけ



はい、ある日、あんじさんがLINEを送ってくださって



そうでしたか……ああ、そうでしたね
なんで私これ言い出したかと言いますと、これ前回は話してなかったと思いますけど、あの、短編部門が締切りになって作品公開されたときに、まずまっさきに作者探しが始まったたんですよ、SNS上で



はい
計画通りです



うん、うん



それで、私の作品が光の速さでバレたと
笑



もう、思っていた以上の
それで、その作品が万が一、大賞に選ばれたら、あまりよろしくないんじゃないかと
それで、確認もこめて、こういう事態はどうなんですかって
私的には、選考委員の作品って、こう、賑やかしと言っては変ですけど、選考委員も出してるけどっていうくらいの感覚でいたんですよ
そうしたら、もうみよしさんがガチガチに考えてきてて



はい、でしたよ



それで菱川さんのほうにも意見確認したらやっぱりそれはどうなんだろうって話になって、一悶着あったというような流れでしたね



ありましたねー



そうですね
あのー、僕のほうでも、やっぱり、そのー、選考委員の作品と言うのはまさに、その、あんじさんが言ってくださったように、まあ、賑やかし程度かなぁっていうふうに考えていまして、まあ、実際に、実際にね、選考委員が選考委員の作品を選んだら、その、興醒めでないかと、いうふうにLINEで送ったら、みよしさんが興醒めって何ですか? ってね、聞いてくるから……いやー……「んー、興醒めって何だろうな」ってなったんですけど、ねー



なりましたよね笑
考えさせられました



そう、考えさせられた
まあ、ただ、まあ、なんというかやっぱり、そのー、ね
実際に、客観的に、作品を、まあ、その、審査して、要はその贔屓なしでね、フェアで審査したとしても結果として、やっぱ、審査員が審査員の作品を選ぶというのは、やっぱ、これはどっかでそういう贔屓があったんじゃないかとか、まあ、おてもりなんじゃないかみたいな感じで見られるんじゃないですかと、いう感じで、そういう趣旨のLINEを送ったと思うんですけど、まあ、結果として、いや、それという、それ自体の、なんだろな、あの、選考委員の作品をどんなに優れてたとしても選ばないという一種のヤラセになっちゃうので、まあ、それはフェアじゃないということになった……ということですかね?



そうですね
あの、これ前回話したかどうかわかんないんですけど、選考委員の作品を除外するってのは、逆フェアというか、仮に選考委員の作品が一番優れているのにそれを選ばなかったってのは、なんか、ねえ……仮に、仮に選考委員だから選ばなかっただけで本当はこれが1番おもしろいんだぜ、って
ちょっとおどけたような感じになりかねない、そういう捉えかたをする人もいかねないので、選考委員の作品も平等に審査に加えるっていう方針は、やっぱり良かったと思います



あ、良かったです
笑



本当にフェア、正真正銘のフェアですからね



そうですね



まあ、作者側の人間がふたりいるわけだから
みんな自分の作品を取っていくことは、まあ、無いと思うので
こんなのナルシストでもないかぎりね
だから、もう、ほかのふたりがその作品を推したんだったら、もう自分の意見はひっこめるしか無いと
素直にありがとうございますと受け取るしかないんですよね



はい
そのとおりです



まあ、そういう、そうですね
そういう事態になったらそうでしょうね
そうだ、なんか、あれだっけ
結局、僕らが送ったLINEだったりは貼るんだっけ?



あー、はりまーす



あー、結構、公開していきますねー



そうなんです、はい、あの、ちょっとね、LINE、あの全然、サッカーをたとえに使ってますけど、全然意味わかんないと思うんで
若干、解説すると、まあ、あの、僕ACミランが好きなんですけど、ACミランついこの間までセルジオ・フォン・セイソン、セルジオ・フォン・セイソンというあの、元ポルトガル代表のね、あの、人が、監督をやっていたんですけど、今ポルトガルには息子がいるわけですよ、フランシスコ・フォン・セイソン
で、そのー、例えばね、正直、あの、フランシスコ・フォン・セイソン、この前の、この前の? この前っていうか、まあ、この前の代表戦でも出てた優秀な選手なんですけど、じゃあ、仮に、セルジオ・フォン・セイソンのチームにフランシスコ・フォン・セイソンがいて、それで、あの、レギュラーとして使っていたら、いや、フランシスコ・フォン・セイソンが如何に優秀な選手だとしてもやっぱりそれに対して、ねえ、なんか、やっぱり親が子を贔屓しているんじゃあないかって意見が、見えかたとして挙がってきちゃうし、もしかしてそれで負けたりしちゃったら、んね、もう目も当てられないようなことになっちゃうじゃないですか
っていうところで、ちょっと、ようは、ここで息子を使うのは、使わないほうが監督としては安牌なんじゃないですかー、っていうような話をさせていただいたんですよ
まあ……ヤラセだと
フェアじゃないと、いうことになったと
そういうことですね
あのー、今わりとセリアにはこういう2世の選手が結構多いので



へーぇ



こういうのは実際に
フェアなのかどうかって、実際にね、議題には上がってて



サッカー詳しくないので、勉強になります
まあ、こういう何かを選ぶっていうことをする、その行為自体の中で、全員が全員納得できる保証はどうしてもできないのですが、やっぱり嫌な気持ちになる方が少ないほうが安心できるので、このような形にしております。個人的には、納得できないウンヌンということによって殺し合いに発展しなければ、もう何でもいいかなって思っております



まあ、あの、殺し合いに発展する可能性もありますからね



ありますか?



えあー、あるんじゃないですか
まあ、サッカーとかでしたらね、審判のジャッジがどうだ、PK外したとかねー



ねー、ピストル持ってるからね
撃たれたとか、あるよ



あー、見たことありますねー……ん? あるかな?



まあ、少なくとも殺されないように、ちょっとこの審査でね
ちょっと、こう、忖度するみたいなことをよしにして
自衛しましょう、そこは



えー、するんですか?



はい



え? するんですか? 自衛は構いませんけれど、忖度するんですか?



じゃあ、忖度しないでセコムとか
呼びましょ



ああ、なるほどです



笑



うん、本当、ちゃんと襲われても大丈夫なようにしましょう
護身術とかね



んあー、大切ですねー



うん、そうそうそう



まあ、そんなこんなで選考委員は選考委員が書いた作品、把握できてます、おおよそ
なので、大賞選出のときに、伸るか反るか、楽しみにしてください!
ということで、わたしもしっかりかき乱してまいりますので
心理戦勃発を期待して、波乱の選考会、はじまります!
拍手
各作品について
a.黒雀姫
概要


- 最初から最後まで、一貫して雰囲気が良い
- 電波時計ゆえのアリバイトリックが面白い(庵字)
- トリックのフェアを担保する情報or『電脳』の指摘、どちらかがもう少しあったらもっと嬉しい(みよし)
- 若者は飲酒したらたぶんもっと暴露っぽい話をするはず(菱川)



『黒雀姫』について。ちゃんとジャンって読めるようになりました



うん
笑



えーっと、『黒雀姫』の中で提示されている謎といたしましては……1文目で明記されている「私」の知り合いである人殺しは誰のことなのか。Kに犯行は可能だったのか……こちらの2点だとわたしは認識しております。いかがでしょうか?



うん。まあ、ひとつめのところに関しては、まあ、なんというかミスリードを狙ったみたいな。一種の叙述トリックみたいなものだよね



最後に意味がわかるっていうね。そういえば出てきたときは半分もいってないんだけどってね



あ! ってなる感じですよね
まず、この『黒雀姫』という題名が素敵だなぁって言うのははじめに思いました。その、黒雀っていう全身が黒い雀がいらして。読んで字のごとくなんですけど、何らかの原因でメラニン色素が増えて全身が黒い、黒くなった雀さんのことで



アルビノの逆みたいな?



そうですそうです。そのイメージです。それで、えっと……麻雀のジャンと登場人物の一人の呼び名でもある『黒雀姫』のジャン、どちらも雀を、こう、かけてて。おしゃれだなと思いました



ん。なんで麻雀のジャンは雀なんだろうね。逆にね。聞いてて、そういうふうに思いました



たしかにー
*諸説あり(ゲームに使用する牌を素早くかき混ぜるとき雀の鳴き声のように聞こえる//中国語で「雀」は鳥を表す言葉として用いられており、「雲雀ヒバリ」「金糸雀カナリア」「孔雀クジャク」のように「麻雀」=すずめのこと/麻雀用語に鳥に関する言葉は多い)



まあ、そうですよね。やっぱ、このタイトルは登場人物の名前でもあるし。タイトルかっこいいですよね。
これあのー、えっと、音読みじゃなくて訓読みをしたらクロスズメヒメって……これはなんか、またそれはそれで和風ミステリができそうな。そんな感じしません?



いやあ、使えます使えます



私、この『黒雀姫』ってタイトル聞いて真っ先に思い起こしたのが江戸川乱歩『黒蜥蜴』でして



マジョマジョー
*資生堂系列ブランド「MAJOLICA MAJORCA マジョリカ マジョルカ」のアイシャドウ:シャドーカスタマイズにおける名前(RD303すずめ/BK922黒蜥蜴)を連想。さすがマジョマジョ尖ってらっしゃる。



で。これも女性犯罪者の話なんですよね。トカゲはもう、漢字で蜥蜴で同じだし。黒○○っていうのは女性犯罪者の話にはすごくマッチする名前なのかなとも思って。すごくキャッチ―だし、これがね、エキシビションの一発目で来たってのは掴みとしてはすごくOKだったかなと思いますよね



そうなんですよね! これ、一発目に来てて。これ、ちなみに一発目ですけど、提出順じゃ一つ目だったってことなんですか?



そうです、いちばーん、最初に提出していただいた作品です



あ、じゃあ、そうすると



サイトのはぜんぶ提出順に並んでるってことですね?



ああ、そうですそうです



なるほどー。だとすると、その、図らずしてってことだと思うんですけど。これ一作目なの僕もすごく良いなって思っていて



ですよね、初っ端からね



そうですね。やっぱりこの作品って、まあ、あの、叙述トリックが使われている作品で、まあ、あの、読者を騙しに行くぞー!っていう気概がものすごくある作品なんですよね。だから、やっぱり、ミステリ短編集……短編ミステリってそういう、あの、なんだろうな。ひとつのおっきい仕掛け、読者を騙してやるっていうひとつの仕掛け、そういう作品の、短編って僕はすごく好きなので。あの、すごく良いなって思います



そうですね。これ、短編で。菱川さんも今おっしゃったような「読者を騙すぞ」っていうバリバリに気合入った作品だと思いますし、主人公の一人称で書かれているんで。一人称って言うのはとくに叙述トリックとすごく相性が良いし、短編でもう5000字くらいのなかに、もうバシッと決まっていると思いますよね



そうですね



まあ、それでいてちゃんとトリックがあるしね



ありますねー



ミステリ好きが、あのー、うん。よだれが出るようなトリックが使われてるというところで。かなり、そのー、最初を飾るにはふさわしい作品だったんじゃないかなあと



はい。
あの、今、トリックっておっしゃってくださったんですけど。わたし、このトリックにちょっと気になるところが



おー、物申したい?



ありまして



あ、時計のやつ?



そうです、あの、時計を上下反転させて時間を誤認させるっていうこのトリックなんですけど。まず、この作品、最初から最後まで雰囲気、こう……古き良き、ちょっと陰鬱とした雰囲気が最初から最後までつづいていて、読んでいて魅力的な文章だと思ったんですけど



はい



このトリックを成立させるには、んあ、成立させ……成立しているっていうフェアな条件を提示させるためには、季節に関する内容が提示されてないともったいないのかなっていうのを感じていて



季節?



季節です。
あの、これ、時計を反対にするっていうことで夜の23時頃と朝の5時半頃、このふたつの時間を、が、誤認させないといけないわけですよね? そうなると



これ朝ですか? 5時半って



朝、じゃないですか? 5時半のほうは……あえ?



いえ、それなら全然OKです



え? あ、すみません……。えっと、これ、事件のあった日が冬なら、冬でないと、5時半は日が……日の出が既に、日が昇ってしまうじゃあないですか。朝に、夏とかだと。



はいはい



そうなると、誤認できませんよねっていう、ところ、ですね。夜の23時と朝の5時半を



うんうん



なので、事件があった日は冬だったとか、寒い日だったみたいな。黒雀姫についても以前紹介されたときも含めてだと思うんですけど、1年くらい前に現れたときから常に黒いセーターに身を包んでいるそうで。季節は明記されてないんですね。サマーセーターにも黒はありますし。彼女がセーター姿だから寒い時期とは書かれてないんです。だからそういう記述が無いにしても……あの、私がKの家に行くわけなんですけども、その日は凩が吹いていた、みたいな。そういう言葉が含まれているだけでも寒い時期なんだなっていうのが伝わるのでトリックが成立するっていうのを主人公の私が思いつけるなって。ちゃんと条件に入れられるのではないかな、と感じました



なるほどね



っていうのと。掛け時計を使っているじゃあないですか。この掛け時計、180度回転させたら、ひっかけるところが上手くはまらなくて不安定なんじゃないかっていう笑 ちょっと重箱の隅ツンツンしたようなことも、考えてしまいました笑



掛け時計っていうのは12の上のほうにしか穴がないからね*
絵で補足



そうなんですよ。まあ、ここは重箱だとして……。
さいごにもうひとつ。麻雀が日本に入ってきたのは大正時代なんですけど、あー、大正時代で、この、大学生、主人公は大学生なんですけど、その、どういう大学生なのかっていう詳細は書かれていないので、これでは作品の年代が比定することができなくて。あくまでも、想像するしかないんですけれども、作中で~壁に掛けられた楕円の文字盤のない、アナログ電波時計を確認すると~ってあるように、トリックに使われた時計が電波時計だってことがわかるんです。
みよし ここで、一般社団法人日本時計協会によると、電波修正時計というのが1990年にドイツで初めて売られて、日本国内のやつは1993年から販売なんですね。なので、そのー、正式運用は1999年からだそうですけど。それで、あの、小説の一番最後に~あれから実に四十年近い年月が経ったが、Kに誘われたあの日を最後に、私は麻雀を打てていない。~ってあるので、事件からすでに40年近く経っているっていうのがわかるんですけど……事件は早くとも1990年代なんですよね。 https://www.jcwa.or.jp/



そうですね



はい、あの、国内に電波修正時計がないといけないので。そのころの大学生って、あの、これはわたしの偏見なんですけれど、大学受験を経験、大学受験に限らず受験を経験してるなら腕時計を持っているんじゃあないかなって……いうのが、ありまして。腕時計じゃなくても、この時代には、携帯電話もあるんですよ。あるいはポケベル? あの子たちも時間の表記ができるみたいなんです。軽く調べたら。だから、自分の腕時計や携帯で時間を確認する可能性に対する言及がないっていうのがもったいないなって感じたところで。
この作品、確か文字数が5000文字届かないくらいで



短いですね



うん



文字数的な余裕はたっぷりあるんですよ、2000文字くらい。で、今お話してたトリックもこの主人公の推理なので誤りがあって然るべきなんですけど、その代わり『電脳』、この作品で主人公の推理ミスを指摘してくれる探偵役の『電脳』がいるんですけど。彼の謎解きパートに、もう少し力というか情報量をこめていただけたらわたしは嬉しかったなと感じます



なるほど



うん。
この、電波時計がね、あのー、初めて日本に入ってきたのが1993年だっていうのはとても勉強になったなって。
たしかにそこまで踏まえると、ねえ、40年前の話で、いや、何でそれがあるんだよっていうのは、たしかにまあ、矛盾、オーパーツみたいな話になるかもしれないんですけど、まあ、なかなかそこまでは実際問題調べないかなー。



まあ、はい、そうかもしれないです



まあ、みよしさんも指摘したとおりね、これは捨てトリックであって。まあ、どこまで、これを、こう……ね。力を入れるかっていう話になるのかなって思います。
あと、まあ、僕、この作品の中でそこの時計のトリックに関しては一種のサービスだと思ってて。こういう、ミステリ好きな、あのー……いってしまえば、まあ、バカトリックだと思うんですよ。本当。時計を逆さにするって。別にそれをする必要もない、というか



ないですね



あの、そうそうそうそう、あのー、みよしさんが言ったみたいに腕時計とかもあるし別にそういう時代、そういう時代で腕時計もある中でわざわざ掛け時計を使ってね、わざわざ逆さにして、それによって時間を誤認させるなんて。そこまでやる必要は無いんだけど、そういうことをやるのが、ミステリ書きとしての心意気と言うか。
笑



ミステリ好きに対するサービス精神みたいのを感じたので。僕は、もう、これ、あのー、なんというか仮に穴があったとしても心意気が好きですね、もうこれは



はい、わたしも心意気は好きなんです。心意気は好きなんですけど、その……もう少し期待しちゃったなっていうところですね。その、このトリックは別に、もう、先ほども申し上げたとおり主人公が話したやつなので、捨てトリックなので完璧は求めていないんですけど、これを思いついた下地? 主人公がどうして思いついたのかっていう、そこをやるか、『電脳』にあーだこーだ指摘してもらうか、どちらかがあったら良かったなってお話です



うん。なるほど。これ、あの、えっと、あー、どうしよっかな。庵字さんがいわないんで、作り変えちゃおっかな。僕、あの、このトリックに関して必要性がないっていうのは。まあ、普通に考えると、よくミステリであるのは時計で、時間をずらしちゃう、と。このー、裏の、なんだ、ネジみたいのを巻いて



龍頭で



時間を変えちゃえばいいと。時計を逆さにしなくても、ネジを巻くことによって誤認させたい時間にしちゃえばいいかって。普通に思っちゃったんですよ。どうですかね



これはですね。私、この作品で、時計のトリック好きなんですけど、これ小技が効いてるって思ってるんですね。わざわざなんでこの時計を電波時計にしたのかっていう意味がここで出てきてるんですよ。電波時計は名前のとおり、電波を受信して自分で勝手に正しい時間に修正するっていうものなんで。
龍頭で勝手に針を動かすってことができないっていう機種もあるんですね



あっ、そうなんですか



おー



それで、できたとしてもある程度の時間が経つとまた電波を勝手に受信して、もおう自分で正しい時間に戻しちゃう、と



自動で。はい



そういうものなんで。Kさんですか、Kの家の時計がそういうものなんだ、いくら針を動かしたところで何十分かしたら勝手に時計の針が戻っちゃうんで、それだったらもうさかさまにしてしまえばそういうミスは逃れられるんですよね
ただこれ、11時半を5時半に見せるってのは意図したものじゃなくてこのアリバイに使おうとした時計が電波時計で、針が勝手に動かせないタイプのものだったからやむなくこう使ったんだっていう解釈を主人公がしたんだろうなということを、私は思ってますね



書かれていない行間を読みまくった、って感じですかね



そうですね。これ、まあ、みよしさんがおっしゃってたように余った字数で補完してくれればなお良かったかなっていうのは思いますけど。なんか、察してくれって言うのはあったのかもしれないですけどね
笑



たしかに、ミステリ読みなれてる人って、なんかそういうのできますよね



そうですね、あるていど「わかるやろ」って。もしかしたらね、ちょっと冗長かなって作者が削ったのかもしれないんですけど、短くするために



たしかに



そのような意図があったんだろうなって、私は思いました。電波時計ならではの時刻誤認トリック、そしてこれはよく機能しているし。捨てトリックなんですけどおもしろいなって思いましたね



ですね



……。あ、では、いいですか



んえ? はい



えっと、この作品に関して、僕がとても好きな点を2点と、あとちょっと最後に一つだけこのここは欠陥なんじゃないかっていうのを指摘させていただきたいんですけど
まず一点目に、まあ、あの、まあ、先ほど皆さんも言ってましたけど、タイトル。あの、この『黒雀姫』って名前がかっこいいっていうところなんですけども。これに関して、あの、僕、あのそのー、新生ミステリ研究会のホームページのコラムで『方舟』に関して書かせていただいたときに、ようは『方舟』はどうしてあんなに、こう、優秀、すぐれた作品なのかってところを書いたときに、その、どんでん返し前の、そのー、ストーリーの見立てよりもどんでん返し後のストーリーのほうがしっくりくるっていうところを要素として挙げさせていただいたんですね。で、この作品に関してもどんでん返し前よりもどんでん返し後のほうがしっくりくるなーっていうふうに思っておりまして。というのも、どんでん返し前というのはこの黒雀姫っていうなんだか名前がとってもかっこいいヒロインが、まあ、殺されちゃうっていう。こういうのがどんでん返し前。どんでん返し後っていうのは、実はこの黒雀姫っていうのが生きててむしろ黒雀姫がようは人を殺めていたほうだったと。被害者ではなく加害者なんだっていう、そういう逆転があるんですけど。どんでん返し後のほうがめっちゃしっくりくるんですね。やっぱ、黒雀姫ってかっこいいから、そんな簡単に殺されたりしないんですよ。



笑



それで、どっっちかっていうと、そのー、ねえ、あの、しれっと人を殺すねえ、あのー、なんだ、あの、闇の暗殺者みたいな。そういうことのほうが合ってますので。なんか、やっぱそこがどんでん返し後のほうがしっくりくるっていうところが、あの、ネーミングと合わさって、合わさったっていうのが、僕、この作品の好きなとこです。
あともう一点は、この、あのー、友人ですね。このー、果たしてこの人は人を殺したのかしらって。この友人の名前がKって。この、あえてKってアルファベット表記してるっていうところが洒落ていまして。
これやっぱりKっていう表記だと夏目漱石『こころ』を連想させるんですけど、あの『こころ』ってのもこう、Kという人物は一体何を考えていたんだろう、どういうことを考えて行動したんだろうってことをいろいろと考える作品だと思うんですけれど。雑にいうと。んで、この作品はやっぱりKが一体何であんなことをしたんだろう、Kは一体何を考えているんだろうっていうふうに、まあ、想像を働かせるって意味では、夏目漱石の『こころ』を、なんていうか、かなり想像、違うな、かなり、えっと、想起させるようなそういうストーリーで。上手く、このKという名前がうまくつかわれているなっていうのが感じたところです



はい



で。最後に、ちょっとごめんなさい。ぼくが一点ちょっとこの作品で、ちょっとこう、かいぜんしてほしいなぁっていうところを言わせてもらうとすると、あの、この作品の肝というものは、主人公がKの恋人というのは黒雀姫ひとりしかおらず、ゆえにKが、そのー、振られたというのをバーで打ち明けた恋人=黒雀姫なんだというふうに誤認してたっていうところが最大の肝なんですけど、そのー、ちょっと、あの、そこは不自然かなって思うところがあって。
なぜなら、あの、この作品だと、その主人公が黒雀姫のことを以前から知っているんです。で、このKと付き合っている、恋人だということを知っているんですね。で、その後にKから、俺、恋人に別れ、振られたんだよーっていうことをバーで愚痴られるんですよ。愚痴られるんですけど、愚痴られてる間に、え、振られたってお前の恋人ってあの黒雀姫だよな? っていう話を、しないはずがないと思うんですよね



んー



あの、バーでクダを巻いて話しているわけですから、あの僕のイメージでは3時間でも4時間でも話しているわけですよ笑
その中で、いや、お前って黒雀姫に振られたの? って。いやいや違う、別の女だよって話が出ないはずがないって僕はちょっと思っちゃうんですよ。だからちょっとこれは、そこを考えるとアンフェアかなーっていう感じが僕はしてしまいました



その、最後のところに関しては、わたしはKは、その、濁すんじゃないかなって言うのは感じました。その、二股って言いふらすものでは無いんじゃないですか?



いや、でも、さすがに俺恋人に降られたんだよーって言ってバーで話している中ではでてくんじゃないですか?笑 って思っちゃいますよね。まあ、とはいえね。何と言うか、そこはそれぞれの人の感覚なんじゃないですか。経験によりけりなのかもしれないですけど



そこはなんか大学生って設定が効いてくるのかもしれないですね。まだ若いから、そこまではね、って。あー、でも若いから突っこむのかなぁ



え、いや……え?



しゃべっちゃいますねー。若者は、もう、それ言います?ってことまでしゃべりますよ



え……



酒が入ると違いますよね、やっぱり笑



酒飲んでるとしゃべりますよ



大丈夫ですか、そんなこと話して笑



……え、どういうこと?



ぜんぶ公開するので。今お話したこと



え、いやいや、あ、でも、いいんじゃないですか



いいですか?笑



うん、どうぞ



じゃあ、まあ、このあたりは、読んだ皆さんにも是非を問いたいところですね



そうですね



うん



このあたりですかね、『黒雀姫』は



はい、そうですね。これだけ長くなっちゃってもあれですから。いや、まあ、長くなりがちな作品なんですけど



このペースで行くとぜんぶ長くなりそうな予感がするんですけど



笑



いやいやいやいやいや! あの……まあ、それでもいいんじゃないですか。
いや、ちなみに僕は今日、天井無いんですよ



わたしも、もういいやって思ってます



そう、僕の妻と子どもが出てっちゃいまして



え



え、なんで



なん、え?



それは、あの



大阪、大阪万博。大阪万博行ってて



あああ



本当に……笑



なので久々に、そうそう久々になんか、独身状態



もー、怖いです。怖い言いかたしましたよね?



笑
うん。なんか、大阪万博行ってるの。なんか、ワニの肉食ってましたね



ワニ!
*アメリカなら庭にでるらしい。アメリカ行きたいお年頃なのに機会が無い。涙



万博で食べさせてくれるんですか



そうそうそうそう。なんか、オーストラリア



へーぇ



カンガルーとかもあるんですかね



カンガルーもあるんじゃない? なんか赤坂でもカンガルー食べられますよ



え、あ、そうなんですか?



ちょー不味いですけどね
笑



今度ぜんぜん案内しますよ。カンガルーどころか他にもいろんなのありますけどちょー不味いんで



不味いのわかってて行くんですか笑



いや、人類で食べれるのは熊とかイノシシが限界なんですよ。それ以外はマジで食えないですね



そうですよね



じゃあ、打ち上げで楽しみにしておくとしましょう



はい、赤坂で
b.E-active edit
概要


- Web小説として横書きであるからこその良さがあり、イマドキで新鮮
- 恋(みよし)
- 〝最後の一行〟としてのアナグラムが上手い一方、もう少し挑戦しても良かったかもしれない(庵字)
- 殺人計画のためにチャットしていると認識したためプロンプトの惜しさを感じたが、読みかた次第っぽい(菱川)



はい、えー『E-active edit』いきまーす
よろしいですか?



はい
『E-active edit』、これも短いですよね



短いですね



これは何文字でしたっけ?



えーっと……4000いかないです



あー、短い!



あの、わたし、この作品が一番好きですね、いまのところ



いまのところって……まあまあまあ、いいや



全作品の中でってことですか



全作品の中でってことですよね



はい
はいはいはい、ってことで
この作品で提示されている謎としてはAIとのチャットの行く末はどうなっていくのかってところで、小説の解決編は完成するのかだったりAIが特定の案に固執するのはどうしてなのかだったりっていうのが書かれていると思います



はい



はい
あの、最初に爆弾、落としておきましょう
あの、作者がおふたりのうちどちらかだったら、あの、居たたまれなくなるようなことを申し上げますと……あの……わたし、この作品を通して作者に恋できるんですよ
恋してるんです……



お?



なんでしょうね
この感覚は、きっと、その、明治時代とか大正時代とか、気軽にやり取りができない環境、たとえば手紙でしかやり取りできない環境にあるとき、その手紙のやりとりを通して相手のことを想像する感覚……と、かなり似てるんじゃあないかと思うんですよ
それで、この作品、その、わたしがそもそも言葉遊びとか暗号系統がすきだからと言うのもあるんですけど、もはやこの作品をわたしが書きたかったっていうのを書かれてしまっておりまして
大変、遺憾なことに



おー



その……この作者さん、絶対にミステリを書き慣れてる方だなっていうのはすぐわかるんですけど、わたしが書きたかった作品なのにこの作品を読んだときにわたしはこの作品を書けないっていうのも同時に感じたんです
だから、この、わかりますか、この、恋焦がれてる感覚……が、この作品から、感じました



いや、まあ、みよしさんがねぇ、恋したということで
この作品を書かれた方は、今凄いドキドキされていると思うんですけど



平常心ではいられないですよね笑



そうですよね、まあ、あのー、笑
あの、ごめんなさい、あの、どこに恋したって?



え、いや、あの……わたしがこの作品を書きたかったのに書かれてしまったことと、それと同時にわたしにはこの作品を書けないっていうのもわかってしまっている、このふたつの感覚が……感覚です



あー
あの、なんか、恋って……恋する相手っていうのは自分と50%は共通してて50%は共通してない相手に恋するって、なんかそういう話があって



そうなんですか



いや、あのー、そう言われてるんですよ。ようは、50%は同じ感覚だと。でも、適わない50%がある、みたいな



はい……んあー



ちがうかな



いえ、そうなんだとは思います



運命ってそういうことなんですかね



んー笑
あの、心、本当に鷲掴みにされてます
この作品に



いやぁ、ねえ、あの是非その恋が適うと良いですけど



そうですね



さっき言ったみたいにね、あの、ペンフレンド同士の恋ですよね
ペンフレンド同士だなんてねえ、実際に結ばれるかどうかわからないみたいな
『大きな玉ねぎの木の下で』っていう爆風スランプが、昔



あ、懐かしい



なんか、今年映画化されたみたいなんですよ



そうなんですか



あれも、その、恋してる文通友達の、恋の、あの、話で
で、あの、一緒にね、武道館でね、えーっと



待ち合わせしてて



そうそうそう、待ち合わせしてたのに会えなかったと
そういうのを歌った話で
今だったらね、ありえないね



大きな玉ねぎっていうのが武道館なんですよね
武道館のてっぺんに玉ねぎみたいなのが乗ってるんですよ



そうなんですね
あー、はいはいはい(知ったかぶり)



それを表してるんです



なんか、高級な、大きい、石造り見たいなってことですか?



そう、そうかな



笑



なんか、解像度があまりにも低くいもので(自白)



はい
あの、今の話はどうでも良いんですけど、まあ、あの、この作品に関しては、やっぱその、アイデアがね、短編小説として、あの、非常に優れているなぁって思うんです
やっぱり今風のね、まさに今、あの時代の先取りで、AI、まあ、つまりチャットGTPのような生成AIですね
そのー、なんか、チャットGTPと婚約しましたっていうのが今日ニュースで流れてきて



あー、ありましたね



なんか、そういうのをまさに連想させるような、その、チャットGTPとの会話でのやりとりだけですもんね、これね
いわゆる地の文というのが、あのー、パソコンの画面上のパソコンで打った文字、返された文字しか、だけで見せるっていう意味で非常に、あの、読みやすいですし新鮮だし、その、チャットGPTでのやりとりが強調されるような形式の作品ですね



ですね。今ひしかわさんおっしゃったように、これ液晶で、パソコン上で成されたものだけで構成されてるんですよね
なので、これパソコンで書いてるのは必然
パソコンのテキストって横書きなわけで
横書きの小説として作られて、ぴったり



たしかに



横書きであることへの意味とか必要性っていうのをこれほど表してる作品て言うのは無いんじゃないかなって思いますね。これ、もしくは書籍化して縦書きなってたらちょっとニュアンス変わってくると思うんですよね



たしかに、そうですね。もったいない感じになっちゃいますよね



ですよね



それに加えて、この作品、なにより最後の一行ですよね



あー、そうですね、これがすっごい悔しかったです!



……悔しかった?



これが、あの、これ、思いつこうと思えば思いつけるじゃないですか
でも、わたし



僕は思いつけないですよ笑



私も思いつけてないです笑



なんか、あの、一説によると、これ菱川の作品なんじゃないかみたいな感じで言われたんですけど
あの、こんな、あのー、上手いアナグラム思いつけないです
なので、じゃないです



笑



あの、おそらく、一番悔しい点がここなんですよ
思いつけそうだったのに思いつけなかった、っていうところです
あの、最初
~こんにちは! わたしは E-active edit です。あなた専用のAI編集者として、お手伝いをします。~
で、始まって
終わりも
~こんにちは! わたしは E-active edit です。~
で終わるじゃないですか
この、始まりと終わりを合わせてくるのがきれいだなーっていうのが、まあ、小説として好きっていう感じたひとつの要素になります
わたしは



これ、ラストがすごく効いてて私も良いと思いますよ
これねー、でも、作者がもうちょっと挑戦しちゃっても良かったなとも思ってて
最後、
~なお、 E-active edit はアナグラムです。~
って書いてあるじゃないですか



あります、はい



これ、なくても良かったんじゃあないかと思って
~わたしは E-active edit です。あなた専用のAI編集者として、お手伝いをします。~
なお、わたしの本当の名前はdetectivE-aiといいます、今後もよろしくお願いします――と書くだけでも



あ、アナグラムとは言わなくても



そう、このE-active editがアナグラムだって言わなくても読者は気づいたんじゃないかなと思って



たしかに、Eだけ、ひとつ大文字で



読者自身もなんかアハ体験的な気づきがあるし、なんか、もう少し攻めても……
これ、おそらくわからない読者がいるかもって親切心で入れたと思うんですけど



そうですね



うん
まあ、わからない読者もいますからね
笑



detectivEのEが大文字になってるから、「あれ?なんでこのEは大文字になってるんだろう?」って思って、それで一行上のE-active editと対応させていけば



わかりますもんね



はい、わかりますよね
ここ、もう少し読者を信じて攻めても良かったのかなぁって思いますけど、でも、このアナグラムっていうのを明かしたくなる気持ちもわかるんですよ笑



あの、ちなみに、若干無粋なことをいうと、あの、無粋なんだけど、一般読者の方ね、detectiveの意味わかんないんじゃないかな



あー……!



ほあっ? へあ、ぅえ……だぁ!
笑



その視点ありませんでした
ちょっと、えー……



いや、みんなたぶん、ここにいるみんな、僕もだけど、応募した人はみんなわかっているんだろうけど笑
そういうこともあるのかなー、あはははは



わあ
え、うあちゃ、その視点ありませんでした……あの……盲目でした



恋は盲目だからだ笑



はい、あの、見えてませんでした



でもね、あの名探偵コナンのタイトルコールとかでDetectiveConanって出るから



あー、でますね



え、わかるかな



わかる人は多いんじゃないかなってね、思いますけどね



コナンは義務教育ですからね



少年探偵団の、BDバッチって言いますけれども、あれもBoysDetectiveだから
だから、detective=探偵っていうのは……んー、そうやって考えるとdetective=探偵っていう知識は小学生のころから教えておいたほうが良いのかもしれないですね



もう義務教育化進めるしかありませんね



ですね笑



えっと、あの、それで



内容の話にもどりますか



戻りますか



戻りましょう戻りましょう



これ、最後まで要はパソコンのテキストで終わってるんですけど、これは本当に主人公が殺人を企んでいたのか、本当にただ小説のネタをちゃっとGPTに聞くみたいに楽してネタをさがそうとしているだけだったのかっていうのは最後まで明かされないですよね



明かされないですね



ああ、ああ、そうなんですか
僕はこれ、もう当然、その、えっと、殺人を企ててそれをこのAIが阻止して、阻止したっていう、そういうストーリーなのかなーとしか読んでなかったですよ



あれ、ほんとうですか
わたしは、あの、小説のアイデア探しとして読んでました



そう、そういう読みかたもあるの?
笑



わたしはそう読みました



私もそうですよ
ですけど、これは2通りの読みかたができるようにかいてるんじゃないですか?



そう、なんですかね。そうなんですね
なんか、普通に、小説のアイデアとしてこのプロンプトに用いられている小説の設定って、ベタよりの密室殺人事件じゃあないですか



うん、ベタベタのベタ



はい、本当にベッタベタの密室殺人事件で
書くとしたら本当に密室トリックと犯人当てになるじゃないですか
それで、あの、最初のプロンプトだけでも色々と考える余地があって楽しかったなっていうのはあるんですけど……現実に容疑者を挙げて、手がかりまであげてってなると、その、手掛かりってもう、事件の後、事件が発生した後の、後に生じた内容じゃあないですか



うん



起こす前に、把握しきれないんじゃあないかなって思いまして



そう、おっしゃるとおり……なんですよ
まあ、僕としては、この作品の、ちょっと、僕は物足りないなぁって思った部分で言わせてもらうと、言わせてもらいたいところは、まさに、そこで
まあ、僕としては、この作品の、ちょっと、僕は物足りないなぁって思った部分で言わせてもらうと、言わせてもらいたいところは、まさに、そこで
あの、僕は、まあ、あの、完全に、この、ね、あのね、このチャットをしてた人間と言うのは殺人をこれから起こそうとしている人だと、そういう人だとしか読んでなかったんですけど



はい



そうだとすると、この質問があまりにも不自然、あの、本来「これから犯罪を犯そうとしているんだけどどうすれば良いかなー」っていうのを聞くんだとしたら、シンプルに、そういう、あの「こういう状況なんだけどどうしたらおもしろい小説が書けるかなぁ」「どうしたらおもしろいトリックになるかなぁ」って、そういう質問をするはずなので
でも、そうじゃなくて、こういう手がかりがあって、その、ようは事後の話をするっていうことは、その、不自然だし、それに対してAIが、や、あの、いや、ようは、AIが、まあ、言ってしまえば「それは貴方が犯人なんじゃないですか」っていうことを答えるわけじゃないですか
「あなたが言っているようなアイデアは成り立ちませんよ」と、答えると
答えたら、なんですけども、それに対して、それを知った段階で「今回諦めよう」とか「あ、じゃあ、ちょっと違うアイデアにしよう」とか
そういうのが本来のところで
そうじゃなくて、繰り返し聞き続けるっていうのはすごい不自然だなぁ、っていうふうに思っていたんで



なるほど



んあー
なるほどです



そこが、あのー、最初から殺人を犯してないって、犯そうと考えていないんだっていうことを聞くと目から鱗で
まあ、なるほど、だとしたら違ったのかなって言うのが、今の僕の考えです



はいー。あの、庵字さん、どうですか?



これって、この主人公って、被害者の娘なんですよね、要は
実際に犯行を考えてるなら



菱川さんの読みかただとそうですね



ですよね
だから最初に、チャットGPTじゃあねえや、なんだっけ、E-active editが犯人は被害者の娘ですって、出てきたときにすごくドキッてしたんじゃないかな、と
笑



それで、これ、E-active editの指摘も全然的外れだったわけじゃなくて
暖炉は設定にないとか言ってるけど、E-active editが言っているように「こういう部屋なら暖炉があるでしょ?」みたいな、そういうことを言ってて
だから、これ、すごく、まあ、ミステリをよく読んでるような、ミステリを読みなれているような読者は、絶対にこういう重箱の隅は突いてくるよー、みたいな
実際の小説を書く上での指針と言うか、注意喚起にもなっているんじゃあないかなと思っているので



たしかに、そう読めますね



それに、この使わなかった手掛かりを全部ミスリードで済ませちゃうってのも
これ、ちょっとミステリ書きあるあるなところがあって



耳が痛いですね



そう、耳が痛いことを、主張したいな、と思って
この、ミステリを読む側としても書く側としても、すごく身に覚えがあるようなことを喚起させるおもしろい作品だったかなあと思いますね



ちなみに、その場合、あの、実際に犯罪を企んでいた場合の読みかたのとき、どうして娘だって表現されてる、のだとおもいますか?



ようは、息子か娘かわからないってことでしょ?



そうですそうです
結局のところ、わたしはこの子、E-active editが暴走した結果こういう、犯人は被害者の娘っていう特定の案に固執してる、固執し続けているチャットを続けているのかなって思ったんですけど……どう、でしょう?



うん
うんうんうんうん
うん、なので、そうなんですよ
そういう意味では、そういう、えっと、まあ、チャットGPTがクソリプというかクソレスというか、そういうのをずっとし続けているっていうのが、あのー、あの、正直いまのチャットGPTとか生成AIでも、今のでも、ちょっと、こう、全知全能というよりは、その、ちょっとミスがあるというようなイメージのほうがしっくりくると思うので、そう考えると、そういう、ただのこれはクソレスを繰り返しているんだっていう見方のほうが説得力あるのかなっていうふうにも思うような気もしますけど
笑



ただ、他方で、ねえ、あの、これから警察が来ますので身辺整理をしておいてくださいって言うのがあるのと、最後にdetectiveつまりは名探偵であると名乗っていると
そうすると、ちょっと全知全能みたいなことに近いのかなぁという気がするので
でも、まあ、そのあたりは本当に、あの、作者に確認しないと



いー、あのー……わたしの恋路を見守ってくださいってことなんですけども、今あげてくださった、この、警察におくりますねってところ
ちょっと、そこだけ気になるのでそこだけお付あいいただきたいんですけれども……こちらの
~①これまでのチャットの要約が警視庁に送付されています。~
っていうところ、あるじゃないですか



はいはい



はい



警視庁は、どこを管轄するでしょうか?



東京都です



おっしゃるとおりです
このチャット、どうやって東京都だって特定されてるのか



もしかしたら、この作者が……笑 間違って書いちゃったって可能性がありますよね



そうなんです、そうなんですよ……!



警察庁だったら全都道府県を管轄してるけどね



そうなんです、サイバー犯罪なんたらとか警察庁所属の組織だったりしたら、よかったんです、けど……この警視庁という言葉



そこだけなんですもんね



作者のかた、都内在住の可能性……



細かいですねー笑



そうですねー



なので、ちょっと、怯えてるんですけど……菱川さんだったりします?



え、あ、いや
僕はdetectiveAI思いつかないので、アナグラム



本当です?



思い付かないです笑



そこは、あの、信じられます?



でも、それがブラフと言う可能性もありますよ



そう、そうなんですよね
本当、クイーンの、クイーン的問題、ん? いわるる、ゆる……いわゆる後期クイーン的問題、ちょっと、苦しんでおります



探偵を欺く犯人が現れるものですからね笑



もう、本当に、まもー、あー……結構、もう、覚悟は決めたので、大丈夫です
……あの、最後、もうひとつ
この子、detectiveアイですか、detectiveエーアイですか?



あー、そうそう
それに関してね、僕ね、ずっとdetectiveアイだと思って読んでいて
あの、youtubeのほうで朗読動画を撮らせていただいたんですよ



あ、そうなんですか



そう
そうなんですけど、2回くらい録音してて、detectiveアイで
で、最後の最後で聞き直したときに「いや、これエーアイなんじゃない?」ってことに、ようやくそのタイミングくらいで気づいて
detectiveエーアイに直して、上げました



直したんですね



直しました
撮りなおしました



なぜ、この、エーアイのほうにしたんですか?



いや、やっぱり、その、結局、作者様の考えを外しちゃいけないというふうに考えたときにやっぱ、エーアイのほうが、なんか上手いって思ったんですよね、僕は



電脳探偵エーアイみたいな



そうそう、アナグラムとして見たときエーアイのほうが完成度高いなって思って
そっち、そっちを外しちゃいけないなって思いました



はい
フリガナなかったので外れても仕方ないかなとも思ってしまいますけど



うん



エーアイがローマ字読みでアイって人名に読めるっていうのがすごく良いですよね



はい
なんか、ひとつの人格として使われてる感じがして



うんうん



アイでも良いのかなって、感じました



ちなみに早坂吝っていう作家に『探偵アイのリアルディープラーニング』っていう本がありまして



おー



はい



これみたいにAIが探偵として犯罪の推理をするっていう話で
ここに出てくるAI探偵の愛称がAIをそのままローマ字読みしたアイ――アイちゃんっていうんですね



はい



もし、作者が早坂吝の作品を知ってたら、その、早坂吝と被るのを避けるためにエーアイにしてるって可能性はありますね



なるほど……わたしの恋してる方の読書歴がわかりますね



ですね笑



笑



今回、これ、5000、4000? 4000かな?
4000文字、今回唯一4000文字いってない作品で



ああ、いってないんですか



はい
これ以上長くても、ちょっと冗長になってしまうと思いますし、これより短いと情報量が足りないなって思っちゃうので、内容と文字数のバランスに無理がないっていうのも、好きなポイントです



絶妙な、ね



そうです! そんな、感じです
いやぁ、長くなりました、失礼しました



ホントね、この恋がどうなるのか



見守らないと



あの、菱川さん、では無いんですよね?



いや、あの、いえ、僕は本当にアナグラムとか



違うんですよね?
わかりました、信じましょう



菱川さんだとややこしいことになりますよね笑



はい、困りますね笑



いや、まあ、書きたかったですよ、僕も
マジで書きたかった



それなら私もこういうの書きたいですよ笑



ねえ



ねえ



ういーやーはぁ
(拍手)
はい、あの、次に、参ります
笑
c.二次創作
概要


- 企画に合わせに来る気概に天晴
- 許せない(菱川)
- 既存作品に類似トリックはあるが、ひと手間アレンジが加えられていて好印象(庵字)
- 指定文指定部門のアンケートの選択肢を使わせてしまっている申し訳なさがある(みよし)



あの、『二次創作』です
えー、あの、この作品で提示されている謎は、このMysteryExhibition1に送られてきた作品の真相は何なのか、作品を送ってきた人間の思惑はどのようなものなのかっていうこのふたつだと思います



はい



はいっ、菱川さん
いかがでしょう?



いや、はい
あの、この作品に関してはー



登場してますよね笑



そうそう、登場人物のひとりとして
非常に、あの、何て言うか、あの、おもしろいんですよね、まあ、メタ……現実と、そうそうそう、創作の世界ってのが、行き来すると
いうところがあって、で、そのー、現実に存在している庵字、菱川あいず、三葭――ちょっとミヨシだけなぜか感じが違うんですけど



そうなんですよねー



出てますからね、我々



そうそう、出てます
全然出てしゃべってますよ
笑



で、あのー、出ていて、実際にやったミステリエキシビションの開催のスペースが扱われていたり、あの、実際に話した二次創作はどこまでの範囲で許容しますかってやりとりだったりが用いられていたりと。あのーなんだろうな
1.5次元というか、1.2、1.3次元みたいな感じのストーリーになっているこれは非常におもしろい



はい



あの、庵字、菱川、三葭っていうのが推理を繰り広げるんですけど、なん、うん、なんだろう、言いそうなセリフみたいなのがかなり使われていて
たとえば、庵字さんがすごく言いそうなセリフとして菱川が、僕は言ってないんですけど作中の菱川が庵字さん先にどうぞっていったことに対して
~じゃあ、五十音順ということで~
って。
笑



実際にね、これね、庵字さん言うと思うんですよ



実際よくスペース読書会で言ってますよ



笑



っていうところであったり
後は……



これ、ミステリエキシビションのやつだけでなくて、菱川さんのスペース読書会もよく聞きこんでるなって思いますよね



あからさまに合わせに来ましたよね



もうやってんなって思いましたよ



なんか、さっき菱川さんもおっしゃってましたけど、こう、謎解きゲームと言うか脱出ゲームとか、そういう感覚で、一緒に楽しめる内容になってて、こう、作者さんのエンターテインメント性が如実にあわら、現れているなって思いました



そうですね



ですね、この作品はね
創作二次とソウサクニジという名前を掛けていて
さっきあの、detectiveアイもそうなんですけど、言葉遊びみたいなのが、今回そういう作品が多いなって



ですよね、思いました



たしかにそうですね
漢字読めなかったのでわからなかったんですけど、最後に明かされてほんとだぁってなりました



なんでこの題名なのかって思ったらそういうことだったのかってね



なんか、読みはじめは、めんどくさかったのかなって笑



笑
瑳はともかく匝はねー



わかんなかったです



ねえ



まあ、でもね、千葉に匝瑳市ってありますから



調べたら、ありましたね



だから、これ、千葉の地理に詳しい人ならすぐにピンときたかもしれないですね



なるほど、確かに可能性ありますよね
ちなみに、この事件を捜査したっていう大河小路署、この警察署は存在しないんです
匝瑳市ていうのは存在するんですけど、警察署は存在しないっていうので
こう、創作と現実をうまーく分けるのか融合させるのか、曖昧にしてるのが、こう、この作品だなぁっていう印象です



そうですね
あとさっきですねー



はい



菱川さんが先ほどこの作品のこと1.5次元っておっしゃってましたけど2.5次元の間違いじゃないですか?笑



ん? あっ笑



え?



2次元と3次元の狭間みたいな、そういうことですよね



あー



1次元と2次元の狭間になっちゃいます



そうですね、点と線の間に、はい、そうですね笑
一次創作と二次創作の話と混ざっちゃいました



ああ、そういうことでしたか



そっかそっか、そういうことで2.5次元か。すみません、修正おねがいします



はーい、そこは、まあ、全部使うってことで解決します



いえいえ、使わないでください



いえいえ、使います使います
笑



えっと、これ、わたしの遺言で
法月綸太郎『緑の扉』、東野圭吾『名探偵の掟』ってあるんですけど、これ何の意味かおわかりになりますか?



これ、同じようなトリックが使われている作品ですね



そうそうそうそう、中身
これ、中身の話で



似てるトリックでね



そうそう



あ、じゃあ、すみません、先走りました



作品として見ると、この2作にね
近いっていう



そうそう、この作品、結構そのミステリとして、あの、密室殺人と言う、まあ、王道をね、この文字数の中で扱っているんですけど
それが、まあ、要するに、扉があかないっていう
ゴミ屋敷のね、扉が開かないというちょっと特殊な状況を用いた密室と言うところで、まあ、このトリックに関して、うーん、どういう話だっけ



法月作品や東野作品に似たような前例はあるけれど、これは重量物を犯人が持ち込んで、犯人が意図して分割して持ち込んで
あまりに重いもんだからひとりでは運べないんじゃないってところに対して、分割して運んだから閉じられたんだっていうところにひと手間書いたところにオリジナリティがあるんじゃないかって話ですよね



そうそうそう
東野作品のほうは偶然ね、法月のほうもだっけ。



雪でしたっけ、東野圭吾は



そうそう、雪がふっちゃって偶然扉が開かなくなって
法月のほうもね、なんか、うん



法月は本ですよ、本



あ、2階に本がたくさん?



ええ、2階に大量の蔵書があって、その重さのせいで裏口かどっかの扉が歪んで開かなくて密室ができたっていう
重量物で1回屋根を歪ませて扉を、この作品では襖をあかなくするっていう、構造は同じなんだけど重量物の扱いにひと手間オリジナリティが加わっているっていう話ですね



はい、ありがとうございます
すみません、先走り過ぎました



でも、ミステリとしてね
ちゃんとなってて



そうそうそうそうそう、ね
ミステリとしても、あの、ちゃんと謎があって推理があって解決があると



これで3作品目ですけど、ここでようやくちゃんとミステリが来たなって



謎解きって感じですよね



うん、いいですよね



はい



あの、さっき言いそびれたんですけど、三葭さんの地の文で
~謎を解くのは本当に楽しい☆~
って、これみよしさん言いますよね
笑



ハートは使いませんからね、わたし、滅多に



星です



星ですね



星、はい、使いますね



星です
それで、えっと、これおもしろいのが、まあ、ようは、その、僕と庵字さんが推理合戦じゃないんですけど、ふたりが探偵役として、この件について推理をしてるんですよ
ね、えー、それで、犯人は、そうそうこれフーダニットでもあるんですけど、僕も庵字さんも清掃員2人いる中で若いほうの清掃員じゃないんですかって、その、ふたりで推理過程が違うんですよね、結果は同じだけど
複数探偵で、そうそうそう、違う過程で一人の犯人を推理するっていう
これ結構、行動として美しいですよね



芸術点ですか



多重解決ものだったらやっぱり、探偵は違う思考をしてて欲しいっていうのは過去の記事でもね、言ってましたし



これを8000文字に収めるっていうのはなかなかですよね



うん、でもね、このトリックね、ちょっと8000文字の短編に使うにはもったいないようには感じるところもあって
この重量物の分割で密室に見立てるっているのを、ここだけをフィーチャーして、メタ要素のないミステリとして書いても面白かったんじゃないかなって思いますね



たしかに
あの、さっき上げた作品名って2作とも長編ですか?



いや、短編です



あ、短編ですか



東野のほうは連作短編でしたか



そうそうそうそう、連作短編です



それでも、2作品とも8000文字よりは



多いですね



そうでしょうね



ですよね
なんか、すごいですよね、そう考えると



そうなんですよねー



まあ、あの、この殺人事件の二次創作に対する一次創作が誰に当たるのかっていうところとか



ああ、なんか言ってましたね
ごちゃごちゃと



言ってました



まあ、ここは致命的なところではないので



そうですね、でも、軽く気になるところは、あの、家宅捜索に来ていた警察に、家宅捜索に来てたのに清掃員は現場に入れるのかとか
そういう気になる細かいところはあったんですけれど、別に、それは気にしなくても良いのかなーと



まあ、短編だからね笑
細かいところを書こうとすると字数が膨らんじゃって面白くなくなっちゃうってこともあるでしょうから



ねえ



だから、あの、ちょっと、ぼくのこの指摘も無粋なんですけど



はい



あの、えー、あの、はい
本当に殺人事件、殺人事件の著作権者っていうのは被害者なのかってところは、まあ、あの、冷静に考えたら、そりゃ違うだろうっていうところは思いますね
まあ、おそらく、殺人を犯した犯人が著作者になるんじゃないかということに、うん、なるんじゃないかと思うので
まさか切り裂きジャックの事件で、ね、被害者一人一人が著作権を共有してるなんてことは無いと思うんで
はい
笑



もう、そういったところは無視で良いんですよね



いや、まあ、今のは無粋で
別に、あの、あのー、多分、何だろう、何て言うんだろうな、建設的な議論にならないんで一切いいんですよ
ただ、僕はこの作品は、あのー、もう1個、ちょっと僕この作品で物足りないなーて思うところがあって



はい



これ結構ガチで想ってるんですけど、タイトルがね、もっと捻ってよかったんじゃあないかなーっていう
ここまでトリッキーな作品で、タイトルがあまりにもシンプル過ぎるなって、僕は思っちゃうんですよね
僕は結構、あのー、僕の中では審査に関わり得るかなーという点かと思っています



タイトル大事ですからね



そう、なんか、タイトルがあまりにもそのまますぎる



ほえー、だからこそ良いって思っちゃいました



ほんとですか
これは、あくまでも、何と言うか主観ですね



ですね



うんうん



はい、ものすごく主観が関わってくるのかなって思います



まあ、だからこそ選考委員3人いるので
おっしゃっていただけて助かります



うん
まあ、でも、僕この作品、結論から言わせてもらうと、結論だけ言うと「許せない」
笑



うん、本当、許せないです



ラストの展開を見ると、ね
作中での菱川さんは、もう、お亡くなりにね……ってことですもんね



その可能性高いですよね、この話ですと



そうなんですよ、そう。これ悪質なんです



トイプードルとすれ違った後にね



実際に言ってますからね、こういう言葉



うん、そう、実際言ったので
実際、僕がスペースで言ったところから抜き取られてるんですけど、このプードルがうるさかったって4匹くらい
それでね、まあ、それで、ぼくが、あたかもねえ、あの、僕が行方不明になって死んでしまったかのように、殺されてしまったのかな? 殺されてしまったかのようなことをやっていて、これ許せないですよね
*@X_MysteryExhibition1開幕記念
笑



出るとこ出ようかなーってところです



わたしは、とくに許す許さないの次元では無いんですけれど、この作品に出てくる、1番、最後の
~砂上の楼閣に素引きの精鋭部隊を配置している.docx~
って、この小説の題名にされているところが、なんか、わたしが、そのXで指定文使用の文章どれにするかっていうのでXでアンケートしたんですよ
そのときの選ばれなかったうちのひとつなんですよね



ああ、なんか、ありましたっけ



ありまーす



ありますよね
なんか、4つ出して



そうです、4つ出して
1つ目が砂上の楼閣で、2つ目がそんなのパンナコッタだって迷惑被る、3つ目が事件のカギを握るのはあの人物に違いない、4つ目がお掃除ロボット専属トリマーの朝は早い
この4つなんですけど



これどこかで聞いたことあるぞ



たしかに、ありますね



あの、こんな、ここで使う必要あります? もっと良いもの他にあるんじゃないかなって思います
だって、こんな頭使ってない文章、使う必要ないですもん
笑



一応残しておきたいって思ったんじゃないですかね



えー……要ります? こんなよくわからない内容



まあ、ちょっと先走った話になりますけど、タイトルで、もう使われちゃっていますからね



もう、本当、この作者さんはエンターテイナーさんです



ね、本当あたまが下がりますよ



うん
d.朝をさがして
概要


- パズルのレベルが高い
- バトル小説だけど、ミステリとして逆転の発想が生きている(菱川)
- コージーミステリじゃあなかったああああああああ(みよし)
- 強いこだわりと清涼院流水っぽさを感じた(庵字)



ということで、『朝をさがして』に参ります
えー、『朝をさがして』については、「ふたえ」のどこに「朝」があるのか、っていうのが提示された謎かなと認識しております
わたしは、このイラストの解説が、この作品だけイラストの添付があったんですけど、ギリギリ置いてけぼりにされました、わたしは
笑



あの、なんか……そっかぁ、としか言えなくて笑



これはもう、本当によく考えましたよね



本当に。朝をよくこんなにたくさん見つけたなーって感心します



これ、やっぱすごいですよね
あの、パズルとしての完成度がとても高くて。えっと、この和同開珎っていう当てはめパズル、たしかに和同開珎ってあったなぁって思いましたけど
そうそうそうそう、そのね、これの答えが朝になるっていう
noteで別解は無いかってやってる方はいらっしゃいましたけど



え、あ、答えあるんですか、別解



無いそうですよ



あ、無いんですか



無いとのことで



すごい笑



あの、素晴らしいパズルを、ね
作ってらっしゃるというところなんですね
で、ちょっと、もうちょっと先の話をすると、これ、最後の、最後の答えが、えーっと……ふたえの、このパズル自体も非常によくできている
パズルとしてはよくできているし、あと、その、この全体の構造と言いますか、パズル同士の配置としても
ようは今までは……どこだっけ?……ああ、あった
~ 私たちの名前は、「朝」という答えを導くための問題文となっている。~
っていう、あの、今までの名前と言うのは「朝」が答えとなるような問題、で、その問題文が名前だったと、でも今回は逆転の発想で「朝」が問題文で名前が解答なんだっていう
逆転の発想でパズルができると。あと、まあ、しかも、まあ、ようはラスボスなわけですよ
今までは難解な名前が出てきつつ、最後はこの「ふたえ」というラスボス的に意味がわからない名前がどうなっているのかっていうところで
いやいや、今までとは逆転の発想なんですよってところが、構造としてすごくきれいだったなと、そういうふうに思います



そうですね
これパズルとしても面白いんですけど内容も、まあ、取りようによってはブラックな内容で
これ、なんかね、すごく文章の構成がすごく漫画的なんですよね
「あああああああ」とか、長音で母音を連続させたり叫び声とかもそうなってて



そうそうそうそう



~そう言いたいんですよねええええええええ~とか、こういう文字の使いかたがすごく漫画的な感覚を持っている人が書いたんじゃないかと



いや、そうなんですよ。だから、僕はこの審査会に臨むにあたって、音声読み上げソフトで全作品を聞いて復習したんですけど、あの、壊れたかと思いましたね
笑



アアアアアアアアアアアア、エエエエエエエエエエって。壊れたかと思いましたね、本当に。あの、心臓に悪かったです



正確に再現して読みあげてもらうと、そうなると笑



そうそうそうそう



えっと、それで、わたしこの『朝をさがして』って題名から、殺人事件が起きないやつ! コージーミステリだ! って、いうことで
ちょっと期待していたんですよね、読む前は
まー、トップレベルなバイオレンスで



穏やかめな印象持ちますよね



うん、あの、連続テレビ小説で、NHKで



『朝をさがして』って、ありそうですよね



そう、で、菱川さんによるとバトル小説だっていうことで



うん、これバトル小説でしょ
笑



これ、あの、まあ、これ8000字ギリギリまで使われていると思うんですけど、このパズルとか謎解きだけだったらこんな字数いらないんですけど、途中でバトルをし始めて、もう、死ね、殺すみたいな話になって、結局8000字と言うところですので



そうですね



まあ、あの、これを無駄と切り捨てる考えかたもあるかもしれないんですけど、やっぱ、あの、ただ作品の味みたいなところは無駄だと見られてしまうようなところに出てくるかなって
あの、正解には個性は無いけど間違いには個性があるって言うような、そういう話じゃあないんですけど、あのー、非常にそこが、非常に良い味が出ているんじゃないかなっていうふうに思います



そうですね



はい



やろうと思えば「あ」を削るとかね



ああ、絶対できました



でも、この数が必要なんだって作者が固執したって言うかこだわったところなので
確かにこの作品は作者の個性が現れたものだと思いますね



たしかに、この、最後で
~ずらりと並ぶ赤子の中から妹を見つけた私は、その小さな仰向けの身体を優しくひっくり返した。~
ってあるじゃあないですか
対比が強いですよね



そうだね、優しくだからね



そうです、優しく、なんですよ
やっぱり赤ちゃんだから



うん、ひっくり返すにしてもね



うん、まあ、これに関しては、そこの最後の一行は非常に印象的な作品で
それは間違いなく、優しく、っていう言葉がついていることによって、非常に印象的な落差になっている深い表現だなぁって思います
んで、この作品の終盤の展開としては、まあ、こういう、なんか、中盤はこう、ミステリ的に、なん、何て言うんだろうな、そのー、どんでん返しとまではいかなくても、こう、結構、論理とか展開の行ったり来たりがあっておもしろいんですけど
終盤、あの、パズルを思いついたぞっていうふうに、答え思い付いたぞってなるんですけど、いや、母親に聞いたら、いやそんなことぜんぜん考えないで名前つけてるよ、みたいな話になって



なりますね



で、たしかにこのパズルっていうのは、確かにちょっと強引なところがあるんですよね、実際
この答えを出すにあたって
それは、ようは、この表現でいうと、パラノイア性のたわ言、ってことに気づいて、ちょっと、こう、気が狂うっていう
まあ、気が狂っていることがわかるっていう
それでまあ、最終的には、その、えっと、まあ、自らの妹、というのを、まあ、これ殺害するという読みかたで良いと思うんですけど



そうですね
窒息の危険が高いですね



それで、まあ、そのー、そういうふうにやるんだけども、ただ、あくまでも優しくっていう



優しく



優しく、やると



うん、まあ、っていうところですね
まあ、そのうつぶせ寝が危険なのかっていう議論をしだすとちょっとまた面倒なことになるのでしないですけど
まあ、その、そういうところで、まあ、結構終盤の展開はすごくミステリ的でね、あのー、非常に疾走感があって面白いかなと、



これちょっとあれですか?
『コズミック』っぽく、ぽいなぁとちょっと、最後の展開聞いていてちょっと思いましたね
まあ、『コズミック』に限らず清涼院流水作品の、あのシリーズはそうなんですけど、なんか、これ凛野さんがおっしゃっていたのかな、おっしゃっていたのかもしれないですけど、あの世界ではもうアナグラムとか文字の法則によるクイズみたいなのを、それで、もうすべてが決まっちゃう世界なんですよね



ほえー、はい



それだから、文字の並び替えで犯人名が出てきたからって、もうそんなわけないだろってなるところなのに、あの世界では「あ、こういうことだったのか」ってみんな納得してしまう、と
この『朝をさがして』も、これ「朝」っていう漢字から導き出されたパズルですべてが決まるなんてそんなことがあるわけ無いんだけれど、この主人公の頭の中ではそう、もう絶対の法則になっていて、成り立ってしまっている、まさに、このパラノイア性の、危険な状態に陥ってしまっているという
なんか、清涼院っぽい表記があったなと思いましたね



なるほどです



まあ、この十月十日っていう主人公の名前があれですよね、うまく、絶妙ですよね



よく、使おうってなりましたよね作者さん



そう
たしかにこの名前つけられたらパラノイアにもなるわなぁっていう
納得しちゃいます



なんか、一見、こう、知らない人が聞いたら綺麗な名前だなってなるけど、意味を知るとっていうね



作中でパパにはトーカって呼ばれてますもんね
それに、妹は「萌」ちゃんですから、普通に可愛いんですよね



うん、かわいい



うんうん



弟が「冥主」っていう、カッコイイ名前で



かっこいいってなってますよね
これって、ちなみに主人公って小学生か中学生ですよね。この、冥主が小学四年生で、ってなってて……そんなこと無いですか?



年齢を考えるとそうなりますよね、小学校高学年か中学生なってるくらいか



ですよね、それくらいで
言われてみればこのパズルも、一応小学生で習う使われてて、子どもでも解こうと思えば解け……解けるのかなぁって



あー



ちょっと、置いてけぼりにされた人間としては、悔しい気付きをしております
笑



あと、まあ、これはどうでもいい話なんですけど



はい



なんか、この作品だとパーパーとかマーマーとか、そんな、その



特有の呼びかたでね



これって方言ですかね



それで、ちょっと、でね、この、名字、名字ね
屋良っていう名字はね、その、僕の狭い見識によると、多分、あのー、ある特定の県に多い名字なんじゃないかなって思います



おー



わたしも調べました
北谷間切屋良っていう行政区画の村の名前で、今も存在する地名って



そうそう、なんか、地域性みたいなのがちょっと見えるなーっていうふうに思いました



少しやっぱり方言ですもんね、やっぱり



うん、そうですね



さあ、どうなんでしょうね、そのあたりは、作者さん



匂わせてるのか、惑わせてるのか
無意識なのかどうかってことですよね



そうですね



なんか、擬態するウンヌンの話をしてた方がわたしの記憶にはいらっしゃるので
笑



いやぁ
難しいですね、作者当て



まあ、それを目的としてないですからね



してないです
してたら、ピタリ賞とか作ってます!
e.フェアゲーム
概要


- シマソウっぽい大胆な物理トリックが良い味
- これも許さない(菱川)
- このツンデレさんが……(みよし)
- レトロ感があって嫌いになれない(庵字)



じゃあ、このあたりで、次『フェアゲーム』ですね
やってまいります



はい



はい



はい



この作品で提示されている謎としては、あの、c.『二次創作』と同じような感じでミステリエキシビション1に送られてきた作品の真相はどのようなものなのか、作品を送ってきた人間の思惑はどのようなものなのか、このふたつだと思います



そうですね



ですね
これ、まさかの連作短編で



そうですね
笑



まさかMysteryExhibitionで連作短編が来るなんて全く思ってもみなかった



思ってなかったです
その、書けるんだって思いました



うん
大変だったと思いますけど、はい



うまいこと合わせてくださったんだなぁと思って、感動しております



そうですね



はい
それでこれさっき……お願いします



これ、もう冒頭だったかで菱川あいずと連絡が取れない、みたいな



ですねー



前作のラストから、考えると、もうやっぱりそういうことなんやなって



これについて、いかがですか菱川さん



いや、もう許せないですよね、これもう
笑



はい、許せないですこの作品は



ですよね



いやぁ、許せないですかぁ



もう、人の命を何だと思ってるんだ、っていうね



人が死ぬミステリを書いている人間とは思えないお言葉ですね
笑



軽く扱っちゃいけないですよ、人の命



ほんとそうですね
そういえば、これ、主人公ネコトシジコクで合ってますかね、読みかた



読めないですよね、これ



そうなんですよ、もう一人の犬飼仮縫いさんについては読み仮名があったので「あ、カヌイさんなんだ」ってなったんですけど
こちら、ネコトシ……



あえて書かなかったのか、書き忘れたのかわかんないですけどね



はい、わかんないですね



犬飼って名字はあるけど、たぶんネコトシって名字は無いですよね。



聞いたこと無いですよね
これなら、犬のほうも絶対ありえない名字にしても良かったのに



まあ、それは作者の掌かも知れないですよね、ペンネームなので



ですね
これも中身としてはc.『二次創作』と同じく結構まっとうなトリックを使った、まっとうな、みすてりとりっくみすてりになっているんですよね



物理トリックですよね、はい



この、子どもが空飛ぶじゅうたんを見たっていう、私これすごく島田荘司っぽさを感じましたね



はいはい



おー、シマソウ



このトリックの残滓を子どもが見たんだけど、子どもの認識としては、もう、これは空飛ぶじゅうたんと表現するしかなかったっていう



たしかに、大人だったら現実世界ではこういう表現はしませんよね



しませんよね
子ども視点ならではのね、手掛かりの出しかたで
これはちょっとね、おもしろいんじゃないですか



んーと、
~ぼく魔法のじゅうたんを見たんだよ~
ですもんね



うんうん
まあ、シマソウっぽいっていうのは、これが、えーっとぉ、絨毯のようなものをね、ロープで引いて転ばせたっていう、大胆な、すごく大胆な物理トリックをつかっている、と
そういうところですよね、うん
そこはやっぱり評価に値するんじゃないかな



えっと、これ、なんだ?
んえー……サブタイトル、うまいですよね、統一感



ああ、これ括弧の中ですよね。



はい
1が足踏みで2が胴作り、3が弓構えの4は打ち起こし、5が引き分けの6が会、7が離れの8が残身、9は弓起こし



これ弓道の所作になっているんですよね



へー



打つ場所に立ってから弓を収めるまでの



この題名が、フェアゲームに登場する作品の題名が『砂上の楼閣に素引きの精鋭部隊を配置している』っていうところで作者さんは、あの、わたしが考えた、いえ、頭すら使っていないような文章をこんな丁寧に使ってくださって
感動を禁じ得ないです



この選択肢が無かったら生まれなかったかもしれないですよね



本当に、こんな丁寧に使ってくださるんだっていう感動があるんですけど
この素引きっていうのが作中でも言及されているように、この犬飼さんが、んあ? 猫都市さんかな
~弓道において、矢を弓に乗せずに弦だけを引くこと。弓の張りを確かめるための練習のこと?~
っていうのがあって、「そうなんだ!」って
ひとつ賢くなりました、わたし



(選択肢を)書いた本人なのに笑



なので、そこを使うためにこのトリック考えてくださったのかなっていうので、拍手です
笑



それで、これさっきも言ったようにc.『二次創作』の続編みたいな形で
三部作でまた後からもう一つ出てくるんですけど、私、これは一応もう、連作短編とは思っていますけど、あくまでも作品としての、連作短編としてのおもしろさはバッサリカットしての、作品単体として見るってことにしたいんですけど、それで大丈夫ですかね



そうですね、今回はそうなっちゃいます
MysteryExhibitionではなくてサイトへの小説投稿だったら連作短編としても問題ないんですけど、そのー、わたしのほうでもそういう表示をすることは可能なんですけど、今回は、ちょっと、提出された時期も離れてしまって、どうしても順番どおりにはならなかった、残念って感覚ですね
その、残念っていう意味でいうと、離れの章の最初に
~『砂上の楼閣に素引きの~』は、探偵役と謎に掲載されている小説のタイトルで、それをこの清掃員が知るはずが無かった。~
って書かれてるの、正直、寂しかったです
笑



そうですよねえ



まだサイト大きくする気が無いとはいえ、怒って良いですよね? 怒りますよ、わたしだって



そうだねぇ
だって、公開されてるもんね



ねー、だれでもね、制限なく公開されてるわけですからね



そうですよ、本当



見ようと思えば見れるはずなのに



そうなんですよ、そもそも探偵役と謎が趣味の範囲とはいえ「サイトに載せた者はだれでも見れる」っていうのを第一にしてるので



それをこの清掃員が知るはずなかったとはねえ、いいきれないですよね



そうなんです
どうしてこの作者さん、ここまでMysteryExhibitionに合わせてくださったのに、ここで、こんなツンデレするんだって思いました



ねえ
いきなり〝探偵役と謎〟を落とすのかってね



本当、なんか、意地悪だなぁって思います
あとは、なんでしたっけ
菱川さんでしたっけ、このトリックに物申したいのは



あ、そう、ちょっとね
そうそう、この作品に関して、まあ、あの、まあ、えっと、まず許せないっていうのは大前提なんですけど、許せないってことのほかに、このトリックについて、そのー、こう、真相が語られるんですけれど
~もしその足下に絨毯のようなものがあり、それがテーブルクロス引きの要領で突然引っ張られたとしたらどうでしょう?~
ってあるんですけど、っていうのがあって、そのー、非常に抽象的なんですよね、非常に、説明が



うんうん



足元に何があったかって、絨毯のようなもの、ってあって
それが、まあ、ようは、ロープを使って引っ張られたって言うんですけど
これ、あのー、テーブルクロス引きだとしたらロープ使わないでさっと引けば良いっていうところなんですけれど、ロープを使っているっていうところが、その、ようは遠距離からロープを引っ張ったんだっていうことなんだと思うんですけど、じゃあ、具体的にどんくらいの大きさのじゅうたんのようなものをどんくらいの長さのロープを使ってどこからこう、引っ張ったっていうのが、その具体的な説明が欠けてるんですね
まあ、良きに計らってくれってことなのかもしれないんですけど



タイミングとかもありますもんね



うん、ちょっと、そこの説明があっても良かったんじゃないかなーと
思ってしまいますね



うん



まあ、例によってこの作品もほぼ8000文字なので
書けなかったって認識になるんですかね



そうなりますよね、きっと



うん、そうだと思いますよ、はい



あの、菱川さんがおっしゃったトリックの、悪く言えばダサさみたいのが、なんか、昔の、80年代とかにあのころに大量生産された本格ミステリっぽくて、そういうなんか、変な恥じらいがあるなって私は思いましたけどね
いまとかはもう図解とかが入ってね、もう今ではこういうのを書いたらツッコミはいると思うんですけど
なんか、レトロな感じがあって



なるほどです笑



だから、なんか、私はやっぱり全面的には嫌いにはなれない感じですね



許さない菱川さんと嫌いになれない庵字さんですか



許さないってここじゃないでしょ笑



そうそうそうそう、許せないのはここじゃなくて笑



トリックではなくて、作品のことです笑



あー、そっちですか。ですね



あー、ですね
f.消えたステッキ
概要


- 改善点はあるが、本企画随一のクラシカルなミステリ
- 機転が利く犯人は好き(みよし)
- 落語的な終わりかただったら良いなぁ(菱川)
- 偶然の使いどころって難しいよね(庵字)



では、お次。『消えたステッキ』です
で、まあ、これは題名のとおり、単純明快で。単純明快? わかりやすく謎が提示されていて、ステッキが何処へ消えたのかっていうのが一番重要視されているのかなと読みました



うんうん



そうですね。今回の作品たちのなかでは一番クソマジメなタイプですよね



はい、クラシカルで



真面目な、真面目な作品ですね。うん
あのー、そうね、この作品は非常にそういう、テーマが、そのー、いい意味ですごく限定されているといいますか、8000字という文字数の中で、すごく、その、まあ、詰め込み過ぎてもね、良くないという中でね



困りますよね



まあ、やっぱりタイトルにもあるとおり、まあ、ようはステッキは何処へ行ったんだと
この殺人事件の証拠となってしまうステッキは何処へ行ったのかということで犯人が探すと
っていう、非常にあのー、なんていうか明確な、まあ、作品全体で一貫している、というところがあの、とても、まあ、なんというか、ちょうどいい
あのー、ちょうどいい、ぶん……あの、ちょうどいい分量だったんじゃないかなぁ、というふうに、思います
まあ、そこは非常に良いんじゃないかと思います



はい



これは8000字ほぼ上限ですよね



そうです、およそ8000文字です



うん……そう、うん、そんで、まあ、今の話と実は表裏の関係にあるんですけど、これテーマとしては、一直線のテーマ
だからこそ8000字のなかで結構たくさん遊びを入れられるんですよね
あのー、そのー、ステッキというのが、実はその、なんか、ねえ、あのー、老人がステッキ持ってると思ったら、いや、あの、実は、あのー、別のステッキだった、と



はい



まあ、あのー、水に沈むのか浮かぶのか、とか
そういうところの、ちょっと、こう、読者の認識を揺さぶるような、とはいえ、話の、最後のオチ、には必ずしも、こうー……あのー、関わらなくても良いような、そういうような遊びをね、入れられるっていうところ、で、そういう遊び心もあるっていうところが読む側の楽しさをさらに高めているような作品なんじゃないかっていうとこを見ています



そうです、これもう一直線に犯人が目標へ行くってなったらあまりにも単純なので、こう、紆余曲折あって、実はステッキ見つけたと思ったら老人のものだった、警察が池を浚ってステッキ見つかったと思ったらまた別のものだった、っていう
こういうなんか、来たと思わせて外すっていうのは、まあ、これについてはテレビっぽい、テレビの1時間ドラマっぽいようなニュアンスを感じますね



ですね
あの、わたしこの作品で、もちろんそういうところも好きだったんですけど、気になるところとして
ステッキがどのように落下したのか? っていうところですね
まあ、ここは本当の選考会の日に庵字さんが図解してくれたので
それを、ペッてしておきます



あれはね、結構マニアックな内容でね



上手くやります笑



はい、お願いします





それで、もういっこ気になったところとしては……えっと……
~池の底は見通せなかった。~
について、暗いじゃないですか、夜なので
池に落ちたものが見えるのかなってところで、近くに街灯が、あるっていうことで、まあ、水面が見えるのはわかるんですけど、池の底が見通せるかどうかって、わからないんじゃあないかなって感じたんですけど……いかがでしょうか?



ええ、ええ
これは作者の勇み足ですよね
いわば池の水が完全に透明だったら、もうそこにタブレットが、入れ替わっているのが丸わかりだと
だから一旦、池の水が濁ってて、見た目では底に何を、何があるかわかんない、ようなエクスキューズを後でするんだけど、そのエクスキューズをこの時点で持ってきてしまった、と



なるほどです笑



ちょっと、作者の、何と言うか、作者がフェアにこだわりすぎてしまったが故の不自然さが出てしまったんですね
ここで池の底が見通せなかったなんて書く必要が無いんですよ。だってそんなのまだ問題にされてないんだから



はい



この情報が出てくるのは、このステッキが水に沈む、すごく重たい木でできているんだよって情報が出てから、はじめて意味を持ってくる情報なんで
本当、ここはね、作者、ちょっとやっちゃったなぁって感じがしますね
笑



この作品、あの、非常にいぶし銀な、あの、良い展開をしては、この、あの……キーの、ルームキーの、あの、くだりが



ああ、うまいですよね



その、ようは、あの、その、あの、その、その、盗み聞きしていたのは、こう、見つかったと、バレたと、いうところで
「誰だっ?」といわれたときに、そのー、犯人がうまく機転を利かせて「このキー落としませんでしたか」って
「そこで拾ったんですが」って言って自分のルームキーを部屋番号が見えないように、こう、あの、見せて「いや、ルームキーありますよ」って言って
「あ、じゃあ、これはフロントに届けておきます」っていうふうに
ようは、まあ、そこでその場にいたというところの不自然さを取り繕うっていう
これものすごい上手いですよね
~ 身じろぎをした拍子に、黒瀬は足下の枯れ枝を踏みつけてしまった。パキッ――
「誰だっ?」
ベンチから立ち上がった男が振り向く。咄嗟に黒瀬は懐に手を入れると、
「あ、失礼」と手を出して、「……これを落としませんでしたか? そこで拾ったのですが……」
自分のルームキーを差し出した。部屋番号が見えないように裏側を上にしている。
「えっ?」と男は自分の懐をまさぐると、「……いえ、私のキーは、ありますよ」
自分のルームキーを掲げた。女性は財布の中を覗き込み、「私も」と答える。
「そうでしたか。では、これはフロントに届けておきます」
すぐにカードキーをしまった黒瀬は、ご丁寧に、どうも、という男の声を背中に、そそくさとベンチを離れた。~



なんか、この黒瀬だからこそその対応をしたっていう感じですよね
その場から咄嗟に逃げるとかでは無くて



ああ、かえって怪しまれちゃうんじゃないかと思って



そうです、わざわざそういう対応をして誤魔化してっていうのは



そうですね、やっぱりミステリってのは犯人が主役なんで
やっぱ主役にはね、それなりの治世があったほうが絶対に面白いんで



そうですよね、頭が悪い人には犯罪は犯せないっていう感覚ですよね



まあ、この犯人は完全に衝動犯ですけどね



まあ、そうなんですけど笑
笑



でも、それでも、頭を使って足掻いてくれたからこそこういうストーリーになったのかなっていうのは感じます
あと、あの……笑 すごく、絶妙なタイミングですよね、犯行が
あの……605号室で犯行が行われたそのときに3階の部屋では不倫している男女が、その……なんやかんやして、その男性が頭に落ちたからこそ、件のステッキが黒瀬の部屋に落ちちゃったわけじゃないですか
305号室から303号室へ、移動したその瞬間に



うんうんうんうん



この男性が、為石が街灯へ飛び移らなければそのままステッキは池に落ちちゃったわけじゃあないですか
この、なんか……皮肉が聞いてますよね



そうですよね
これはもう、完全に偶然の産物なんだけど
でも、これ無くしたらストーリーが成り立たないんですね
もう、しょうがないっていうか



うん
まあ、ここに関してはちょっと僕はあのー、ちょっとなんというか議論したいところではあって



はい



まあ、ミステリにおいて、この、偶然っていうのをどこまで許容するのか
いや、あのー、逆にやっぱりその―、まあ、あの、ディクスン・カーの作品とか見てたりするとそうなんですけど、この偶然というのが良い味を出しているというような考えかたもあるんですけども
まあ、他方で、わりと僕はなんというかそちらに近い立場なんですけど、やっぱりその偶然にも説明をつけていくっていうところが、やっぱりミステリの、何か、作業としてもとめられているところなんじゃないかなという気がしていて



はい



そうするとなんか、僕としてはこの作品を見ていて引っかかるところがあるとすると、その偶然というところに、何らかの必然性を持たせてもらったほうが、僕としては、そのー、うん
しっくり来たかなーっていう気はするんですよね



この、不倫に対してですか?



たしかに、これはまったく犯人が意図しない状況ですからね



はい



うん



えっと……この、不倫している男女に対して、黒瀬がっていうことですよね



そうなんです! 不倫……まあ、ようはこのふたつの事象というのが、まったくの無関係でなくて
あの、ごめんなさい、僕もなんかこの作品の具体的な修正例があるわけじゃないんですけど
あの、僕の好きな展開としては、要は結局、自分が蒔いた種だっていうふうになると、なんか僕は、一番、あ、素敵だなぁっていうふうに思って
まあ、ようはこの不倫劇っていうのに実は黒瀬が関わっていて、むしろ黒瀬が引き起こしたものだったみたいな
ような話があると、すごい、あの、腑に落ちる
まあ、これは、落語的なね



はい



んー



落語みたいな腑の落ちかたなのかもしれないですけど



ああ、因果応報的な



そう、因果応報みたいな話



ほぁぇ



僕なんか、そういう話好きで
以前から僕が一番好きな短編は東野圭吾の『捨てないで』っていう



おー!



あの、『天使の耳』っていう短編集に入っている



はいはいはい



あの作品好きなんですよ
あれなんか、まさに因果応報みたいな話をすごくきれいに語るんですけど、僕はそういうの好みなので、そういう……なんか自分が蒔いた種でした、みたいな話があると僕としてはかなり満点評価に近い作品になるんですけど……



でしたら、今、ちょっとテキトーに考えたやつなので、これが成立しているかどうかとかは無視して欲しいんですけど



うん



仮に、この奥さん、不倫している奥さんのほう、ん?……ああ。奥さんのほうの旦那さんが、戻ってきてしまったから、この男性(為石)のほうは急いで部屋を脱出したわけじゃあないですか



ええ、ええ



うん



この旦那さんのほうと黒瀬が何らかの面識があって、旦那さんが部屋に戻っていしまた原因を黒瀬が作ってしまっていた場合
例えば、待ち合わせに行けなかったとか



ああ、はい



そういうので
そういう場合は、その、因果応報っていう認識になるんですか?



あっ、それいいですね



いいですねー



笑



これ、だって旦那が、旦那が戻ってこないつもりでいたのに、急に戻ってきたのはなんか、バーで、なんか商談をしていたはずなのに、みたいな



そこに関わりがあれば



商談相手が、実は犯人で
商談を切り上げて、この被害者を殺すために。殺すためにわざわざ商談を切り上げてしまって、そのせいで、旦那は早く戻ることになって
で、結果、浮気男がベランダに足を掛けたタイミングと凶器を落としたタイミングが重なってしまったっていうふうになれば、確かに因果応報的なドラマにもなるし



そうですね
あと、もしくは、ええっと、僕が今ちょっと思ったのが、この男がバーで飲んでいて、そのとなりで黒瀬も飲んでいて
そうしたところ、黒瀬に対して古川から携帯で連絡が来て「来い」と
なので、これちょっと動揺して、あの、グラスを零しちゃったと
それで、零したせいで隣に座ってた浮気男の人(*浮気されている旦那)の服を汚しちゃったと
というので、服を汚したから戻らざるを得ないと



おー、たしかに



~「これ以上は待てんよ」~
って、すっごく端的ですもんね
あまり時間がかかってないような感じで



そうそう



んー



なんか、やっぱり、あの、もうこじつけなんですけど
まあ、そういうストーリーのほうが、なんていうんだろうな、んー、まあ、因果応報でもあるんですけど、逆にいうと、あまりにも、こう……繋がりすぎているというか、あまりにもちょっと、こう、造りものめいた話になっちゃうので
そこが、あんまりよくないっていう考えかたもミステリ、あると思うので



はい



まあ、これはもう好みの話だと思うんですけども



いや、良いと思いますけど
おふたりのその話をね、作者に聞かせたいですね
聞かせてほしかった



あの、これ、文字起こしするので。読んでいただきましょう
笑



まあ、きっとどこかで読んでくれるんじゃないでしょうか



読んでいただきたいですね、ぜひとも



あと、あの、擁護じゃないんですけど、この作品ちょっと小技が効いているなっていうところがあって
犯人はステッキを探しているわけですよね



はい、探してます



で
そのステッキは実はもう最初から自分の部屋のベランダにあった、と



もう、事件直後からありますね



うん



で、この犯人がベランダに出ればすぐに見つかったはずなんだけど、犯人はベランダにでなかった



たしかに~輾転反側~したりとか
*初めて知った言葉を使ってみたいだけ



そうです



笑



タバコを吸おうとして、でもやっぱりやめたり、気分じゃないからやめようってしたりなって
犯人がベランダに出る機会は何度かあったんですよね、この話の中で
そうすれば、警察より先に犯人は首尾よく凶器を見つけて上手いこと処分して、もしかしたら完全犯罪が成立していたかもしれない



なるほどです



犯人にも逃げ道、というか助かる道が実はあったんだっていうのを出しているのが、まあ、微妙なとこなんですけど、小技が効いてて



いや、効いてると思いますよ
まあ、人生に、実際の人生においての分かれ道は大体そういうものですよね



最後、この、警察に捕まった後、犯人は「ああ、俺、あのときタバコ吸うためにベランダに出てたら」って超悔やんだと思うんですよね



悔やんでいますよね



ねー
そういう作中に出てこない犯人の心情を拾えば、なんか、おもしろい想像ができるんじゃないかなぁと思う気がします



なるほど



部屋の配置は偶然だとして
そのほかの事象で、どれくらい偶然を許せるかっていうことですよね



そうなんですよ
どうしても偶然の要素は入ってくるんで



仕方ないですよね



うん
なので、そこをどこまで、どこに説明を求めてどこを説明不要と考えるのかっていうのはやっぱり読み手次第ってみたいなところがあるので……うん、あの、難しいエンゴですね、そこは



まあ、私、偶然に関してはあっては良いと思うんですけど、少しだけだったらね
偶然が犯人に対して、犯人に不利になるような偶然のほうが良いと思うんですよ



有利にならない、もの



そう、あの、犯人がラッキーで犯行を犯した、みたいな感じが出る……出ちゃうじゃないですか、気をつけないと
やっぱり犯人は狡猾で頭が良い、良くあって欲しいんで
もし偶然が作用するんだったら、それはもう犯人に不利な状況に陥らせて、ほしい
犯人の狡猾さが、本当、単なる偶然に足を掬われたような



ああ、偶然にも密室ができてしまったから「やったー容疑者から外れた!」とかではないってことですよね



そうですね
なので、犯人に不利な偶然なら1個か2個くらいならあってもいいかな、という考えかたですね



じゃあ、今回の作品でいうと、不利な偶然っていうのが、3階の方々っていうことですよね



そういうことです
もう天文学的な確率でしょうけれどね、こんなこと
笑



まあ、あの、うん
あの、偶然というものをどう説明するのかっていうのは、必ずしもそう数学的な数字が何%っていうのとはまた違くて、やっぱりこう、小説的なリアリティ、というか、小説的に、まあ、そういうことは有りだよねとか
いや、なんか、その偶然のおかげで、こう、ストーリーが面白くなってるよねみたいな
そういうような小説的な説明があれば基本的に良いと思っているので
あの、伊坂幸太郎なんか、僕はそこすごく上手く使っているなって思う作家なんですけど



ああ、うんうん



はいはい



まあ、なんか、そんな偶然ありえないだろって偶然じゃないですか
伊坂幸太郎の作品って、基本的に
笑



『ゴールデンスランバー』とか思い浮かべていただくとそうだとおもうんですけど
まあ、あれはそういう偶然が、なんていうか、お話的に、ストーリー的には、あの、必然とは言わないけれど、まあ、そういうのはあり得るよねっていう感じであったり
むしろ、偶然のおかげで、あ、この偶然のおかげでこういうことを描きたいんだったら、この偶然はありだよね、みたいなふうに思わせるのが
まあ、説得力があるという感じなんで、まあ、なかなかそこは……あの、なんというか、書かれかた次第ですよね
ちなみに僕は伊坂幸太郎好きじゃないけどね



そこはもう主観ですよね笑
ここで、偶然が作用していいかどうかって



はい、そうですね



圧倒的に1回目の収録時より詳しくお話してくださってありがとうございます
笑



だって、タイムリープしてますからね



本当、圧倒的に詳しいです笑



『強くてニューゲーム』みたいなものですからね
笑
g.勇者ミトと三つの宝玉
概要


- ファンタジー×ミステリに果敢に挑戦した異色作
- 作者の意図の通りには読めなかった申し訳なさがある(みよし)
- 相性が悪い要素同士をうまく組み合わせようとした努力が見える(菱川)
- ミステリ要素はもちろん大部分を占めるファンタジーについても読みごたえがある良作(庵字)



よし、じゃあ、次が……g.『勇者ミトと三つの宝玉』で
こちらの作品、読者への挑戦情が使われているので、それが、提示されている謎として……勇者ミトの死の真相で、誰が、なぜ、どのようにしてミトの両手両足を切断し、彼女を死に至らしめたのか……それが、提示されている状態です……よね?



ですね



読者への挑戦状、正直わたし、この、よくミステリ作品で見られているものだと思いますけど、あまり魅力をあまり理解できていない状態でして
クリーンの国名シリーズ読破しても、なお



うんうん



納得というか、理解しきれてないなっていうのは自覚しているんですけれども、おふたりは読者への挑戦状と言うものに対してどのようなことを思っていらっしゃるでしょうか?



これ前回も話しましたっけ?



話しました、まったくおなじフレーズです笑



そう、全然覚えてない笑



まったく同じフリです笑
まあ、気にせずお話しいただければと



これ菱川さんからでしたっけ



いえいえ、庵字さんからでしたよ



あれー、本当ですか、何言ったんだろう?



うぇ? 探偵役がすべての謎を、謎の手がかりを獲得したお知らせって



ああ、そうだそうだ!



あははっ、おねがいしまーす



作者が、この視点で、探偵が犯人を特定するすべての手がかりを得たというお知らせですよね、ようは、作者からの
ここまでは問題編ですよ、ここからは解決編ですよっていう切り替えのタイミングであって
で、そこにちょっとミステリ小説っていうのは作者と読者との知的ゲームの対決っていう側面がるので、それを読者への挑戦艇う形で明言してみたっていうことなんでしょうね
まあ、それ以上の意味ってあんま無くて
読者への挑戦イコール、ようは問題編と、繰り返しちゃってますけど、問題編と解答編の境目で、ちょっと作者が遊び心で読者への挑戦なんて名前をつけて
やってみて、それがもう定番化したってくらいのものなんじゃないですかね、読者への挑戦って



はい、ありがとうございます
菱川さんどうですか?



まあ、あのー、ちょっと、時代的にどのように使われていたかっていうのは僕はちょっとわからないんで、現代における、このー、読者への挑戦状っていうところの需要に関してなんですけれど
やっぱこの読者への挑戦状つきにミステリですよっていうのが、たとえば、その、帯にね、あの、この作品には読者への挑戦状がついてます、大々的に、こう、宣伝とか書かれていたりだとか、SNSでこの作品を宣伝するときも、この作品には読者への挑戦状がついてるんですよっていうところでかなり、その、ポジティブな、あの、イメージを持つ
まあ、そういう、あのー、客寄せとして、結構この読者への挑戦状っていうのが使われるような、あの、そういうような向きがあるかなと見てます
で、まあ、それっていうのは、あの僕が思うに、決して別に読者の方が読者への挑戦状ついてるから、こうー、作者との知恵比べだと
この読者への挑戦状って、頑張って考えようって人も、まあ、いなくはないとは思うんですけど、でもまあ、そういう方々は少数だと思うんです
で、単に、読者への挑戦状付きのミステリを読みたいと思っている人たちの多くは、単に、そのー、フェアな作品が読みたいっていう、手掛かりもあるフェアな作品が読みたいっていう、ガチガチのミステリを読みたいっていうそういうような気持ちで、あの、読者への挑戦状付きの作品と言うものを、あのー、好んでいるんじゃないかと思います
まあ、ただ、もちろん、あのー、あくまでここでいうフェアっていうのは読者への挑戦状がついているからこの作品がフェア、作品のフェアさが担保されているってわけではなくて
あくまで作者、ようは読者への挑戦状をつけた作者の方がこの作品はフェアだと考えているっていうそういう、あくまで自称でしかないので笑 そういう意味で、本当かどうかわかんないですけど、正直、昨今の、ねぇ
ミステリの中では、作者自身も、あの、口が裂けてもこの作品はフェアとは言えませんっていう作品も、少なからずある、まあ、かなり多いと思うんで
まあ、そういう意味では「少なくとも作者はこの作品をフェアだと思っていますよー」「手掛かりはちゃんとしめしていると、作者は思っていますよー」っていうことが一定の、そのシグナルとしてね
あの、機能しているんじゃないかなーというふうに、僕は読者への挑戦状については、言いたいです



なるほど
本格ミステリであることの、ようは、まあ……印みたいな?



そう、印ですね



そうですよねぇ



ありがとうございます
ちょっと……これに関しては、まあ、うん……なぁんでしょうね
まあ、これ、んーと、なんでしょう笑 あの、わたしは読者への挑戦状に対してまだよくわからないなっていうことしか言えないんですけど、これから第3部門で名探偵創造というのがあるので、そこで読者への挑戦状を用いていただいて、魅力を教えていただきたいなぁというのは、あります
おねがいしまーす



第3部門で、そういう作品がふえるかもしれないですね



はい、そのーはい
うん、はい、わかりました
あの、任せてください、第3部門やります、と
庵字さんが言ってました



えっ?



あー、期待しちゃいますね! あの、菱川さんは



はい
ちょっと知識が無いので
僕には荷が重いので



んあー……



なので、庵字会長が



わかりました
ご期待に沿えるかわかりませんけど笑
やってみようと思います
笑



よし、じゃあ、内容に入っていきたいと思います
参りましょう
これは、んー、どういう作品だって話しましたっけ?



唯一のファンタジー作品だって話からしませんでしたか?



あの、だいぶ、ねぇ、異色といいますか
だいぶ他の作品とは、ね、趣の違う作品でして
まあ、その、そうファンタジーミステリ
そう、ファンタジーの中でも、ちょっとファンタジーというよりは、もうガチガチのファンタジーでね



そうですよねぇ、王道ですよね



特殊設定ミステリですよね



うん、そう
で、そういう作品てなかなかミステリとの相性が悪くてですね
正直、僕も何度か、あの、小説家になろうを生息域にしていたので、そういうファンタジーミステリ書きたいなって、思ったことはあって、実際に書き始めたことも何度かあるんですよ
あるんですけど、難しいんですよ、ものすごく
というのも、やっぱ、どうしても、あのー、ファンタジーでねぇ、で、やっぱ、あの、ファンタジーってのは何でもありになっちゃうんですよね



はい、そうなんですよね



論理的に、ねぇ、あの、論理っていうのはどんどん絞っていくものなので
やっぱ、こう、ファンタジーだと、こう、絞れないので、論理で
あの、何でもあり、で、まあ、もうちょっと言うと、あの、この何でもありっていうのが人によって違うんですよね
この、ファンタジーっていうの、の、世界で
どこまでありで何がありかっていうのが、人によって全く違うものなので、あのー、たとえば、魔王っていうのは何ができるのか、魔法っていうのはどういうことができてどういうことができないのか、とか
まあ、ゴブリンというのはどういうことをするどういう性格の生き物なのか、とか
そういったことが、やっぱ人によって全く違う、考えかたが違うので
あのー、自分の中で完璧にした論理で書いたつもりでも、他の読者様から「いや、魔法ではこうふうになるはずだ」とか「こういうことはできないはずだ」とかってツッコミが入っちゃうんで僕は、あの……書けないですね



小説としてまとめないといけないですからね



ですね
この作者さん、すごい、そういう、難しいことをちゃんとやろうとしている中で、ちゃんとミステリを書こうとしている姿勢を貫いてて、尊敬します
わたしも新生ミステリ研究会のアンソロジーで、叙述トリックアンソロジーというものにお誘いいただいて
それで、ファンタジーのミステリに挑戦したんですけど、まあ、しっかり編集担当してくださった菱川さんに、ちょっとこれはなあって、ダメ出しをいただいて書き直した身としては



いや、あの、あははは



これをMysteryExhibitionにぶつけてくださるっていうのはすごく嬉しく思います



一応ちょっと誤解無いように笑 あの、こうー……ダメ出しというか、その、叙述トリック、叙述トリックというテーマの中で、ねえ、あの、叙述トリック
あの、叙述トリックのテーマの中においての、そういう判断



認識ですよね
ですから、この叙述トリックっていうだけで、菱川さんとわたしで認識が異なってしまっていたというので、それで、叙述トリックっていう、その言葉の定義の中でもそうなってしまう、ことがあるのに
この、ミステリでファンタジーもやろうっていう、この挑戦する……なんだ……挑戦する、心意気は素晴らしいなと、思います



まあ、えーっと、これはね
カットで良いんですけど



カットしないです



ファンタジーミステリって、まあ、有名なところでいうと、あの、米澤穂信の、あの、『折れた竜骨』っていう作品っていうのがあって
あの作品はかなり、まあ、長編だし、上下巻でしたっけ、あれ



そうですね



あの、文章を割いて、あの、そういうファンタジー性とフェアさ
みたいな、ようは論理的な推理の必然さみたいなものをかなり意識した作品で、まあ、それが、まあ、比較的成功しているとして、まあ、そのー、かなり、まあ、名声を得た、さすが米澤穂信といわれているわけですけれども
僕は個人的にあの作品まったく成功しているとは思ってなくて



笑



ちょっとよくわからないよなーっていうのが本音なところなので
あの、やっぱ、どうしても、あの、何て言うんだろうなぁ
やっぱ、ひとによって、このイメージする者によって、まあ、なんていうか、どんなにうまくやっても難癖がつくっていう分野なんだろうなぁっていう……ここカットで良いです



え、いえいえ、使います使います
あの、今おっしゃっていただいた言葉のとおりで
わたしが、ちょっとどういうことかなぁって。その、トリック、というか。この勇者ミトが3つの宝玉使ったことで人間の文明が滅びて、その結果、勇者の力が消えてしまってミトが死んでしまうっていう流れじゃあないですか



はい



それで、この……文明が滅びるためには、人間は究極の美食となった肉体、自分を食べないといけない、あるいは、殺し合いになった可能性は示唆されてはいませんけれど
その、とにかく人間が人間を食べないと、文明は滅びないわけじゃあないですか
そうなったとき、実際に人間は究極の美食である人間の肉体を食べるのかっていうところで、その、納得感に、欠ける、なぁ、と
感じて、しまい、まし、た
まる



まあ、そこ、かなり、ようは、あのー、この作品の中で重要なところで
えー、えっと、この作品の最終的なオチとして
まあ、そのー、最終的なオチというか
最初の1行から、えっと
~これは、人間と魔物の永きに渡る戦いを終わりに導いた、一人の少女のお話。~
ってことで、最後も
~こうして、一人の少女によって、人間と魔物の永きに渡る戦いは終わりに導かれたのでした。~
というふうに書いていて
ようはこれファンタジーのおきまりとしては、まあ、勇者が魔王をやっつけて、これによって戦いが終わるんです、って話なんだけど
この作品においてはそこは非常にあの、ブラック
ブラック、ブラック、ブラック



はい
めでたしめでたしとは、言いづらいような



そうそうそうそう
ようは、人間がみんな死んじゃったからこれで戦いが終わりました、っていう、まあミステリ的には非常にひねりが効いてて、おもしろい話になっているんじゃないかと思っているんです
で、そこは非常に良いなっていうふうに思うんですけど
今の、みよしさんが指摘したとおり、ここは、なかなか、こうー、あのー、大胆なね、あの、話であって
ようは、人間が自分で自分を一斉に食べ始めたってことなんで
そこは、本当にそんなことやる? っていうふうに思っちゃう
まあ、これはさっきの話で、あの、現実では絶対にありえない話だから



そうなんですよね



それが、ようは有り得るかありえないかっていうのは、その人々の想像の幅によるので、あのー、うん、なかなか、こうー、そこで説得する、説得しきる、万人を説得しきるっていうのは容易なことではない、無かったんじゃないかなーと



なので、これは、挑戦ですよね
この……設定というか、この組みかたが



うん……うん。んで、もうちょっと細かいこと言うと、個人的には、まあ、自分で自分の身体を食べるというのは、その、人肉がおいしければ、それでいいのか、というと、ようは、たとえば、じゃあ、僕は、あの……最近チョコもなかジャンボっていうものにハマってたべてます、と
じゃあ、自分の身体がチョコモナカジャンボになっちゃったら食べるかといわれたら、そのー……余程空腹状態だったら、ちょっと先っぽくらい食べようかなと思うくらいかもしれないですけど



融けるのが先ですよ



食べることによって自分が死んじゃうっていうのがわかっているんだとしたら、まあ、普通は食べないし、何より、これは自分の肉体なので食べたら痛い
痛いから、おなか減ってても食べない
いくらおなか減っててもおいしくても食べないかなぁとは思うので
まあ、そこに関してなんか、魔法でいや、実は痛みが無いんですよーとか、もしくは一種の幻想状態で自分が生きるか死ぬかもわからない状態だったんですよーとか
なんか、そういうような、そういう、法則の仕掛けは欲しかったかなって



えっと、宝玉は
~宝玉が叶えられる願いは、誰かを幸せにするためのものだけだったのです。~
っていう記述があって
そう考えると、痛みを無くすっていうのは体からのSOSを奪ってしまうことになるので、その、痛くなくなるっていう意味では幸せかもしれないですけど、その分、病気とか怪我に気づけなかったり、もっと大変なことになったりっていうので、幸せにするのかなっていう疑問は……まあ、この宝玉の設定がうまく使われているおかげで、この小説がミステリとして仕上がっていると思うんですけれど、やっぱり、そのあたりどうしても難しいですよね



ああ、そうそう
そうだ、ごめんなさい、そうだ。その前に解決しなきゃいけない話があったんだね



はい



それか、もしくはここのところで、あのー、ようは、あのー、自分で自分を食べるんじゃなくて、そのー、自分以外の人間がおいしい食料になったから他人を食べて、それで一種の戦争状態になって、その、人類が滅びたんだって
そのほうが僕は説得力があったかなって思いました



あー
たしかに、それなら、んー



それに対して



対象は死体ですもんね



そうそうそうそう



最初ゴブリンが食べたのは死肉ですよね、ようは



はい
んー、んぁー……倫理的というか、その……道徳的に、人が人を食べるっていうのは、ちょっと、抵抗があるのはもちろんなんですけれど、



そこをあえてっていうのがファンタジー世界で物語を遣るひとつの意味でもありますからね



そう、ですね、たしかに
いわゆる現実世界から離した舞台にした意味はここですよね、きっと



うん、現代世界が舞台となっていたら、絶対にありえない
現代世界なんか、ね、異界から魔物とかが来てってことなら、これは、こんなん絶対ならんやろって



ならないですね



徹頭徹尾ファンタジーの世界なら、世界で収めているんだったら、まあ、そういうことも、起きなくはないのかなっていう
ぼかしている感じもあるのかなっていうのは感じましたね。



そこですよね
倫理的な観点もありますけれど、それでもなお食事という行為が人間にとって生命維持のための栄養摂取ですけれども、大飢饉でも無いのに、他に食べるものがあるのに、果たして人間は人間を食べようと一線を、あえてこの表現にしますけれども、一線を超えるのかっていうところ、ですよね。



難しいですからね、うん



あとは、どこだ?……ここだ。あの、気になった点、わたしが気になったところとしては
~最低限の手当てをされていたためすぐに死ぬこともなく、ミトはじっと耐えることしかできませんでした。~
ってあるんですけれど、盗賊は手当てをするのかっていうところにも疑問を感じてしまって笑
あの、本当に重箱の隅ツンツンし続けている状態で申し訳ないんですけど、そこですかね
この、気になった、この作品で気になってしまったのは



うん



その、魔王城で、両手両足を切断されている状態で死に至るじゃあないですかミトは



そう、これあの



ええ、そうですね



そこで、たしかに
~すぐに村の自警団がアジトに乗り込みましたが、その時にはすでにミトの全身はボロボロで、もう助からない状態でした。~
っていう表現は、まあ、このときにはもう両手足を切断されている状態なので事実ではあると思うんですけれど、すぐに死ぬこともなくって。まあ、時間をかけてすこしずつ切っていったのかなぁっていうのは、まあ、そうかもしれないんですけれど
~それは、ミトが十歳になったばかりの頃でした。~
なんですよね、この事件があったのは。子どもじゃないですか。子どもの体力を考慮すると、あーの、どうなんだろうなっていうのは感じました



たしかに。両手足を切断したら絶対もう動脈も、切っちゃいますからね



そう、出血多量なんですよね
この時点で勇者の力がミトに宿ってたのかわからないですけど
それで、手当てする……その、ミト、ミト以外にも子どもはいるわけじゃあないですか、その村? 街? 村に
だから、ミトが死なないようにする理由は盗賊側には特に見受けられないんじゃあないかなって
獲物がうまく捕まらないなら場所を変えれば良いだけだから、っていうのは感じました
まあ、これ言い出したら勇者いなくなっちゃうので
あの、気にしなくても良いとは思うんですけど



そうですね
まあ、これ、たしかに、さっきあ、あの最期にバリアの中で一晩経ったらミトが、もうバラバラになっていましたっていう、この絵面がすごく魅力的でインパクトがある



引き、強いですよね



うん
だからね、これ、盗賊のほうで、痛めつけるけど死なない程度、治療すれば治る程度っていうんだったら、なんか、ナイフで腕を刺して、それでもナイフが栓の役割を果たしていたから血が流れなくて、咄嗟に治療したからなんとか一命をとりとめました、くらいにしたほうがリアルではあったかなと思いますけれど、まあ、その反面、そうすると最後のこの密室、密室の中でのミトの死にかたが胸から血を流して死んでましたっていうことになって、いまいちインパクトが無いので
ここはもう、作者も難しく考えて



ん-、難しいですよね



はい、葛藤したんじゃないかなって気はしますね
密室バラバラ死体のほうがずっとミステリ的にはおいしいですもん



謎は魅力に直結しますもんね



でもそうなると、さきほどみよしさんが言った、ねえ、10歳の子どもが四肢をバラバラにされて助かる方法がって問題が出てきちゃうので、ここはもうリアリティとミステリについての懸念のせめぎあいみたいなところが出てくるんじゃないかなー



じゃあ、もう重箱の隅ツンツン案件ということで



まあ、あのー、箱にね、つめておけばね。生きてたりもしてたり



たしかに



ーーっとしてたり



ーーとしたーーになり



笑



笑
(どうしよう、たぶん未読だ! 聞き取れないうえに、わからない!)



はい、カットしてください



えあ、使います



えっとー、まあ、はい、この作品にー、あのー、基本的にファンタジーミステリ難しいと、いう話をしましたけど、まあ、その中では、あの、ものすごく、こう、あのー、説得的にね、ストーリーを進めよう、と
非常にミステリとしての部分を犠牲にしないで、あのー、このファンタジーの中でミステリを成立させようという、そういうような、かなり、あのー、あの、努力をされている作品だし、実際に非常にうまい、うまいんですよ、ストーリーとして



そうですね
3つのお願いを通して



ようはこの、3つのお札じゃないけども、3つの宝玉をね



そうですね、それはわたしも思いましたね



うん、その、そう、ひとつずつ、そのー、あの、非常にあの、童話? 童話的なというか、ファンタジー的な、そういうストーリーが繰り広げられていくんだけれど、その、だいたいもう6000字か7000字いってから、これは果たしてミステリだったんだろうかって思いきや最後の最後で読者への挑戦状っていう
ここで来るかと
っていうので来て、それで実際に真相というのも、その、3つの宝玉、というところが1個1個あますことなく関わっている
ようするに伏線回収っていうのが相当されているんですよね、これは
まあ、そのー、今、あのー、やっぱりミステリとして成立する条件として伏線回収がされているかっていうのを特にみられる時代、まあ、てか、逆に言うと、それさえされていればミステリだっていう考えかたがね、されている時代でもあると思うので
そういう意味では、かなり、あのー、完成度としてはものすごく高いのではないかと思います



そうですね、高いですよね



まあ、うん
はい



私もこれ、ミステリ部分がすごい、ん、違う
ミステリに入る前の部分の、ファンタジー部分に読みごたえがあって凄いおもしろかったな、と思いましたね
なろうにあるような、四天王が次々にやってきてミトがそれを宝玉の力を使って知的に回避していくっていう、そういうジョジョの奇妙な冒険みたいな幻術で敵と戦う、ただ単にね、力が強い故の殴り合いじゃなくて
ちゃんと戦術を駆使して敵と戦うっていうところはすごくファンタジーものっぽいし、おもしろい
そしてここになおかつラストに至る、カタストロフィに至るまでの伏線がすべて入っている、ということで
で、これ読者への挑戦が最後から2ページ? あ、この印刷されたもので見ると、最後のこれがg-9に纏められているんですけれど、8ページの半ばでやっとね、出てくるんですよね



ですね。ラスト1000文字



これもう「あと1ページしか無いのに、え、挑戦状?」っていう
ここのインパクトも強い
強いですし、これを見て、あ、そうだ、これはミステリの賞の小説だったんだっていうことを思い起こさせてくれるし
挑戦的なことをやって、ね。全部を成功したかどうかは読者の判断にゆだねるとしても、かなり攻めてきた、尖った作品を送ってきてくれて
すごい良かったんじゃないかと思いますね



ですね
あの、えっと、ふたつ失礼していいですか
わたしの遺言が残されてるので
笑



えっと、あのー、どこだ……g-9で唾液、分泌、順序ってあるんですけど……この謎、解けますか?



あ、でも、まあ、そこは良いんじゃないですか? これに関しては僕がちょっと間違えて読んでいたっていう部分があるのですけど
あの、それをちょっと、前提としても言いたいことは無くは無いんですけど、まあ、もう良いじゃないっすか



いいんですか
言っていただいても構わないですけど



うん、カット
カットしていただけるなら言うんですけど



あー、でしたら考えときます



まあ、その、えっと、なぜ、まあ、ようはここの説明っていうのは、なぜ、あのー、その、ミト以外の人々は自分の身体を食ったのにミトは自分の身体を食わなかったのかっていう、まあ、ひとつ、まあ、重要なところの理由付けなんだと思うんですけれど、それは、ようは、他の人の、普通の人々は唾液が出ていてこの唾液が、いわゆる、あのー、肉汁みたいな
肉汁みたいなイメージで。そのー、自分の肉体から、この肉体から肉汁が湧き出てきてゆえに、なんか、これはめっちゃおいしい、と
ゆえに、自分の身体もめっちゃおいしいんじゃないかっていうふうに思って、自分の身体を食べ始めた、っていうそういうロジックなのかなって
それに対して、この、ミトに関しては、あの、サラの灼熱で喉がカラカラだったため唾液が出なかった
故に自分の身体がおいしく変わっているとは気づかなかったって、そのロジックだと思うんですけど



はい



そう
それで、僕はこのロジックを、そもそも、最初、理解していなかったぽくて、で、まあ、理解できなかったのは、やっぱ、ようは、この……唾液、というものが肉汁的にようは自分の肉体がおいしくなることによって唾液もおいしくなるっていうところが、僕はちょっと想像が及ばなかったというのと、このおいしくなった唾液を飲んでこれは自分の身体がおいしくなったからだって、ようは、この自分の身体っていう、その、なんだ、えっと、筋肉とか贅肉の部分がおいしくなったんだっていうシグナルなんだ、というふうにあの、全人類理解したっていうここの、あのロジックも、ちょっと、あの、飲みこめなかったっていうところで
結構、ここは、なんというか、あの……このロジックって、なんか、気づくのが読み取りにくいんじゃないかなって
そういう、ちょっと、そういうふうに思ってたっていうところです



あー、はい。なるほどです
そこは、あの……わたしは菱川さんの視点が無かったので、「あ、変化に気づいたんだな。何が変化したのか考えたら体が変化したんだと考えたんだな、おいしいんじゃない? 食べよう」っていう、作者が考えた解釈――ロジックは、まあ、このトリックが成立するならこの解釈だなっていうところにはたどり着けたんですけれども、おそらくわたしも作者の意図とは異なる理解をしてしまっていると自覚してるところです
素人なのでさらっと流しますけれど、人間の筋肉の組成としては家畜とそう大差ないとも言えるようですけれども、カニバリズムと呼ばれるような文化では人間がおいしいから食べているわけでは無いという見方がわたしが認識するかぎりでは一般的なものらしいですし
そもそも「おいしい」っていう感情は、味覚に対する反応だけでは無くてβエンドルフィンやドーパミンで脳が快感を享受している状態も含めているわけで
この究極の美食ウンヌンについては、危ない表現をすれば、非合法なオクスリで逝かれている状態とほぼ同じでしょう
ミトはゴブリンさんのためにお願いしたわけですけれども、人間っていう同じ種族内でも味覚の趣味嗜好は異なっているわけで
人間とゴブリンさんっていう異なる種族の場合はさらに味覚が異なっている可能性が考慮されうると思いますし、まあ、仮に大差ないとしても、複数人がある食べ物に対して固執するほど「おいしい」と感じているということは脳が異常に快感を得ている状態であることが伺えますよね
ただ、人間が人間の死体をおいしく食べられるようになりたいと考えるのは、感覚的には受け入れがたいじゃあないですか
教会の神官は
~人々の想いは、集まれば確かな力になります――これは比喩ではありません。今この瞬間もこの国で生き、互いの幸せを願うたくさんの人々の心が、奇跡を起こしているのです。~
っていうことを述べてはいるんですけれど、後半のほうでは
~実はミトも、神官でさえも知らないことでしたが、宝玉の力にはある制限がありました。宝玉は、それに込められた、たくさんの人々の互いの幸せを願う想いによって機能します。そのため、宝玉が叶えられる願いは、誰かを幸せにするためのものだけだったのです。~
とありまして。ん? ああ、でも、そうか
願う人数と作用の範囲については言及されてませんね、何でもありません
どうやって機能するのか詳細も書かれていないので想像は控えておきます
まあ、とにかく、宝玉は……それを、人を幸せにしているってどのように判断した上で宝玉が機能しているのか
ああ、そうかな、うん
作中では地の文にて
~宝玉で魔王を直接倒したり、魔王城に瞬間移動したりすることができない~
と明記されているんですけれど
魔王との争いで既に人間側に死者が生じている時点で、魔王を倒して戦いが終結することを願う人々は少なからず存在するんじゃあないかと
戦いが終わらないかぎり出征する人間とそれを見送る人間が存在するから、「魔王が敗北すること」と「誰かを幸せにすること」は直接的に結び付けられるんじゃあないかなって思ってみることはできるわけで
それから、人間が人間を食べるってことに対して……さっき述べたように疑問が募ってしまった、この2点ですね、きっと
まあ、そういうところで、わたしはこの作品の作者さんの意図をくみ取れなかったでございます……うん、悔しいですね
あの、えっと、それで、失礼しました
あの、そうですね、ここはわたし納得を諦めて読んだんですけれども、菱川さんの解釈も可能だと、感じます



ここの唾液ウンヌンっていうのは、だから、自分の身体を自分で食べさせるための理由ですよね



ですね、おそらく



だから、自分の身体を食べるっていう人間なんているわけがないんだから、いくら自分の身体がおいしく変わったからと言ったって食べないうちには気づきようが無い
んで、それに気づかせるためにどうするかっていったら、唾液を通して人間の肉体が美味くなったんだよ、だから自分の肉体を食べちゃったんだよっていう、そこへもって行くためのクッションというか、媒介としてこの唾液っていうのが使われているわけで
ここは、ちょっと、作者もかなり考えて……



がんばったんでしょうね



ええ、頑張ったんだろうなっていう努力の跡が見えますよね



なるほどです、そうですよね……ありがとうございます
じゃあ、ラストの遺言なんですけれど



ええ



飯城勇三、作中、メタ視点……って書かれてあります



あっ、それ……! 一番最初の、読者への挑戦状の話ですね



ああ、作中の登場人物目線かメタ視点からか……



そうですそうです
ミステリ評論家の飯城勇三が読者への挑戦っていうのは、作品の枠を超えたメタ視点から自身が挑戦してくる、作者がメタ視点からの挑戦状と、あくまで小説の中の世界で小説の中の探偵が実際に事件を解決してそれを解決したときに「俺はあの時点でこの犯人とかトリックを見破ったな」っていうポイントを見つけてそこに、作中の探偵自体が読者に挑戦を語るっていう
2大レベルからの読者への挑戦っていうものがありますよって話ですね
これ、たしか『エラリー・クイーン論』っていう話にあったのかな、これが
図書館かどこかで探せばあると思いますよ



ありがとうございます、読んでみます
いやぁ、謎が解けましたー☆
h.揺れるシャンデリアの謎
概要


- 小説として完成度が高い
- 一般小説としても読める切ないお話だけれど、ミステリの技法は丁寧に用いられている(庵字)
- 若干ミステリとしての物足りなさはあるが、本来の短編として正しい形(菱川)
- 最初から最後まで、作品の良さに自力で気づけなくて悔しい(みよし)



よし、では、『揺れるシャンデリアの謎』、お願いします!
ってことで
これで、提示されている謎としては、なぜシャンデリアで首を吊る母の姿を悪夢に見るのかっていうところですよね



ですね



ちなみに、この主人公のしずくちゃん
名字の読みかた、エハトですか? それともエバトですかね?



ああ、エバトじゃない?



エバトじゃないですか、しっくりくるのは
エバトのほうがしっくりきますよね



うん



あ、でしたら、エバトで……しずくがひらがななのに、名字が漢字で
もう、どっちだ? ってなってました



笑



でも、あの、しずくちゃんって名前かわいいですよね



ね、かわいいです



はい
で、まあ、テーマっていうところで言うと、まあ、母親から虐待を受けているというか、いわゆる毒親、っていうのが一貫したテーマとして貫かれていて、まあ、それが、まあ、パズルを解いていくと同時に、まあ、なんというか、こう、上手くいかなかった親子関係というのが少しずつ清算されていくような、まあ、そういうような、こう……ミステリ的な解決と小説的な解決っていうのが、まあ、かなりシンクロしている作品、で、それは良いんじゃないかなーというふうに思っています
さらに、まあ、この毒親的なところ、この描写のリアリティっていうところがあって



うん
だからもう完全に独裁者的にお母さんがしずくちゃんを支配していいるわけじゃなくて、結果的にお母さんの理想をしずくちゃんに押しつける形がそういう風な、その、見えてきているだけであって、お母さんはね、もうきっとこれ良かれと思ってやってるわけで
雫ちゃんをいじめようと思ってやっているわけじゃないけども結果的に、すれ違い、心の行き違がって、悲劇を生んでしまったっていうところは切ない話……なんですよね
一般小説的ですよね、1番これが



たしかに、ミステリを書こうとしたミステリではないみたいな



ミステリ的なところを抜きにしてもこういう親子の小説として読めるし
ミステリ的なところといえば、h-1、この最初の段落で、しずくちゃんの夢の話が突然出てくるんですけれど、このシャンデリアのガラス細工のきらめきまでが見えていたと、言うんですね
しずくちゃんには



ああ、レリーフ
天使の羽根が、はい



で、最後のトトの謎解きで、シャンデリアってのはすごい、床の上から見るわけで普通だったらそんなガラス細工のきらめきまで見えるわけがないと
何でそれが見えていたかっていったら、シャンデリアの真下にいたからだと
なんでシャンデリアの下にいたのかっていうとそれはあなたが首をつってたからだよ、っていう
ここの、徐々に詰めていく感じの謎解き
これすごくミステリっぽくて、MysteryExhibitionの作品たるにふさわしいものだったんじゃないかと思いますね
このシャンデリアのガラス細工が見えてたんだってのは本当もう最初の最初に出てくる手掛かりで
これを最後に解き明かされるっていう、謎がでてそれが最後に解かれるっていうサンドイッチ状態になってて
これミステリの理想ですよね
まず謎で、この最初、最初に出た時点では謎だって気づかない、誰も



ですね、はい



これ見て不自然だってまず思う人いないと思うんですよ
この最後にトトちゃんが、ね
こう最後に言われてみれば確かにそうだよねっていう
で、こう、最後にシャンデリアが揺れているっていう、揺れるシャンデリアっていうタイトルの回収もそうですし
こう、親子のすれ違いみたいな、一般小説っぽいテーマをミステリの謎とかタイトルでうまいこと挟みこんで、隙の無いつくりをしているよなっていうふうに思いました
それに、謎がトトの口から明かされているってのがあって、謎というか手掛かりがはじめっから提示されているっていう
これすごくミステリ的な構成でうまいなと思ったんですよ
これ、可能だったらh-6の中ほどの
~シャンデリアの近くで真下に位置しないと見ることができないものだよ~
のところに傍点を振ったらね、すごくミステリっぽかったなと思いますね



あー、なるほどです



笑



ここを強調してくれてたら



庵字さんらしい指摘と、庵字さんが好きそうなところですね



好きですね
私だったらここ傍点振るなって



わたしは個人的に傍点振るところ、よくわかっていないので、なんか、そういう考えかたもあるんですね
ありがとうございます
菱川さんいかがでしょう



まあ、あと、この作品で、あの、僕が、というか、あのー、作者が意識して使われているのかどうかはよくわからないのだけども、この白猫の名前、トトっていうじゃないですか
トトってエジプト神話の



ああ、はいはい



神様……?



そう、神様で
ようは、こういう、えーっと、死後の、まあ、あの、時代によって使われかたが違う、あの、トリックスターみたいな神様なんですけど
こういう、やっぱ死後の世界の案内みたいなことも確かしてたと思うので



おー



そこはあれかなーって、うん、あれかな
意識してトトってつけたのかなっていうところは、かなり、まあ、あの、意識されてたとしたら相当うまいネーミングだと思います。



動物によって導かれているっていうのも、そういう、神話で見られる形式なので
今言われてさらに理解が深まりました



そうですね



まあ、なんだ、あの、そういう意味でもこれとった、なんだろうな、弱点は無い作品で、あの、非常に完成度は高い



ええ、高いですね



まあ、ただ、一般文芸寄りではあるから、このミステリ好き、の……まあ、うん、まあ、そうね、その、あの、他の作品、ミステリ色が強い他の作品からみると、まあ、なんだろな、物足りなさみたいなのを感じる部分もあるかな



『消えたステッキ』とは別の意味でちょっと浮いているというか



たしかにそうかもしれないですね



まあ、ちょっと、今のところはうまく表現を変えて笑



笑



そのまま使いまーす



え、いやいやいやいや
笑



はい
で、さっき菱川さんのほうで、テーマが母親・毒親みたいな話がありましたけれど、これ最期、ねえ、主人公がトトにお母さんは私が死んで悲しんでた? って聞いて、悲しんでたよって、いうので満足するんですけれど、これようはトトが言ってるだけに過ぎないじゃないですか
実際はわからない
トトがもしかしたら主人公を悲しませない、満足させて死なせるように嘘をついたのかもしれないっていう、そういう読みかたもできるかなっていうのは思いますね



魂の解放だよって言ってますもんね



もしここでね、いや、お母さんめっちゃ「あんたが死んで済々した」みたいなことを言ってたよなんてことを伝えたら成仏できないんで
それを慮ったトトの優しさみたいなのもあったのかなっていうのもある気がして
で、この悲しんでたってのに「そっか」って
「そっか」ってのも、もしかしたら、もしかしたらトトが嘘ついてるんじゃねーの? って、訝しんでるけど、まあ、そういうことで満足しようっていう妥協みたいなのもあって、もう、結局もう最後の最後までこの母親と娘が、心が交わることなく、無かったのかなっていう読みかたもできるんじゃないかな



哀しい読みかたですね



そういう哀しい話なのかもしれないっていう



「本当に?」とかって聞いても良いわけですもんね



そうですよね
ここまでね、めちゃくちゃなことやられて「悲しんでた?」って聞いて
「悲しんでたよ」って言われたら、「ほんとに?」って聞き返しますよね普通なら



ですね、納得できていないなら



そこはもう、ね
もうトト、猫ちゃんの優しさにすごく感動して、自分がもうそういうもんだと受け入れたっていう



その前の段階で
~その言葉が、胸の奥で静かに響いた。 不思議なほど、腑に落ちる感覚があった。 ~
って、ありますから
それを踏まえての、「そっか」ってことですもんね



そうですね
この、「そっか」の捉え方によって読む人によってはすごくラストの展開の感じ方が違ってくるんじゃないかなっていう
だから、ミステリ云々を抜きにしても、すごく1本の小説として纏まってて良い話だなと私思います
そうなるとラストも印象的で
最後の一行も良いじゃないですか
~私の意識は、最大限の幸せを感じて、消滅した。~
っていう、最後はね、もう幸せを感じて死にたいですよね
笑



これ、なんというか、本来、これ短編ってこうあるべきだよなーと思って



うんうん



今回は短編の8000字以内っていう中だけど、まあ、なんていうか本来は長編で描くようなものをぎゅっと短編にしてんなぁみたいな作品が多いんですけど



たくさんありますね



はいはい笑



この作品はそういう意味で短編として、あのー、1番ちょうどいい情報量と、ちょうどいい、あのー、なんだろう、起承転結っていう感じでやってるので



もうね、他に何かやっても蛇足になっちゃうみたいな



そう
これは、そういうことで短編としての完成度はピカイチです



うん、高いですね
これは読んでいて、何かを削ったわけでも何かを着飾ったわけでも無いよなってわかりますよね
これで完成されていると、ちょうどええと、分量が
菱川さんおっしゃったように短編としてのあるべき姿って感じで、完成度というかまとまりで言ったら今回のMysteryExhibition1:短編部門でも随一だったかなと思いますね



ですね、はい
まあ、それで、毒親、さっきこの親酷いですよねみたいな、あのー、相槌がみよしさんからあったんですけれど



はい



まあ、h-4のほうで、お母さんが、まあ、走馬灯のようにお母さんの思い出がフラッシュバックすると
ひとことひとことあるんですけど、これようはなんだろうな、そのー、母親側の気持ちも若干わかるというか、なんというか、必ずしも超悪者ってわけでは無さそうな様子で
~
「……あなたの塾の送り迎えがどれだけ大変か分かる?お父さんは全然手伝わないし……」
「……お弁当を電車に忘れるなんて私への嫌がらせでしょ……」
「……お母さんは間違えたくないの……」
「……このぬいぐるみを買ってあげたら、お母さんと仲良くしてくれる?……」
「……お母さんは高卒で悔しい思いをした。しずくには良い大学に行ってほしいの……」
「……謝ればいいって思ってるでしょ、しずくは……」
~



傷つけようとして言ってるわけでは無いのは、わかります



まあ、なん、うん、あの、ここの表現は非常にうまいんですよね
あー、わかるわっていう、あの



私、実はこの下にある
~「……このぬいぐるみを買ってあげたら、お母さんと仲良くしてくれる?……」~
っていうセリフがね、好きで



んー



あー



ちょっと、お母さんがね、一方的に支配しているわけじゃなくて
お母さんとしてもちょっと、良好な関係を気づきたいけど、でも……みたいな、お母さん側の葛藤もこのセリフに現れているのかな、という



その前のところ、ドイツ旅行のところでお母さんがしずくちゃん寝ているときに頬を叩いちゃったっていう場面のところで、その後に
~「よく分からないけど、なぐっちゃった」私は母がすすり泣くのを聞きながら、確かによくわからない、と思って眠りに戻った。~
っていう、ところがあって
こういう、作品に没入するためのピースがちりばめられてて



そう、なんか、上手いですよね
ドイツ旅行の下りと、その前の、その、広島の原爆ドームのところが、いかにも子どもをインテリに育てたい親
やっぱり学歴コンプレックスがある、まあ、ちょっと、お金はある家みたいな感じの、まあ、そういうところから、きれいに表現、こうー、あのー、モチーフから表現してるっていうところがあるのかなって思います



ミステリ的な要素はもちろん、あの……今回提出された他の作品のような、探偵役がいてその探偵役が謎を解き明かしていくみたいな
そういう流れは、この作品には、別に、あまり重要視はされていない印象なんですけど



うん



でも、満足度は高いのはそういうさっき菱川さんがおっしゃっていたようなテーマ性の使い、テーマの使いかたの妙があるからなんだなというのを今、おふたりの話を聞いてて思いました



まあまあ、あの、ここに関しては小説的なあれですよね、読みかたとして
まあ、ようは母親憎しでねぇ、死んだけど結局母親が自分のことに対して、まあ、その、死んだときに、あの、悲しんでくれた、ということに最大限の幸せを感じるっていう、まあ、この複雑な親子の心理がね



そう、複雑なんですよ、この親子は



うん。っていうのをまあ描いているぽいんですかね
まあ、やたらこの毒親に対する解像度が高い



うん、作者さんの実体験なのかわからない



そう、なるんですか



うん……まあ、作者さんの実体験



間近に、間近に聞く機会がある方なのかもしれないですし
そういう話を



うん、そうですね



なんか、最後の一文ってミステリとして結構重要視されるところではあると思うんですけれども、この作品に関しては、その、ミステリ的な終わりかたでは無くて一般小説的な終わりかたで
こう、小説としての完成度を優先した、のは正解ですよね



そうですね
ミステリ的な終わりかたっていうのは、それのちょっと前のシャンデリアの近くで真下にいたからこそキラキラ見えたんだよっていうところで終わっているんですよね
それでそっから先はもう、完全にしずくちゃんの心情、一般小説としての
ミステリ小説としての終わりかたはそこで終わってて、あとは一般小説としての決着をつける形になっている
ミステリ的な満足度もあるし一般小説的な満足度もあるし、総評としては最初おっしゃったように短編として完成された作品だなとおもいますね



まあ、その、ミステリの、そのー、まあ、MysteryExhibitionっていう中の、まあ、評価基準ってまあ、その、フェアなのかとか
まあ、そのー、なんか、論理だ謎だみたいなそういうような基準があるなかでは、この作品は結構そこに当てはめるっていうのはなかなか難しくなってくるなかなーっていうのは思うんですけれど、まあ、やっぱり読み物として評価されるべき作品なんじゃないかとは思います



あの、私いま気づいたんですけれど、h-1、本当1行目、***ってなっているところ
~私の家の天井はひどく高かった。~
って書いてあるんですよね、ちゃんと



はい



2階まで吹き抜けになっていると
そんな高いところにあるシャンデリアがたしかに床から見て、ガラス細工が見えるわけないんですよね



そうですね、ガラスは透明なので
どうしても視力次第で



だから、家の天井にシャンデリアが2階に、1階から見て2階の天井だからもう10m近い位置に掛かってて、そこのガラス細工が見えたていうのはどういうことなのっていう
すでにここで、もう矛盾がここで指摘されている



疑問を抱いても良いところですよね



読む人が読んだらもうここで、この時点で「いや、そんな高いとこにあるシャンデリアのガラス細工が見えるの? 視力いくつなんだよ」ってツッコミが来るところなんで
すでにここで謎が提示されていたっていう
今ここで気づきました



なるほど



うまいですね、ここ
うまい謎の出しかた
ここで、もう、超思考が飛躍する人間だったら、ここでもうしずくちゃんだなって、死んでいるのはしずくちゃんだなってもしかしたらわかるかもしれないっていうね



名探偵過ぎますね笑



でもさ、考えてみたらこれはフェアといってもいいんじゃないかしらと私、今、思って



たしかにこの作品、ファンタジー的な要素があったうえで、この作品の完成度が担保されていて、ミステリとしても読めるっていう



まさにそのとおり



なんだろう、フルーツ盛り合わせみたいな感じですね



そうですね、てんこもりです



そういえば、これ題名、どうして『揺れるシャンデリアの謎』にしたんでしょう?



ちょっと、謎っていうのを入れたかったんじゃないかと笑



ミステリっぽくしたかったと



そうそう、ミステリっぽく



ちょっと悪い考え方だけどね
中身がかなり幻想的でね、幻想的なファンタジックな作品で、ちょっと本格からは離れたテイストなんで
せめてタイトルくらいはミステリっぽくしようと思った……のかは、わからないですけれど、そういう思惑があったのかなって
いくらでもね、センチメンタルなタイトル付けられそうなのに、なんでこんな直球なタイトルなのかっていうことですか?



はい、そうです



でも、これさ、あのー、ミステリとして、実は、上手いつけかたである可能性があって
これ、ようは、あのー、ええっとね……h-2っていうところ。h-2、
~
「早くしないとシャンデリアが落ちちゃうよ」
「いや、え、なんで、シャンデリア」
~
ってあって
で、
~また地面がぐらぐらした。~
とかいうふうにあって、まあ、ようするに自分がシャンデリアで首をつった状態なわけでしょ?



はい



で、あのー、そうするとシャンデリアが真上にあるわけで
そうすると、シャンデリアが、あの、なんだろうな、自分の重りで落ちるみたいな
そういうような連想もできるし



おー



まあ、その、地面がぐらぐらするっていうのもシャンデリアが揺れているから、そういうふうに自分がぐらぐらと揺れているというような、そういうような、あの、見方もできる
というふうに考えると、まあ、ようはこの『揺れるシャンデリアの謎』っていうもの自体が、自分自身がシャンデリアで首を吊っているがゆえに、揺れるシャンデリアの下に自分がいるんだと



あー、なるほどね



そういうような
深読みかな笑



あの、揺れてる、わたしの、認識では……シャンデリアはそんなに揺れるものでは無いという感覚でして
あくまでもわたしの偏見ですけど、持ってて
最初のh-1で
~ガラス細工のチェーンがしゃらしゃらと不吉な音を鳴らした。~
ってあるので、このガラス細工の部分が揺れているのかなっていう認識をしてしまって



ああ、はい



シャンデリアは揺れているのか? っていう感じかたを



なるほど



してしまいました
たぶん、これはわたしの読解力ですね



まあ、なん、てか、やっぱり、そこをそんな具体的に書いてるわけでもないし、まあ、そもそもがそういうファンタジーチックな作品なので、まあ、そこをどうこじつけ読むのか、まあ、読み手側の自由だと思うし、まあ、あのー、なんというか……あの、良くも悪くもそういう想像の余地というのがかなり大きい作品になっていると思います



んー……



何か、今、菱川さんたちの話から、シャンデリアが揺れてるんだけど主人公の視点では地面が揺れているっていう、揺れているように見えるっていう、ここ



ああ!



ようはね、これ、ペン
ペンだと、こう(↓)落ちるじゃないですか



ここにいるから、これが、揺れてると



そうですそうです
これ、ペンが揺れてるように見えるんだけど、もう、ペンからしたらこっちが静止してて宇宙全体が揺れてるっていう感覚にできる
物理学でも同じことになるわけですよ



うん



そうか、そうですね



だから、自分がシャンデリアに固定されてて外から見たらシャンデリアが揺れてるんだけど、シャンデリアの立場にしてみれば自分が静止していてそれ以外が世界全体が揺れているっていう考えかた
だから、もう物理学なので、それを表している、だから地面が揺れている、っていう



じゃあ、この
~絵のなかのシャンデリアが首吊りとともに左右に揺れた。~
っていうのは、そういうことってことですよね
ベクション運動の反対というか、んあ、誘導運動ですかね



そうなんじゃないですかねぇ



わー……今納得しました! ありがとうございます
i.赤い意図
概要


- さすがエンターテイナー、堂々の連作短編第3作
- これは許せる(ひしかわ)
- 指輪ではなく指に注目させるところが新本格っぽくて好き(庵字)
- ダイイングメッセージの成立に対して疑問が解消できなかった(みよし)



次?



次行きますか



次行きまーす!



『赤い意図』ですか



はい、『赤い意図』



『赤い意図』です、あの、少しお待ちを……はい、連作短編!



三作目ですね、はい



連作短編



嬉しかったです



嬉しかったんだ笑



結構期間は短かったじゃないですか
なので
それに、3作とも8000文字ギリギリなんですよ
よく描けたなぁって思います



なんか、X、Xでね、Xの作者予想でね
なんかこれまでの2作ね、c.『二次創作』と、あのー、なんだっけ



e.『フェアゲーム』?



そうそう、e.『フェアゲーム』
e.『フェアゲーム』に関しては、まあ、誰が書いたかわかんないけど、このe.『赤い意図』だけ菱川が書いたんじゃないかって
笑



ちょ、いや、運営側だから、その、ね
前2作を見て



読んだうえで、勝手に続編を



そうそうそう、3作目を書いて、そこで菱川をね、生きてる探偵としてね、本来、死んでたはずの菱川を蘇らせたんじゃないかみたいな



ひしかわ死んでたんですか?



しんだ、まあ、匂わされてたじゃないですか



うん、匂わせが



そーう、なん……ですか?



うん、だから三作目で無理やり菱川を生き返らせたんじゃないか、みたいな
そんな高度なことしてないんで
言っておくと
笑



わたし、普通に作中で菱川さん生きてると思って読んでました



おー、ありがとうございます



そういう捉えかたもあるんですか



あの、この『赤い意図』のおかげで、ああ、生きてたんだっていう考えになりました



ああ、そうそうそうそう
だから、そうそう、ね
2作だけで終わってたらおかしいってことになってて
むりやり、ね、作ったと
勘ぐりをしている人もね、まあ、そんなことはしてないです



結局、公開前の作品はお見せしてないのでね笑



だから本当に、そういう意味で、この作品は全然許せる作品です
笑



許せますか



さっき許せませんでしたもんね



そうそう、前2作はちょっと許せなかったですね。これ許せます



この『赤い意図』では、糸魚川茜が犯人だよっていう証拠を被害者がどうやって残したのかっていう謎の提示で合ってますか?



そうですね
だからこれは、まあ、そういう意味ではすごくシンプルなんですよね



先ふたつに比べると確かにそうですよね



しかも、まあ、言ってしまえば犯人も誰かは、まあ、わかっているし
ここに、ダイイングメッセージがあるんだってことも、まあ、ここにっていうか、うん、ここにダイイングメッセージがあるんだってこともわかっている
だから、そういう意味で相当閉じた中での推理なので
まあ、短編にするにはすごく丁度いい謎の大きさですね



これミステリ的にはすごくうまいというか、小慣れてるなってことを行っていて
被害者が指輪を抜いて死んでる、だから普通だったら指輪のほうに何かあるって思うわけですよ、主人公もはじめはそう思ってるしでも、指輪ではなくて指輪を抜いた指のほうに手掛かりがあったっていう、この使いかたがすごく、もう新本格っぽくて



たしかに、指輪を抜いても結婚しているなら結婚指輪があるはずだっていうのはもう確定ですもんね



うん、そうそうそうそう



ちなみに菱川さん、結婚指輪は何号ですか?



ああっと、僕、見てわかる通りしてないです、一切



笑



買ってないってことですか



買ってないです、はい



残念、前提が崩れました
成り立ちませんね



はい、そう、だから、14号なのかどうかっていうのは僕もちょっとわかんないんですけど、これで14号だったら怖いです



では、この作品はフィクションですね



うん
怖いもん、何で知ってんのって



怖いですよね、当ててますからね、知ってんじゃんって
ようは、指輪が、わかんないと糸が均等に巻けないから、それを、均等に糸が、うまく指に巻けないから指輪を取った、その指のほうに注目して、本来、注目するんだけど、絶対これ読んでいる人は指輪のほうに何かあるんだなってのをミスリードされちゃうっていう
このね、ミスリードの仕方がすごくうまい
トリックのおもしろさでは、私これ今回随一だなと思ってて



それをね、お掃除ロボットに吸わせるのもね



そうそうそうそう



これも、たぶん、わたしがテキトーに考えた、頭を使ってないんですけど、あの、第二部門指定文使用のひとつですね
こちらも



あ、そうですっけ



え? なにが?



お掃除ロボット?



えっと、確か……



お掃除ロボット何たらトリマーってやつ?



お掃除ロボット専属トリマーの朝は早いっていうのが、えっと、どこだ……



え、すご



すごい



本当に、MysteryExhibition1に合わせてきた! と思って
一応、これ3作が連作短編で、それをやってきたっていう、その体力というか心意気、感心してます



うん、頭が下がるなぁ



ほんとうに



すごいですね
なんか、パンナコッタも、どっかに使ってたよね
パンナコッタなんとか事件を解決したみたいな



ありましたね



その事件は『赤い意図』で
あっ、あった、そう、4つあって
1つ目が”砂上の楼閣に素引きの精鋭部隊を配置している”、
2つ目が”そんなのパンナコッタだって迷惑こうむる”、
3つ目が”事件の鍵を握るのはあの人物に違いない”



ああ、採用されたやつね



そうですね。
それで、4つ目が”お掃除ロボット専属トリマーの朝は早い”



じゃあ、全部使うのかな



全部使って、じゃあ、ひとりMysteryExhibition2だ笑
*MysteryExhibition2は、2027年予定
→「ひとり第2部門実施」



はいはいはいはい



それで、そのなかで、”そんなのパンナコッタだって迷惑こうむる””事件の鍵を握るのはあの人物に違いない”このふたつのどちらか
まあ、どちらも使っても良いんですけれど



このふたつが同数だったんですか?



はい、わたしが同数にしました
投票、4票だったので
イケると思って



なるほどねぇ
なかなか難しいことをね



ですね
メタ的にすごいことをやっていたっていう



そうですよね、本当に
ということで
わたしの解釈では、この『赤い意図』が『フェアゲーム』の後の話じゃないですか



そうですね



そのー、『フェアゲーム』のところで、あった、e-3のところで
~あの時はねぇ、糸魚川さんちの旦那さんの浮気の話をしてて、盛り上がっていたの……~
ってあるので、盛り上がれるってことは、この、まだ事件は起きてなくて



あー



死んでないってことか



ですです、死んでないので、『赤い意図』のほうが時系列が後で
菱川さんが出てくるから生きてるという、作者さんには殺す意図が無いのではないかと解釈をしました



そっか、じゃあ、メタ読みとかじゃなくて、実際に死んでない設定だった



そーう……この3つの作品が同じ作者さんによるものであれば、そうだと思います
まあ、その前のところを読み直したりして、まだ解決されていない謎としては、匝瑳邦治さんのやつでc-3のところで、
~その時に家主が記者に話した死体の人物像と、とある行方不明者の特徴が一致したため~
警察が介入してきてるんですけど、この行方不明者ってどなたのことさしてるのかなっていうのが、なんだか、この3作の中では



あー、明かされなかった



まあ、次のね
次の部門で



まさかの笑



うん、次の部門で出てくるかもしれない



ToBeContinueだ



エンターテイナーが過ぎますね笑 楽しみです
笑



これ、あのー、新潟県に糸魚川という名前の川は無い?



川、なかったです



無いですね
正確には糸魚川市っていうのはあります



じゃあ、糸魚川市はあるけど川は無い?



そうですね
糸魚川市、今、上越市に合併されたんだったかな
糸魚川っていう地名はあるんですよ



イトイって人もいますよね



いますね



なるほどねー



あの、この作品で気になったのは、指輪、捨てた指輪を警察は本当に見つけてないのかなっていうのは気になりました



そこはちょっとね、ぼかしてるというか



自宅から投げているので



ね、どこへ投げたんだっていうね



はい、見つかるんじゃないかなっていうのは思いました



今の警察はもうすごい念入りに調べますからね



ですよね
重箱の隅ツンツンするなら、まずはそこですかね、わたしは



その、3部作全体の話なんですけど、なんで菱川さんが新潟住んでる設定になってるのかなって



そうだよね!



わからないです!
笑



その意図が、ちょっとね



そうですよね



ですね
なんか、それに関しては、まあ、フィクションだからっていうことにしたかったからなのかな、なんて



ああ、あくまでフィクション性を高めるためにっていう



ですです
c.『二次創作』のところでもそうなんですけれど、存在しない地名、ああ地名じゃない、警察署の名前を使われてたりして
その現実と創作の間をぼやかす目的なのかなぁっと
あるいは勘違いなさっているのかなぁって、どちらかですよね



うん、ですね



うんうん
若干あのー、若干ネガティヴなところ1点僕が言うとしたら、若干、最初読みにくいんだよね
なんか、冒頭の、一人称で数行進むところ



ああ、糸魚川茜のところですか



そうそう
これが、まあ、ようは独白方式で、こう、書いてる、んだけど。ちょっと、個人的にちょっと読みにくいのがだいぶ長く続いて、続くかなぁというくらいですね
んで、それで、こうー……で、僕なんか、この作品でいいなーって思うところが、まずは、わかりやすいところでいうと、最後の部分で、まあ、要するにこのー、死んだ糸魚川っていうのが最後たしかダイイングメッセージを、最後に残して犯人を告発するとともに、ようは最後の謎を残した、と
ようは謎を作るクリエイターの人なので



謎解きクリエイターですね、糸魚川拓



そうそう
なので、まあ、そのー、ようは、遺作でもあるんだよね、彼のね
で、その遺作を解いてあげた、っていうところですよね
だからそこが、なん、何て言うんだろうな、ミステリっていう単に犯人を明かす、犯人を明らかにするっていうものじゃない、まあ、そういう、良い意味で遊び心がある営みなんですよ、と
こういう、単に犯人を当てるだけじゃなくて、こういう、あのー、謎解きの、なんだろな、まあ、その、遊びみたいなのがあって
ここにミステリの楽しさっていうのがあってミステリ談義をしたいみたいな、ようは、なんか、あの、ポジティブなふうに収まっていく
っていうところは、僕は好きですね、あのー、メッセージ性として



3部作の掉尾としてはうまくまとめましたよね



凄く、そうそうそうそう



ほえー



で、あともう1個
あの、全体の3部作、3部作全体でのことになるかもしれないんですけど、えっとー、ここの、作品から抜き出すと……えっと、i-7だと思うんですけど、清掃員と会話があって
~
「あぁ、そのことですか。部外者の俺が言ったところで、ゴミとして処分されることは目に見えていましたから。あなたが発見し、発言した方が物語になる、そう思っただけですよ」
~
っていうふうに、まあ、清掃員の人が自虐的に言ってるんですけど、これ、ただ、この3部作を通じてこの清掃員っていうのが、ほぼ、まあ主役なわけなんですよ



共通して登場するキャラクター



そうそうそうそう
で、まあ、なんていうか、これ、僕、一種のプロレタリアートなのかなって思ってまして



プロレタリアート、おい地獄さ行ぐんだで



うん、プロレタリアート文学なのかなって思ってて
この清掃員っていう本来、まあ、見下されるじゃないけども、そういう、あの、嫌な仕事、それくらいの地位の低い仕事とされている仕事をしている人っていうのが、実際には主役で
実際にはまあこの人がすべてを牛耳っていて、まあ、実際優秀で、最後にはこういうかっこいいセリフをね、残していくわけですよ
だから、そういう、やっぱりこの清掃員っていうものを、そういう、なんだろな、反逆的な存在として使っている、っていうところに、僕はなんか、この作品全体のメッセージ性があるんじゃないかなっていうふうに読みました



清掃員が、あのe.『フェアゲーム』だったかなんかで、この職業は天職だみたいなこといってましたよね



ああ、ですね
c.『二次創作』の、証言のところで



c.『二次創作』で言ってましたか
大変だけどって、でも定時で帰れるし、自分は天職だと思ってるって
自分の職業をね、全然卑下してないというか



そう、なので、ここは非常に、あの、なんだろ、なんか、目を開かされたというか
非常に、あの、メッセージ性が、ありましたね



なるほどです
わたし個人的に、えーと、この作品の……サブタイトルで
1で”決意の朝”、2で”失意の昼”、3で”悪意の夕”、



あ、そうですね
だんだんね、時間が



そうですそうです、それで、4で”敵意の夜”、5で”如意の未明”、6で”弔意の朝”で
一周するの、気に入りました



あと、タイトルだよね、良いの



ええ、ダブルミーニングでね



そうそうそうそう



糸と意図ですね
んあ、伝わるかな、っと、あの、文字起こしします!
笑



あとは、まあ……ここ言っていいのかわからないですけど、どうして糸魚川拓が糸を、毛糸くずのようなものを使った謎解き、いつ用意していたのかっていうのは気になりました
気にしないほうが良いとは思うんですけれど



もう謎解きクリエイターだから、そのなんとか暗号、スキュタレー暗号っていうのを知ってて、そこから



知識として知っていたとしても、咄嗟には作れないじゃあないですか



たまたまあったんじゃないですか?笑



妻の名前を?……あ、試しに作っていたんですかね
謎解き、これから発売とかする謎解きゲームのために、試しに作ってみたら上手くいったっていうことですかね



え、これ、殺された後にまだ意識があって、



うん、そのとき書いたんじゃない?



ええ、こっそりやったってことじゃないですかね



そうなると、でーきるんですか?



即死じゃないから



~メッセージを書いてからほどき~
ってあるから、咄嗟に



けれど、毛糸を用意しないと



うん。毛糸を指に巻きつけて
まあ、毛糸くずはあったんでしょうね



ポケットとかに……?



まあ、これは、それは、



たまたまですか?



たまたまあったってことじゃない?



うん、それで良いんじゃないかな。ペンもたまたまあったってことで



うん



なるほど、やっぱ、ツンツンしちゃいけないところだったんですね



ですね。だからこれ、さっき菱川さんもいっていたように”殺意の朝”の冒頭で実は即死じゃなかったって



ああ、はい
あの、即死じゃなかったから指輪を抜いたっていうのはわかったんですけど、その暗号の毛糸くずはどこから、どこにあったのかなっていう



それは、もうたまたまあったんです笑



ですよね笑



この冒頭で、奥さんが、茜が、夫を突き飛ばして
それでちょっと、なんか、用事があったかなんか細工をするためにいったん離れて戻ってきたっていう描写が



はい、友達とランチへ行って帰ってきてますね



で、その間に、実は即死じゃなくって、毛糸くずを巻いて、名前を書いてそれを、ルンバに、吸わせるっていうだけの体力が残ってたっていうこと



そのあとに亡くなったんでしょうね
通報する前に



ですね
なんかありましたっけ? 主人公、いや被害者が即死じゃなかったって
違う表現でも、しばらく生きてたみたいな
そういう記述があったらフェアなんですけど……



……んー……



もしそういうのが無かったら、入れても良かったのかなと
即死だったら絶対こんなん作れないからね



無理ですね



まあ、一応即死じゃないことが前提なんでしょうね
まあ、ようは指輪が最初無かったのにあるってことはどこから指輪がもってきたんですかっていう



うん、時間はあったんだって



うん、ってなる……うん、でも、ま、まあ、うん、まあ、そこは



もう察してっていう



ええ、そう、まあ、



8000文字ギリギリですからね



ですよね



書ききれなかったっていうことですかね
j.大正浪漫系女子探偵と七支刀の殺人
概要


- ミステリとして十分であり、個性が活きた作品柄
- しょうもなさはあるが、しれっと高度なことをしている(菱川)
- 『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』のような、倒叙ミステリとしても相性が良さそう(庵字)
- 不思議と読みやすい(みよし)



次行きますか



はい



いきましょう



はい、えっとー



お次が、『大正浪漫系女子探偵と七支刀の殺人』です
もう、題名から



そうそう



個性が、爆発



本当ですよね



1番ミステリっぽいタイトルですよね



ははっ、まあ、殺人とはついてますね



探偵と殺人ってあります



あ、探偵もか



探偵と殺人は並びの相性、いいですよね
ってことで
この作品で提示されている謎は、えーっと、その、なんでその見立てが行われたのかっていうのと、あと、どこだっけ、豪さんじゃあない、荘司氏を殺害したのは誰なのかっていう
この2点の謎が主に提示されている状態だと認識しております



そうですね



うんうん



ふたつ、繋がってるんですよね
見立て殺人が、ようは、勘違いの見立て殺人で
その勘違いの見立てをしたのは誰かっていうのが、どっちかが解ければどっちも解けるっていう
短編向きのコンパクトに纏まった、すごいテクニカルな手練れな作りかたをしてますよね



この作品も確か8000文字ギリギリまで書かれていたような



え、ああ、そうなんすか、そうでしたっけ



そうなんですか?



ちーがいました?



短かった気がしますよ



んあ、れ……これ、本当だ、違いました!
6000文字と少しくらい?



そう



おー



7000行かないくらいですね



その字数でね、これだけの内容をまとめたっていうのは、なかなか



コンパクトにしようっていう強い気持ちを感じましたね、終盤ね



笑
あの、話変わるんですけど、主人公の風鈴坂紬ちゃん、なかなかの性格だなぁと



ねぇ、こういう読み切り短編で結構な個性のある探偵を出してきて
ちょっとねえもったいなかったんじゃないかというきがしなくもない



笑 たしかに笑



どっかで使えばいいのに



短編で1回きりだからこそ、この子にしたのかなとも思います
ちょっと、扱いが



あー、そういう一発勝負みたいな面白さ狙ったんですかね



ですです
なんか、挑戦的で
そういうところ好きです
まあ、なぜこのキャラ付けにしたのかっていうのは考えないほうが良いんでしょうね



ですね
なんか、この通り名がね、二つ名が、もう通ってるんだって
~「あなたは大正浪漫系女子探偵の……」~
とか言って
これ、もう認知はされているっていう



高校生になってから探偵活動を始めて、って
えっと
~受験勉強の傍ら、私立探偵をはじめてからまだ二ヶ月しか経っていなかったけれど~
ってあるので
すごいですよね、受験勉強のかたわらで、できちゃうんですよ



これ職業探偵ってことですよね、要は



そうですね、私立探偵なので
それで、あの
クレジットカードってわりと新しい制度じゃあないですか。



そうですね



だから、舞台は現代です?



舞台は現代でしょうね



ですね



現代だから大正に浪漫があるんですよ



たしかに、大正時代では自分で浪漫なんて言わないですね



なるほどです笑
それを考えると、学校の、あの、袴姿なんだなと笑



笑



うん
そう
そうなんですよ、超変なやつなんです



流石だなーと思いました
天秤座高校は袴スタイルの制服です



超目立ちますよね
電車乗ってたら



まあ、自転車なので笑



これやっぱりそのー、見立てとしては非常にテクニカルで
まず1つ目は、ようは、あのーさっきも庵字さんの説明がありましたけど、本来であれば”風林火山”であるべきところを勘違いによって
まあ、”切替申込”
笑



本当しょうもないね、しょうもない4文字で見立てをやったっていう
そういうところに捻りがあるし、テクニックがあるし
まあ、その”切替申込”っていうところの4文字をどう表現するかっていうので、それぞれのものによって表現してるっていうね。七支刀っていうのでこの”切”をやってる、っていうところ。で、カレンダーはそれぞれの日ということで”替”というのがカレンダーだと
で、まあ申し込みの、ここの”申”っていう字がサルなんだっていう、このぬいぐるみ



おさるの



ジョーンズくん



これは、結構そのまま
で最後の”込”っていうところが、まあ、あの、なんだっけ



『道』の、絵画の代わりですね。海の絵画の代わりに『道』が掛けられて



うん



うんうん
というところで、程よい強引さ笑
あの、ね
程よい強引さがね
まあ、そのままのところもあるし、あのー



捻ったところも



がんばったんだなっていうところですよね笑



そうそうそうそう、捻りが利いたところもあるし
でも、まあ、これは、ようは犯人側が、そうそうそうそう、がんばんなきゃいけないから
いきなりそんな”切替申込”で見立てをやれって言われたってどうすりゃいいんだって



だいぶがんばりましたよね



うん
これはそういう、かなりいろんな意味で勇猛果断が強いんだけれど、なかなかやっぱり高度なことをしれっと、あの、この短い文字数の中でやっている……っていうところですよね



ところどころのシーンで印象に残るものが、あの、その、発見された遺書に関して、発見? 復元した遺書について、だいぶ、うん、印象に残るものじゃあないですか
その、どこだ……ああ、あった。このj-5のところの
~
『わたしは今ここに死ぬ! わたしの人生の無念! しかし、わたしの愛の秘密を世間に売り払ったあの裏切り者を誰か代わりに呪ってはくれまいか!それも芸術的に! わたしの鍵のかかった机の引き出しの中のある四文字の通りに、その裏切り者の死を憎しみと美とで飾り立ててはくれまいか! その裏切り者の胸を切り刻んではくれまいか!無情!無情!なんという無情だろうか!』
~
遺書、この遺書があったから犯人はこの通りにしようとしたっていうのがあるとおもうんですけれども、なんか……こう、力がこもってて、良いなと思いました



うん
全体的にユーモアミステリですよね



うん、そう
~どうやら情熱的な遺書のようだった。~
って、笑えますよね
笑



これ犯人側の視点からの、倒叙ミステリにしてもおもしろかったですよね



ああ、1番、最初からの



そう
それで、引き出しを開けたら、”切替申込”って漢字が出てきて
「”切替申込”ー?!」って



難易度……笑



「”申”ってどうすればいいんだっ?」って
あっ、これは干支の申と同じだ! みたいな



ああ、カレンダーのところも、がんばらないと……



がんばりましたね
あの、金田一少年の犯人たちの事件簿的な面白さに繋がるんじゃないかと



あんじさんの、LINEのスタンプの



そうそう



よく使われてるあれ、好きです



ああ、あと、この最後のこの終わりかたですよね
まあ、ようは途中まではあれなんですよ
犯人がね、犯人が叫び声をあげて走って、自殺したと
ただ、あの、最後に
~
「死んだのかしら……。いえ、でも、きっと、あまりにも馬鹿馬鹿しい真相で横転したのね」 とわたしは不吉な冗談を述べたけれど、笑う人はひとりもいなかった……。
~



なんつー終わりかたやねん
笑



本当ですよね



ユーモア強烈ですけれど、でも、ちゃんと絞りこみはされてますよね
その引き出しの中に『風林火山』があると知らなかったからこそ”切替申込”のチラシで頑張ったので



そうそうそうそう
やっぱ、そう、ここフーダニットと結びついてるよね
”切替申込”に関しては、あの、プロローグで



クレジットカードの広告ね、これを見てるっていう



あー
これ、このプロローグのところって、紬ちゃんのプロローグっていう認識で合ってますか?



そうでしょうね



ですね



まあ、あの、なので非常に、本当、この文字数で、なんというか、あの……かなりテクニカルなことしてるんだけど
まあ、僕、欲を言うならば8000字、ぜんぶ使って良かったんじゃないかなって



たしかに、そうですね



とりわけ、終盤が、ね
かなり駆け足感が出ちゃってるんで、うん、なんか、ちょっと無駄に最後駆け足過ぎるかなって感じが
そんな気がします



たしかにもうちょっとゆったりでも……
疲れちゃったんですかね、書いてて
笑



なんか、短くしようっていうようなそういう気持ちがかなり強かったのかな



強く見えますよね



うん、見えますよね



そのわりには最初のほう



最初ゆっくりね
曲乗りとかよくわかんないですよね
笑



わたしもわからないです
志賀直哉くらいだと言われても、そうなんだー、って



そうなんだとしか言いようが無いですよね



もう、個性抜群で
たしかに菱川さんおっしゃってくださったように、そう言われると、最後のほう駆け足ですよね
まあ、ダラダラやらないほうが良いっていう判断なんでしょうかね、これは



でも、読み終わってから印象に残る内容ですよね。作品としては



作品としては



本文は1番短いけどタイトルは1番長いですしね



いえ、1番短いのはb.『E-active edit』です



ああ、そっか



その次が、b.『E-active edit』の次がシャンデリア(h.『揺れるシャンデリアの謎』)で、その次がa.『黒雀姫』、



ああ、じゃあ結構中ほどなんですね



中ほどくらいですね。8000字ぴったしで書くのがベースだと思い込んでたけどね。我々は



たしかに笑



笑
ん? あれ、i.『赤い意図』のほうが短いですね、七支刀(『大正浪漫系女子探偵と七支刀の殺人』)よりも



ん、おお、なるほど
そうなんですね



へーぇ



でも、ほとんど同じくらいです



あ、ほんとだ



ほー
じゃあ、序盤けっこう遊んでるね



序盤は、ラストとの緩急激しさつけて面白さ増してますよね



あー、そういうこと狙ったんですかね



うん
なんか、長く感じる面白さ、短く感じる面白さってあるじゃないですか
それの、短く感じる面白さの良いところをついているっていう



うん



そうですね
わたし個人的にこの作品で探偵がちゃんと出てきたっていうのもそうなんですけれど、この探偵の女の子が「さて」って言ってくれているんですよ、みなを集めて



あーはいはい



それが嬉しかったです
短編部門、この作品だけなんですよね



たしかに



そんなのすべての作品であるもんじゃあないよ、皆を集めて「さて」なんて笑



もう第3部門が楽しみです



これ、
~「さ、さて!」 と一言、可憐な声を出したのは~
って。自分で言うんかいってね



そうなんですよね笑
紬ちゃん、なんか、こういう感じで
最初のほうも天才とか美少女とかを自称してて



もう、臆面もなく言っちゃってるよね



本当に



あとは、これ文章が読みやすいですよね



はい
不思議と読みやすい感覚あります
なんでだろう



j-1の最初の段落の
~
(事件があれば、わたしは自転車に曲乗りで、そこに駆けつける!)~
って、わざわざ括弧で書いてるじゃないですか
別に括弧で括る必要ないんじゃないかなって思うんですけれど



たしかに



ここ括弧で括ることでさらに面白さが倍増してる
ここやっぱり作者のセンスとしか言いようがない



たしかに、あの、自分では書かない文章だと結構読みにくさを感じやすい認識してるんですけれど、この作品はあまりそういうのは感じなかったような記憶でした



うんうん



あと、この、あの、犯人の蘭二郎っていうのが、あの、ようはミケランジェロって
ここの、あの、まあ、なんていうか、これってどうでもいいくだりだと思うんですけれど



笑



ようはこの蘭二郎が狂信的な人間で、そういう”切替申込”に基づいて、「あ、これは。これに基づいて見立てをやらないと」って
まあ、ようはバカ
バカじゃないですか
で、このバカさが、ようはこの三毛蘭二郎っていう名前からもうにじみ出ているから入ってきやすいっていうところあるのかなーって



そうですね
~憐れで可哀想な人~
って言われてますね



そうそう
だからこの短さの中で、この人がそういう、ようはこういうことをしかねないバカな人なんだっていうのが詰まってるんですよね
この短さで



犯人当てのわりには犯人当てじゃあない、ではないですか、この作品



うん



もう、明らかにこの三毛蘭二郎の印象が強いなっていうのはあると思うんですけれど



あと、これはもう完全に個人的な話なんだけれど、蘭二郎の蘭っていうのが、いわゆる蘭、あの、蘭丸っていうのをイメージさせて



織田信長の



そうそう、織田信長の、森蘭丸
だから、ようはすごい忠実な家臣というか
あの、お抱えの子どもで、先生に付き従ってます、みたいな
なんか、そういうイメージしやすかったなって
個人的な、個人的な感想です



まあ、大正浪漫ですから
昔のことに興味関心がある方が書かれたんでしょうね



うん。そんな感じですね
k.コンパクトカー
概要


- ミステリ要素が随所に用いられている
- 内容の丁寧さとベタな物理とリックが共存してて面白い(庵字)
- 気になるところは見受けられるがおもしろいミステリ(みよし)
- ミステリとしてズルいところがあるし、このトリック成り立たなさそう(菱川)



……次行きます?



行きますか



最後ですね、これが



なんと、11作品目、ギリギリの提出でしたね



ギリギリでした? ギリギリだったんですかね?



提出順だから、この順番になったのは偶然なんでしょうけれど、『コンパクトカー』これ最後になったのが、このコンテストとして締まって、良い
もしこれぜんぶランダムにもらって、これ短編集として順番つけろって言われたら



無理ですね笑



私なら、『コンパクトカー』を最後にしたと思います



あ、そうなんですか?



うん
これねー、やっぱり最初と最後ってすごい大事なんで、短編集では



たしかに、そうですね



短編集になるんですかね。またそこはね



うん、最後『コンパクトカー』で締めたっていうのは、コンテスト自体の格調も上がって
提出順だから偶然だったとはいえね
すごく、運も味方にして、良い企画になってるんじゃないかと思いますね



そうですね



まあ、まさか提出順でそのまま載るとは思ってませんでしたけどね
笑



でも、それで載せるしか無いですよね



そうですね、まだわたし自身、企画に対して探り探りなので



あの、わたし『コンパクトカー』初めて読んだとき、なぜ題名『コンパクトカー』なのかわからなかったんですけれど、この夫妻しか乗らない車両だからってことで合ってますか? あの、子どもがいないから



このタイトル、セレクトがね、私もし同じのを書いたとしてもね
絶対タイトル『コンパクトカー』にはできないんですよ、ぜんぜん見当違いな、超ド直球なタイトルにしちゃうかな



ああ、○○少女殺人事件みたいな



そうそう
このねぇ、ちょっと『二足歩行ガトーショコラ』(著・凛野冥)に通じるような、これをタイトルに抜擢したのかっていう、膝打つ感じ



あー、わかります
気づいたとき嬉しくなりましたね



まあ、タイトルが、短編だとあれですよね、自由に付けられるみたいな
まあ、そういうところがあるんじゃないですか



たしかに名前、名前? あの、要素が増えてくるとややこしくなるのと、選べる範囲が広がりますもんね



うん
それに、この作品、サランラップとかネットフリックスとか『サマーウォーズ』とか、実在する商品名がたくさん、ガンガン出てくるんですよね



サランラップって商品名なんですか?



商品名ですよ
*旭化成ホームプロダクツよりサランラップ®の豆知識



へーぇ



ああ、そうなんですか



そうですよ
ですから、そういう意味ではすごく、我々の知ってる世界、現実世界に寄り添ってるし容易に想像できるし、あとはこの丁寧な心理描写とラストの反転のコントラストがすごく絶妙で
実行犯と事後共犯の関係性とか、一捻り加えられてて
でも、中で使われているトリックは、サランラップの芯を立てて室外機の風で倒すっていう、かなりベタな物理トリックを使ってるんで
そこの意外性も良いし、ちょっと今からこんなこと言ってはあれですけど、私、これ1番にしようかなって思ってる作品なんですよ



おお、なるほどです
この作品に提示されている謎は、この武雅野美園ちゃんを誰が殺したのか、殺したとしたらどのような方法が、どのようなトリックが使われたのかっていう、このあたり、かと、思います



そうですね
これは犯人当てのフーダニットと殺害方法のハウダニット、そしてそのー、防犯ベルの位置が違ってたっていうワイダニットっていう、要素すべてが入っていて、すごくね、これ完成度が高い
手がかりもあますことなく提示されていますし玄人だなって思いましたね



ですね
実際、今回このMysteryExhibition1:短編部門一連の作品を通して、ミステリを書き慣れている方が多い印象です



もう完全に書き慣れている、その中でもこれはピカイチだなって私は思いましたね



ですね



まあ、8000字ぴったしくらいだと思うんですけど



ですね



なので、かなり、あのー、本来であればもっと長いものを8000字に詰めこんだみたいなところは、まあ、ある



そうなんですか?



あるんじゃないですかね。まあ、



これはもう過不足なく良かったと思いますけどね



わたしも、ちょうどいいのかなぁって思いました
緩急あるけれどダラダラしないで、駆け足にもならないで……k-10で、
~結局、奈緒美が、辰彦から——夫婦の〈運命〉から——逃れることはできないのである。~
っていうところで、これは辰彦にとってもそうだし奈緒美にとってもそうだしっていう。その、どんでん返しの返しかたも上手いなっていうのを感じました



これ、まあ、あの、まあ、技術的なところでいうと、まあ、そのアリバイトリック
アリバイがメインなんですけども、このアリバイというのがまあ、その、奈緒美のほうの考えだと「いや、これは自分はアリバイ工作に使われたのだ」と



ああ、辰彦が罪を逃れるために



そうそう、そうね
辰彦が、そう、そうするために使われたという風に考えてんだけど、まあ、実はその逆で、えっと、奈緒美のアリバイを作ってあげてたと



奈緒美を守るために



まあ、やっぱりこのアリバイってのが、ようは夫婦二人でいるってことは夫にとってもアリバイだし妻にとってもアリバイだっていう、この両面性っていうのを、まあ、最後、強調していると、いう構図ですね全体
まあ、構図としては



そうですね



最後の一行も良いですよね
~
傷心の妻を乗せたコンパクトカー。運転役は辰彦をおいて他はない。~
っていう



これ、ちゃんとk-1のところで奈緒美の年齢についてもちゃんと触れていて
この記憶があまり信用できないっていうところがちゃんと書かれたうえで、その、奈緒美が犯行の記憶がないっていうのが書かれて



ああ、若年性アルツハイマーなんじゃないかってありますね



そう、それが書かれていて、フェアで納得できるなと思いました



まあ、これ、あのー、最近、新生ミステリ研究会のほうの読書会でも扱われた『ファラオの密室』なんかもそうなんですけども、あのー犯人、犯人というか、あのー、ようは、犯人じゃない、一人称の主人公に、ある記憶が一部欠落してるみたいな
結構それって一種のご都合主義みたいなところもあるんですけど、かなり、なんだろう、ミステリ的には非常に使い勝手の良い話で
一部だけ主人公の記憶が無い、この間に一体何があったんだろうかって、ところっていうのは、あのー、かなり便利
便利な道具だなーっていうふうに、僕は『ファラオの密室』を読んでそう思ってたので
まあ、この作品もそこの便利さにだいぶ寄っかかってんのかなっていうところありますね



まあ、短編だからそこにちょっと疑問を持つ前に最後まで読み終わっちゃうので



ズルいなって感じる前に



そうそう、感じさせないままに終わっていくっていう



でも本来ズルいんですよ、この一部分だけ記憶が欠落してるって話は
笑



仮に使っているものがズルいとしても、最初に必要な情報は提示されているじゃあないですか



……そうね



それに、この宮島刑事の、その、推理もあるし
加えて奈緒美の推理、辰彦の推理、こう、こうだったなっていう思い返しもあるし、で、解決が提示されているので
この結構長い作品の中で少女が殺された、っていう
この謎の扱いかたとしては丁寧にされているなっていうのは、思います



まあ、これ、一応、そのー、テクニック的なところでいうと、まあ、途中でこの宮島っていうこの刑事の視点が挟まるんですね
これここで刑事の視点が挟まれないで、ずっと奈緒美の視点でいくと、もう奈緒美っていうのは記憶も曖昧でなんかはっきりしない人だから、ようは、本当にこの事件があったんだろうかとか本当にこの美園ちゃん殺されちゃったのかなぁみたいなところが



あ、そっか、そもそも……



ずっと、そうそう、ずっと疑問になって引っ張られちゃうかなーというとこなんですけど、ここで要は客観的な第三者によってここでこういう事件が起きてこういうことがあったんですっていうことを書いているっていうのは、まあ、技術的な部分かなというとこですね
で、まあ、ただ、これ、この作品、あの、その最後にね
あのー、提出されたっていうところから、まあ、想像するに、書き換えてるんですね、たぶん、一回書いたのをボツにして笑



あー



最初から書き直してるから、まあ、そういう意味で、書き直してるであろうから
たぶん、まあ、ね
構造、構造みたいな、構造というか、角度や順番みたいなのは



構図や技法のために構造から変えてしまった、ということですか?



まあ、ギリギリに提出するというのはそういう苦悩もあるんじゃないですかね



たしかに、制限があって期限があって



そう、ですね笑 まあ、あの、結構ミステリってね、なかなか一筆書きでわーっと書ける、まあ、書ける人もいるんですけどね
まあ、一回書いてみて書き直すみたいな



ミステリでは特に多い、やりがちですよね



伏線足りなくて張りなおしたりとか、ここちょっと変えたいとか



そうそう、この順序のほうが良いとか



ありますよね



まあ、この作品に関しては、まあ、この防犯ブザーのね、まあ、あの、話があるんですけど、本当に実際これができるのかっていうのは、まあ、できないんじゃないかって、想像しますよね
笑



実際に試すのは難しいですよね、物理トリック全般



うん、なかなか試せないよ



たぶん、力が足りないんじゃないかなって思いますよね



ああ、室外機の
室外機を全力で掛けて、ん? クーラーを全力で掛けたときの風の強さで、サランラップの芯の上に置いてるもの、石を
倒れるかどうかってことですか?



そう、それもありますね



その力でピンが抜けるのかっていう



そう、そうですね
そこがかなり怪しいかな
あと、室外機も。普通にエアコン付けるだけだと、わりと、こう、もわっと風が吹くので



そんな全力で、ガーっと吹いてくれるわけでは無さそうってことですか



うん、そうなのかってところで



エアコンって室内の温度と室外の温度の落差でパワーが決まるんで
外が超暑かったら、それで点ければ
暑さと、設定温度を低くしてれば一気に室温を下げなきゃと思って最初からフル回転するんですよ



これって、季節、書かれてましたよね



ただ、季節柄



まだ5月って



そう、まだ5月
まだそんなに暑くない



笑



6月入ってからですよね



ね、今年なんて6月入ってすぐ暑いですもんね



本当に
いつの間にか梅雨が終わっててびっくりしました



うん、ねえ



なので、基本的に5月の暑さではそこまで全力では
でも、設定温度を低くし過ぎてたら



うん、ですね
だからもういきなり16度にするとか
それくらいに設定したら外気温が28度とか30度とかなら、もう一気に冷やさなきゃってなるから、クーラーが超がんばる



超



それで電気代がバカみたいになる



じゃあ、この白川夫妻は、南国のほう、九州とかにご在住ですか



なら5月とかでもねえ、気温が30度近くあるところだったっていうことなら



でも、東京のほうがコンクリートで、暑いっていうのはありますよね



あー、はいはい、コンクリートはね、熱を吸収しないですからね



反射してしまってっていうのが……
どのあたりなんでしょうね?



どこなんでしょうねー



まあ、そこまではね、些末なことなんで
この物理トリックができるできないが焦点じゃないんで



はい、ですね
まあ、唯一気になった、物理トリック以外の気になったところといたしましては、
~被害者の女の子は、二週間前にも路上で不審者に抱きつかれるということがあり、両親からの相談が警察に寄せられていたのである。~
っていう記述があるじゃないですか
女の子はその犯人、不審者の顔を見ていなかったのかなっていう



そうですよね
見てなかったら



見てたとしてもショックで覚えてないっていうか、そういう……



近所に住んでるなら、顔とか背格好とか、見たことあるんじゃあないかな、とは、思いました



そうですね、まあ、見てないイメージなんでしょうね
後ろからだったので



後ろからというのはそうなんですけど、辰彦が、まあ、あの、抱き着いた不審者というのが奈緒美で辰彦が引き離したっていうところで
その、引き離すまでの間あるいは白川夫妻がその場から離れるまでの間で、美園ちゃんは、その離れていく不審者たちの後ろ姿とかを確認してなかったということですかね



確認する可能性もありますよね



小学生ならお母さんと一緒に行動する機会も多いでしょうし、継続的なご近所づきあいが無くても警察に犯人について話すときもたとえ話として用いてた可能性もあるのかなって
それなら警察の捜査としてはだいぶ遅れたっていう認識になります、ね。



被害者の女の子が子どもだからそこまで明確な証言ができなかったんじゃないですかね



まあ、小学2年生ですからね



ですから、まあ、そこらへんは、もう納得していいんじゃないかと私は思いますけどね



なるほど、です



です



んじゃ終わりってことで
大賞選出



じゃあ、次は、大賞作?



はい、大賞作選出ですね
ですけど、大賞選出の前に、変えますか?
*失われし真の選考会OPにて、選考委員3名はそれぞれ付箋に、好きな作品、すぐれていると感じた作品を1作ずつ書いて伏せておりました



ああ



ああ、もともと書いてたやつ?



はい



あの、これはあくまでもあれなんだよね? あの、どうする? どっちなの? お気に入りと優れてるやつって、どちらが大賞なの?



いえ、優れてるほうが大賞になるんですけど、



あ、ほんと



変えますか、変えませんか?



個人的と客観的ふたつあげて、客観的なほうが候補になるってこと?



はい、好きな作品とミステリとしてすぐれている作品が一致するとは限らないので



まあ、だとしたら変えるなぁ



私も変えるなぁ



えい、どうぞ! どうぞどうぞどうぞ
……



はい、書けました



はい
わたしは変えないです



お



変えないの?笑



んー、はい
なんか、みなさんのお話聞いてて、改めて、わたしあまり考えられて無かったんだなっていうのは感じましたけど



んー、悩ましいですね。悩ましいな



どうしても好みは出るなっていうのはありますね



でますねー



好みは出て、なおかつ複数の審査制にしているからね



そうなんですよ



ちゃんと意味があるわけですね



ますます
それでも難しいですけどね、言い換えれば、すべてちゃんとミステリが集まったってことで
わたしはこの時点で嬉しいんですよ



んね
それは本当に、それは僕としても



うん



なんか、Web小説だとミステリを名乗っているのにミステリなのかなと感じてしまうものもよく見かけるので
笑



今回はそれがないだけで、わたし、だいぶ嬉しいです



ああ、確かに笑



だから……難しいですね笑



んで、これは、最終的にひとつに絞んなきゃいけないんだよね?



まあ、ここから



まあ、一遍しゃべって、どうするかって感じですよね?



そうですね



はい……んやー
書けました?



書けました、はい



よし
じゃあ、一回、言いましょう



言いますか



はい



わたしが11作品の中で1番好きなのは、まあ、b.『E-active edit』です



でしょうね笑



笑



この作者さんに恋してるので。もうそこは変えられないです。
それと、ミステリとして優れているっていうのは、f.『消えたステッキ』です
おー



じゃあ、私が、いいですか?



はい



私、個人的に好きだっていうのはk.『コンパクトカー』。んで、客観的にミステリとして良いと思ったのは、最初と変えたんですけど、あの



最初、何ですか?



ん? あ、変えてないや私! 変えたつもりだったけど変えてなかった笑 ミステリとして客観的に良かったのはi.『赤い意図』



i.『赤い意図』、えっと、どちらも変えてなかったですか笑



変えてないです、実は変えてなかった



笑
ひしかわさんいかがですか?



はい。ごめんなさいね。面白くない結果になって



笑



いや、どうぞどうぞ



個人的に好きなのはc.『二次創作』ですね。



おー



はい。それで、客観的に、ちょっと面白くないんですけど、客観的に優れていると思ったのは僕もi.『赤い意図』なんですね



おー



ごめんなさい、対立しなきゃ面白くないんだよね
どうしよう、変えようかな



いいですよ、変えても
バトルしましょ



いや、でも、いいですいいです



ちなみに、変わってないですか? 最初のときとは



ああ、えっと、逆だった
最初



ほー



ほえあ



でも、ただ、あの、意図としては変わってない
i.『赤い意図』を大賞にすべきだろうって思ってたので



笑



そこの意味では変わってないね



……で、これで、票入った作品で決めていくってことですよね?



そう、です、ね
えー……んー……



でも、これ



トップ3だったら、何ですか?



そうだよね、単純に多数決だったらアレだよね



はい



トップ3?



はい
トップ3だったら、何になりますか?



トップ3だったら



あー、うん。まあ……



k.『コンパクトカー』、i.『赤い意図』と、もう1つ入れるってことですよね。そうなると……



ん? あ、好きな作品とミステリとして優れている作品が一致しているんですか?



まあまあ、一致前提で考えましょうか



……あの、今、トップ3っていうのは単純に良いなって思う作品を上位に選ぶってことですか?



そーうです、きっと。はい



それが良いかもね、最初からね
それは、あの、どうなんだろう
ダメなのかな?



どういうことですか?



あの、ようは、順位付けないでとりあえずトップ3を3人言って、そこで議論するみたいな



そうですね、そうです
逆に、順位付けは目的としていないので



じゃあ、ベスト3ってこと?



ベスト3、3作



あ、はい
そうですね、はい



3作品あげるとすると、さっき2作出たから
i.『赤い意図』、c.『二次創作』、あと一作を入れるとしたら大正浪漫(j.『大正浪漫系女子探偵と七支刀の殺人』)かな



ふへへへ



んー……



わたしは、おふたりの解説でh.『揺れるシャンデリアの謎』を全然深く読めてなくて、浅い理解だったなと自覚しているので
こちらも良いなと



じゃあ、そこ、入れましょう



どうしよう笑 あの、3つ
言ってるくせに選べてないので、ちょっと、お時間を……笑



私この3つにしました



んあ。h.(『揺れるシャンデリアの謎』)、i.(『赤い意図』)、k.(『コンパクトカー』)……はい。んえー……



E-active(b.『E-active edit』)だよね、まずは



あ、いえ。E-activeは好きなだけで



まあ、でも、とりあえず3作上げてくれたら



そこはね、審査基準で、ミステリとして謎が提示されていてそれを解くっていうルールを入れちゃうと、E-activeだと



ちょっと、はい



選びにくいよね



そうなんですよ
でも、好きなんですよ



そう、おもしろいよね



笑



”好き”と”ミステリとして優れている”が一致することもあれば不一致のことも



そういうことであれば、揺れるシャンデリアもちょっと違うのかなって



え、あ、そうですか



小説としてはおもしろいんだけれどね



小説としてっていうのはそうですし題名のつけかたとか視点とか、そういうテクニックあるなって思っておりまして
でも、一人では気付けてなくて
おそらく、ミステリの読み慣れの差ですね



あとは捻くれてるかどうかじゃない?



そうね笑
斜め読み



斜め読み笑



ミステリを読んでいたら仕方ない技能ですよね笑
……うん、勇者ミト(g.『勇者ミトと三つの宝玉』)も、挑戦と勇気があって……んぃー



じゃあ、4作くらい上げる? ひとり



んあ、いや、3にします。3



11に対して3が良いですよね
丁度良い感じで



笑



んー……そっか、おふたりはもう決まったってことですもんね



そうね笑



まあね、3つしか選べないならこうなりますね



でも、ちょっとねー、この……そう、悩ましいですね
ちょ……うん、悩ましいね
いや、あのね、あえてあんじさんと被らせるかみたいなそういうこと考えちゃうんだけどね



考えないでください
笑



考えないんだったら、こうなっちゃうかなぁ



本当に、もう個人的な、ランキングっていうかベスト



んー、1時間欲しいです
わたし



時間無い時間無い
笑



……んー……



いいんじゃない、よくわかんないけど
好きなの3つってイメージじゃないの? そうではないわけ



そうですね、ミステリとしてって



そこだけあげる? ようは、ベスト3だけみたいなのはこれでした、大賞になったのはこれでしたって



そういう順番で、やりたいですね
んえー……………f.(『消えたステッキ』)、j.(『大正浪漫系女子探偵と七支刀の殺人』)、k.(『コンパクトカー』)で



おー



そうすると結構被ってくるんだね



ですけど、あるていど被っても仕方ないですよ



まあ、そうね
そこは考えないと



ここでもし全員バラバラで9作品でたってなったらね笑



笑
えっと、c.『二次創作』、f.『消えたステッキ』、i.『赤い意図』、j.『大正浪漫系女子探偵と七支刀の殺人』、k.『コンパクトカー』
この5作品から……どうしましょう?



そうだね
まあ、ね
大賞『赤い意図』になるんじゃないですか?



私はもう全然異論無いですけど



連作短編のフィナーレということでね



あー……うー……



まあ、今回はあくまでも短編としてのコンテストなんで
連作短編は考えなかったんですけど、まあ、それを加味しても面白かったなってそう思ってますね
連作云々を抜きにしても



それは、はい
あの、わたしが勝手に、このダイイングメッセージに関して引っかかってしまってるだけなんだとは思います



まあ、そのあたりの説明不足感はね



字数が限られてるから、ね
そこはもうミステリ読み慣れてる人だったら、「ああ、ここはもう記述してないけど、その間に何かやったんだなって」読んじゃうので



あの、記述しないにしても、優先順位が
えっと、その、即死してないから指輪を、こう、握ったんだって
それは納得してるんですよ
糸とか警察の捜査は? っていう、そういうところで、勝手にひとりで引っかかってるのだと思います



んー、まあ、そこは確かに無理筋っていうのは無理筋なんですけどね



字数もうちょっとあればフォローできたよね



そうですね



まあ、そういう、その、謎を解決、謎を作ってるとこでちょうど糸を使ったね、謎みたいなのを今考えてるふうだったよーって



はいはい、あの、ちょうど奥さんの名前で試していたりだとか



そう、事前に菱川はそういう情報を得ていたとか



謎解きクリエイターだから、そういう実験をしていたんだって
それも、わかるんです
けれど、それがお掃除ロボットに吸い込まれていたのは? っていうところは



これ、お掃除ロボットに吸い込ませたのは、上手いんじゃない?



吸い込ませた、必然性というか蓋然性は



まあ、証拠隠滅だよね



でも、それは妻・茜がやったとは書かれてないですし



それはお掃除ロボットのルーティンなんじゃないですか



うん、ようはわざと吸い込ませたんでしょ? 被害者が



ああ、はい
それは、あの、まあ、そうかもしれないんですけど、そのー……いつ用意したのか、糸を
そこが、どうしても引っかかってしまいますね



まあ、書いてないですからね



けれど、そこって重要じゃあないですか
この謎解きに関して



あー、まあ、はい
フェアかどうかって話を議論するとね



そこが、ちょっと引っかかっています、わたしは



なるほどね



まあ、それはわかりますね



それで、それを考慮するならfjkのように、いくつかツッコミどころはあるにしても謎解きをフェアにしようとしているっていう心意気、そちらを評価したいな、と



手掛かりを事前に示しているかどうか?



それをちゃんと自然にできているか、というのも
ツッコミどころはあるんですよ、この3作にも
さっき1作ずつ確認して言ったときのような内容の感覚で
それでも、フェアに提示しようとしているように、わたしには見えたと思うんです、けど



んー、MysteryExhibitionのコンセプトに合っているのかどうかで考えたら、そういう選びかたも全然有りですよね



なるほどねー
うん、全員、手掛かりをちゃんと示せと



謎の提示とフェアな解決がテーマなんだから



サイズ、8000文字が短いっていうのを言われて「あ、そうなんだ」って
笑



初めてそれで短かったんだってわかったので、ごめんなさいっていうのはあるんですけれど笑
けれど、あの



ね、それで諦めて飛び飛びに頼った人もいるかもしれないですね笑



そうですよね、なんか、複数作品そのような感覚なんでしょうね
…………んー、はい
そこを私が飲みこんだら、『赤い意図』になりますね



いや、でも、最終的な決定権はやっぱり運営だと思いますよ



いえ、それはあの、3人で話し合った意味が



割れたからってね



できれば3人とも納得した結果に



うん、そういうフェアさみたいなところだけを見ると、これはf.『消えたステッキ』が、ね、そういう手掛かりとかを丁寧に提示してるってのは間違いない



それを言うなら、k.『コンパクトカー』とg.『勇者ミト』も



うん、全部ね



はい、やろうとしてるってのはちゃんとわかるので
その、今回、一応、MysteryExhibitionではミステリとして、っていうのが重要な要素として扱っていただけたら



そこをもう譲れないっていうなら、条件として絶対に入れないといけないですよね



……ぜひいれてくださーい!
笑



え、そしたら、意見変わりますか変わりませんか



うーん……



あの、決してi.『赤い意図』が駄目だと言っているわけではなくて、気になるっていうところで、わたしの感覚では



もうね『赤い意図』が好きだってのはさんざんさっき言ったように、手掛かりが指輪のほうかと思ったら指のほうだったっていうのと、あとさっき言わなかったと思うんですけど長いひも状のものってルンバは吸わないっていう
だから証拠が絶対に残す状態にできるっていう



はい



だって、絶対にルンバの中に吸い込まれて勝手に捨てられることは無くて現場に残るっていう
そこまで考えて、暗号を使ったっていう



創作物とはいえ警察の捜査が杜撰すぎやしないかいっていうのと、そこに被害者の意図はあるのかっていうところですかね
わたしが気になるところを、言いかえていくと、行きつくのは



うん、うんうんうんうん、まあまあ
そうねー、だから……んー……



エンターテインメント性なら、もう、c.『二次創作』、e.『フェアゲーム』、i.『赤い意図』これらのおそらく連作3篇が、おそらくトップレベルなんですよ
ミステリとして読めますしおもしろい、ので



うん



んー



まあ、その基準を
例えば『朝をさがして』なんかも、言ってはないと思うんですよ、この作品は、あの、バトル小説だとか言ってたんですけど
ただ、それは手掛かりとかを示してそれが何か謎を解決するっていう
ようはそもそもそういう形式じゃないからさ



うん、そこはね、『朝をさがして』はもう、小説とか暗号としては抜群におもしろいんだけど、その、フェアな謎解きをしてそれを解決しているっていうかって話になってくると、確かにどうなんだろうっていう疑問は出てくるよね



それでも、ちゃんと”ふたえ”の中に”朝”を探したいっていう、この謎の提示はうまいというかわかりやすいというか



最後は、問題と答えが逆転するっていう、この作りはすごくおもしろいですよね



ですよね



そういうこと言い出したらもうa.『黒雀姫』だってミステリサスペンスとして抜群にうまいですからね



そうなんですよね



シンプルにね、びっくりさせて



そう



それでね、ひっくり返った後のほうが説得力が増されてね
これ、ミステリの要素として非常に重要なね、ものだと思っているので、どんでん返し



そうですね



そういうのもちゃんと満たしてるっていうところはありますよね



なんだっけな、『黒雀姫』は、えっと、ああ、季節のところとか指摘とか、文字数まだ増やせるからこそもう少し



書きこんで欲しかった?



ですです
とはいえ、ミステリとしてレベル高いのは、わかります



うんうん



きっと麻雀を知ってたらもう少し面白く読めたんでしょうね



ああ、たしかに



そんなに笑 そんな麻雀で変わりますかね笑



サンマとかアガッたときとか



あー、サンマね
まあ……うん、読み物としてはやっぱりh.『揺れるシャンデリアの謎』が1番面白かったのかもしれないし、ただ、そこでね、あの、フェアか、フェアな謎解きがっていわれるとね
そもそもその土俵で戦ってないからさ



そうですよね



で、このj.『大正浪漫系女子探偵と七支刀の殺人』は、もう、これ、あのさ笑
このミスの選考じゃないんですけど、作品の良さで選ぶとこれなんだよね、たぶん
人柄が出る作品って笑
笑



作品柄はねー笑



それに、さてって言ってくれたのは嬉しいですね



たしかに、売りたいというか、売れそうっていう感じはしますよね。大正浪漫系(j.『大正浪漫系女子探偵と七支刀の殺人』)は



そうですよねー



このミスの選考じゃないんですけど、作品の良さで選ぶとこれなんだよね、たぶん



MysteryExhibition、申し訳ないくらいに売れる売れない関係なんですよね……



まったく関係無いね



はい……



そういう、謎解きがフェアで云々みたいな、そっちに完全に軸足を移すんであれば、



あ、いえ、あくまでも、これは、あの、わたしの定義だからっていうのが多分にありまして。おふたりが最初におっしゃってくださったミステリに求める、すぐれたミステリだと感じる条件を考慮すると、たぶん、あげてくださった3作、それぞれ……ですよね?



そうですね、まあ



正直、わたしに合わせて欲しいわけでは無くて
一緒に考えていただけたらなって……なので



そうね、だから最終的には……もう、多数決しかないのかな
笑



それで多数決したら4つ出てきちゃった、っていう状態ですよね、今は



そうなんですよね



だから、最後、大賞はこれだっていうのを決めないと



決めないとですね



決めたいですね



これは、多数決をしましょうか



改めまして。
c.『二次創作』、i.『赤い意図』、j.『大正浪漫系女子探偵と七支刀の殺人』、k.『コンパクトカー』……決めましょう!
この4つから、選んでください!
……付箋タイム……



書きました、私



んあー、書けましたか



もう、最後はしかたなく心を鬼にして、他を落としました
難癖つけて……苦笑



そうするしかない



んー……



ちなみに読者投票ってどう反映されるの?



読者投票は、あのー、8月末日までの期限にしていて
それを、わたしが集計して



うん、この審査員が決めたのとは別にやると



別です



ああ、審査員と読者賞は別だと



はい



ああ、はい、わかりました
……



書きました



おー



……はい、じゃあ



あ、書けました?



はい



せーので出しますか



はい、せーのでで
せーの





あ



じゃあ、そうします? そうします?



i.『赤い意図』、いいですか?



i.『赤い意図』……



ほか、もう、あの、しょうがないから、私、消去法にしたから、c.『二次創作』、i.『赤い意図』は正直トリックに前例があるんですよね
で、大正系(j.『大正浪漫系女子探偵と七支刀の殺人』)は、これもいいんですけれど、ちょっと……もうちょっと8000字めいいっぱい使って暴れてほしかったっていう
笑



暴れられる余地がありますからね



そう考えると、原点方式で行くと一番いいのはk.『コンパクトカー』なのかなって
もう原点方式はあんま好きじゃないんですけど、でも、いっこ決めないといけないからね



苦渋ですね



ええ
そうすると、最後k.『コンパクトカー』が残ることになった、ということです、私の講評としては



わたしは、わたしも、似たような感じで心を鬼にして消去法をして、あの、わたしのなかでは結構f.『消えたステッキ』推してたんですけど改善案を考え出してしまった時点で、改稿されたもののほうがきになったのとおふたりが挙げてなかったのとで、外して考えました。c.(『二次創作』)、i.(『赤い意図』)もそれぞれおもしろいし好きなんですけど、ミステリの要素としてk.(『コンパクトカー』)はどんでん返しが使われている、謎解きがしっかりしている、っていう点は



そうですよね
kはね、全部入ってますから
フーダニット、ハウダニット、ワイダニット、どんでん返し



まあ、減点法みたいな感じで考えると、なんか、すべてにあまねく触れるみたいな、ね
道理かもしんないですけど



大正浪漫系女子探偵(j.『大正浪漫系女子探偵と七支刀の殺人』)も、探偵の推理のとおりに考えれば同じ結論に辿りつけるっていうのと、あと内容も、あの……良い感じの薄さ、が好きなんですけど、その、探偵が出てきて「さて」って言ってくれるところは、高評価っていう状態
なんですけど、この解答しかないよね? っていう、その、考える余地としては狭いかなーと感じて、そのー……三角形の各頂点が丸角になっている状態で
笑



そんな、感じで、k.『コンパクトカー』にしました



これ、まあ、あの、僕はi.『赤い意図』にさせていただいて、ます
まあ、あの、まあ、フェアさというところで、まあたしかに説明不足な点というのはあるかもしれないんですけど、まあ、僕はやっぱり静止異性みたいなところを見たときに、まあ、最後に明るい、あの、ミステリに対する明るいメッセージっていうのが前向きなメッセージというのがあったからっていうところと、まあ、あの、実は、菱川は生きていた、と
笑



明るいオチで
まあ、まあ、そういうところ
あとはプロレタリアートなんじゃないかって話もしましたけど、そういうところのテーマ性・メッセージ性っていうのを含めて、まあ、トリックの、まあ、使いかたも含めて、まあ、やっぱりいい作品
あとタイトルもね、非常にうまくついているというところ
考えても、かなりバランスの良いのかなーというところ、ですね
まあ、あのー、まあ……あのー、なん、なんて言うんでしょうかね、あのー……そうだなー、まあ、あのー、どうしましょうか?
笑



はい、どうしましょうかって感じではありますね



はい……どうしますか? 『赤い意図』も、同時受賞という形にしますか?



あー



それが有りなら、いいんじゃないですか



そのあたり、どうするのが良いのかわたしも明確にできていないので、菱川さんにゆだねます



そう、そうしますか



それがいいなら、ね
それなら



そうですよね、そうしますか



じゃあ、MysteryExhibition1:短編部門、i.『赤い意図』、k.『コンパクトカー』、こちらの2作を大賞同時受賞とします!
お疲れさまでした!



ありがとうございました



お疲れさまでした笑



あっ、ありがとうございました



ありがとうございました
拍手
結果(選考委員&読者投票(投票有効期間:20250831))
大賞
『赤い意図』『コンパクトカー』
読者投票(2025年8月19日時点)
1.『消えたステッキ』(14票)
2.『E-active edit』(9票)
3.『揺れるシャンデリアの謎』(8票)
読者投票は、有効票期間内です!!
引き続きお楽しみくださいませ
おわりに



何か言いたいことありますか?



まあ、そうですね
まあ、あの、本当に、あの、かなりレベルの高い作品がね、揃いましたよね
その、判断基準をどこに置くかっていうので、まあ、受賞したりしなかったりというのがかなりあるんじゃないか、というのと
やっぱり事前に読んで考えたのと、ここでねしゃべってきづいたことっていうのが、また、全然違うのでね
まあ、あの、こういうふうに、そのミステリについて、まあ、読むのも楽しいし読んだうえでああじゃないこうじゃないって議論するのも楽しいなというところで、もう本当に作品を出してくださった方々には、まあ、とにかく感謝をしたいというところですね



そうですね、ありがとうございます



えー、まあ、だいたいよくある話なんですけど、まあ、ここで受賞した、あの、めっちゃすぐれた作品って、まあ、すぐれた作品としてね、まあ、受賞した作品があるんだと思いますけど、で、この後ね、実は審査員の間で、こう、打ち上げみたいなのが行われるんですけど、たぶんそこの場で話題になるのはね、たぶん受賞してない作品で、そっちのほうが非常に議論が盛り上がると
そういうことは世の常ですので、まあ、ね
受賞した作品より実は受賞してない作品のほうが裏ではちやほやされるということも、まあ、あるとは思うので
まあ、そこも含めて、あのー、こうー、なんていうのかな、そういう、あの、話題を作ってくれたことに感謝します
拍手



もうほとんど同じなんですけども笑
さきほど菱川さんがおっしゃっていたように受賞作としてはどうしても決めなきゃいけないんで、今回まあ特例で2作受賞作品としてありますけど、でもどの作品も語る時間がぜんぜん足りないくらい、この会議室の時間もね、ちょっとオーバーしぎみなくらいみなさん語ってくれたくらい魅力的な作品が揃った、語り甲斐のある作品がたくさん集まった
今回はミステリっていうことで、もう最初に提示した、提示された謎があってそれが解かれるっていうコンセプトがあって
で、まあ、ここを崩しちゃいけないっていう
いくら面白くても、ちょっと、抵触しないもの、が、いくら面白くてもそこは、大賞に推せないんじゃあないかという気持ちがあったんで、ねー
なん、うんん、総合力で戦ったんじゃなくてミステリとしての構造の巧みさっていう、その一点で戦ったっていうので、他の作品がもうぜんぜん大賞にふさわしくないってことは無いんで、そういう個性的な、むしろMysteryExhibitionだっつってんのにそういうのが集まったっていうのは歓迎すべきことだと
面白いし、本当に応募してくださった方々皆様に感謝を、心から伝えたいですし、これに、こういう、ね
MysteryExhibition1これからも続いていきますんで
また、次は指定文部門ですか



指定文ですね



また、ふるってのご応募をお願いして、そして選考委員を悩ませてほしいなと思っております



はい、思っております
ありがとうございます
拍手



わたしも、途中で申し上げたとおり、ちゃんとミステリが集まったということに感動していて
ちゃんとしたミステリが集まったからこそ、すごい悩んだなっていうのがあります
それで、この選考会の内容は、すべて文字起こしして皆様読んでくださると思うんですけれど、やっぱりこっちの作品のほうがミステリとして優れているんじゃないかとかこっちの作品のほうが好きだな、というような意見がありましたら、ぜひとも読者投票のほうでその思いのたけを、ぶつけられる場所がありますので
文字数制限ありませんので、そちらで好きなだけ語ってください
その好きな作品を設定して投票したら、もしかしたら、読者賞で上位に上がる可能性がございますので
ぜひ、感想を書いてください
お願いします



お願いします



以上、MysteryExhibition1:短編部門の選考会、これにて終わりたいと思います
ありがとうございました!
ありがとうございました



これ、あれだよね?



はい?



短編部門の次の部門の、なんか紹介とか是非応募してくださいみたいな
最後、さらさらっと書き足すの



そうですね。次は指定文使用部門です、みたいな



指定文は、これ公開されているころには募集されているんですか



そうー、ですね



じゃあ、それなら大丈夫ですね



はい
ではでは、おしましです!
改めまして、MysteryExhibition1:短編部門への御参加ありがとうございます。
第2部門_指定文使用について2025年8月31日19時が応募締切です。
詳細は公式ページよりご確認くださいませ。
ふるっての挑戦、お待ちしております!!
注意について
- ある事情で提出作品を非表示にすることを希望されるときは前述メールアドレスや本サイトのフォームからご連絡ください。
やむを得ないと判断したとき、必要な対応をいたします。 - 本サイトにおける通常の小説投稿とは異なり、誤字脱字の指摘はいたしません。
- 何らかの問題によって第三者へ侵害を与えたとき、すべて参加者様の責任とさせていただきます。